昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。今回は、昭和47年発売のマツダ サバンナGTだ。
レースシーンでも大活躍したロータリーパワー
マツダ サバンナGT:昭和47年(1972年)9月発売
サバンナは、ファミリア・ロータリークーペの後継モデルとして開発された、ロータリー専用のパーソナルカーである。
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ロングノーズ & ショートデッキの躍動感あふれるスタイリングを採用し、フェンダーもレーシングマシンを思わせるワイドなものだ。ボディバリエーションは4ドアのセダンと2ドアのクーペが用意されていた。
車名の由来でもあるアフリカの大草原を奔放に走りまわる猛獣のイメージが強いのは、もちろん2ドアクーペのほうである。
フロントはノーズ中央を張り出させ、その左右にデュアルヘッドライトを組み込んだ。このノーズピースはFRP製で、時代を先取りしたものだった。
サイドビューは弓を引き絞った力強いアーチェリーカーブで構成され、エアアウトレットも爬虫類の背ビレを思わせる大胆な造形になっている。また、リアエンドには、ロータリーパワーを誇示する丸型のリアコンビネーションランプを配した。
インテリアも、ファミリア・ロータリークーペを昇華させた伝統のT型ダッシュボードを採用する。
大径のタコメーターとスピードメーターを中心に、センターコンソールにコンビネーションメーターや時計を組み込んだ。ステアリングもホーン部分にロータリーマークを刻み込んだスポーティな3本スポークステアリングとなっている。
エンジンは、当初ファミリア・ロータリークーペから譲り受けた10A型 2ローターのロータリーエンジンを搭載した。アイドルリミッター付き2ステージ4バレルキャブやフュエル・リサーキュレーターなどを採用して排出ガスと騒音を低減しているが、パワーは逆に高められた。
10A型は単室容積491cc×2ローターで、最高出力は105ps/7000rpm、最大トルクは13.7kgm/3500rpmを発生した。4速マニュアルミッションを介しての最高速度は180km/h、0→400m加速も2Lスポーティカーに肉薄する16.4秒の俊足を誇った。
サスペンションは、当時としてはオーソドックスなフロントがストラット、リアがリジッドリーフだが、リアはオイルダンパーの取り付け角をずらしたバイアス・マウント方式とし、乗り心地と操縦安定性を向上させている。
そして、サバンナの真打ちとして1972年9月に投入されたのが、ホッテストバージョンのサバンナGTだ。これはマツダRX-3の名でアメリカに送り込まれていたモデルを、国内向けにモディファイしたものである。
すでに同年5月に開催された日本グランプリで先行デビューを果たし、常勝スカイラインGT-Rを退けてスーパーツーリング部門のウイナーになっていた。
サバンナGTの最大のセールスポイントは、その強力な心臓部だ。10A型に換えて、カペラGS用の12A型 2ローターのロータリーエンジンをボンネット内に収めている。
573cc×2の12A型は最高出力120ps/6500rpm、最大トルク16.0kgm/3500rpmのハイパワーを誇り、パワーウェイト・レシオも7.38kg/psを達成した。この強力なエンジンにカペラGSIIと同じ5速マニュアルトランスミッションを組み合わせ、最高速度は190km/h、0→400m加速は15.6秒を可能にした。
ブラックアウトされた精悍なインテリアには丸型の5連メーターと新デザインのセンターコンソールが採用され、サスペンションも大幅に強化された。
デビューから1年後の73年6月にはフロントグリルをリファインし、リアコンビネーションランプも丸型から六角形に変更されている。
しかも1974年11月には、排出ガス対策に追われてライバルが軒並みパワーダウンする中、サバンナだけはパワーアップを図った。最高出力は125ps/7000rpmに高められ、最大トルクも16.2kgm/4000rpmに向上している。
サーキット常勝マシンの座に君臨したサバンナGTは、公道でも群を抜く速さを見せつけている。ロータリーパワーを支配下に置いた初めてのモデルが、RX-3の名で親しまれていたサバンナGTなのだ。
サバンナGT 主要諸元
●全長×全幅×全高:4075×1595×1335mm
●ホイールベース:2310mm
●重量:885kg
●エンジン型式・種類:12A型・直2ローター
●排気量:573cc×2
●最高出力:120ps/6500rpm
●最大トルク:16.0kgm/3500rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:Z78-13-4PR
●価格:79万5000円
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