国産3大メーカーのミドルクラスミニバン、トヨタ「ノア/ヴォクシー」、日産「セレナ」、ホンダ「ステップワゴン」が、それぞれ、そろそろフルモデルチェンジのタイミングだ。
ミドルクラスミニバンは、2018年と2019年の2年連続で、セレナが登録台数トップを獲得。しかし、2020年はヴォクシーがトップに、2021年も、このままのペースで行くとヴォクシーがナンバーワンとなる見込みだ。
来年2022年から2023年にかけて、続々とフルモデルチェンジを迎えると思われる、ノア/ヴォクシー、セレナ、ステップワゴン。この2Lクラスのミドルクラスミニバンそれぞれの長所と短所を振り返りつつ、フルモデルチェンジで期待することを挙げていく。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、HONDA、NISSAN
[gallink]
過去10年はヴォクシーとセレナの熾烈な戦いが続いている
「SUV全盛」といわれる時代にあっても、根強い人気のあるミニバンカテゴリ。なかでもミドルクラスミニバンは、手ごろなサイズと価格で、強固な需要のあるジャンルだ。
ブームに火をつけたホンダ「ステップワゴン」、安定した人気のある日産「セレナ」、兄弟車で完璧な包囲網を作ったトヨタ「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」の5車種が、これまでしのぎを削ってきた(エスクァイアは、2021年12月上旬で生産終了が発表されている)。
2010年以降の登録台数を比較すると、2010年はステップワゴンがかろうじてトップを獲得するが、2010年11月にモデルチェンジした先代のC26型セレナが、2011年~2013年に渡り他を寄せ付けない強さを誇る。
だが、現行である80系ノア/ヴォクシーが出た2014年からは、ヴォクシーがトップに。セレナが現行であるC27型へとフルモデルチェンジをした2016年も、セレナはヴォクシーには追いつくことができずにいた。
ハイブリッドが求められる時代に、セレナのS-HYBRID(マイルドハイブリッド)では、トヨタのTHS-IIには敵わなかった、というのが要因だろう。だが、e-POWERが追加された2018年3月以降、セレナは息を吹き返し、2018年のミニバン販売台数トップを達成、2019年もトップを守ったが、2020年にはヴォクシーが僅差で首位奪還を果たした、という状況。
冒頭で触れたように、これまでの動きを見ると、2021年もヴォクシーがナンバーワンとなる可能性が高い。
セレナe-POWERがデビューした2017年の翌年から、セレナが2年連続でミニバン登録台数ナンバー1を獲得。だが2020年は、再びヴォクシーがミドルクラスミニバンナンバー1に返り咲いた
セレナは、ノートのような質感高いインテリアが急務!!
現行C27型セレナの人気を引き上げたのは「e-POWER」であることは間違いない。発電用の1.2リットル3気筒エンジンと、最大出力136ps、32.6kgf・mを誇るモーターで、重たいボディを力強く駆動する。また、現在は当たり前となった装備ではあるが、2017年にプロパイロットがいち早く搭載されたのがセレナだった。
全高と全長は、3車の中で最も大きく、特に、エルグランド(1300mm)よりも高い室内高(1400mm)による使い勝手の良さは、セレナの大きな魅力のひとつだ。エルグランドが放置されているため、セレナに流れてくる顧客もいるのではないだろうか。
車体の遮音性能が高く、e-POWERの発電時エンジン音も静かに抑えられており、ロードノイズも静かで、ワンクラス上位のミニバンのような乗り味だ。また、2019年8月のマイチェンで行われたフェイスリフトも功を奏した。特にハイウェイスターは、トヨタの大型ミニバンのような「オラオラ顔」に進化し、押し出しの強さが増したことも魅力アップにつながった。
先進性を謡いながら、生まれながらの魅力である使い勝手もアピールしたことで、ミドルクラスミニバントップに返り咲くことができたのだろう。
だがそれから2年、アリアやノート、フェアレディZなど、日産の他の商品たちが一気に世代交代をし始めたことで、セレナは日産車のなかで、新鮮味がなくなってきている。なかでも、インテリアの質感が課題だ。
インテリアの質感はこれまで、日産車共通の弱点であったが、2020年末に登場したノートを皮切りにぐっと良くなり、高級感を増している。FMCサイクルだと2023年初頭が次期型の登場タイミングとなる。だが、競争力維持のためには、それよりも早いタイミングでブラッシュアップが必要なのでは、と考える。
一本化でもデザインで成功できるか!? ノア/ヴォクシー
ノア/ヴォクシーの現行モデルは2014年1月に登場した3代目。迫力のあるフロントデザインと、低重心のワイドボディを専用フロントフェンダーパーツで強調し、「ちょい悪」な存在感を表現。ヴェルファイア似フェイスのヴォクシー、太い横基調グリルの「ノア」、どちらも迫力あるオラオラ顔で、この顔面の迫力こそが、ノア/ヴォクシーの魅力だ。
前述したように、このノア/ヴォクシー兄弟に2014年に追加された「エスクァイア」は、2021年12月に生産終了となることが正式に発表されている。
レーザーレーダーと単眼カメラを併用した検知センサーを採用したToyota Safety Senseをはじめ、プリクラッシュセーフティ、急発進を抑制するドライブスタートコントロール、ACCや、インテリジェントパー-キングアシストなど、ライバル車にある先進安全装備は、当然備えている。
加えて、トヨタ系ミニバンには、GRスポーツ、モデリスタ、TRDなど、メーカー直結のエアロパーツが豊富にそろい、ユーザーの好みに応じて、カスタマイズができる、という強みもある。
これといって弱点のないノア/ヴォクシーだが、強いて挙げるならば、その人気の大きな要因が、流動化しやすい「デザイン」である、という点だ。
昨今はアルファードの爆進もあり、大型ミニバンへと需要が向かっている風潮もあるなか、車種整理の一環で、すでにヴォクシーはZS系とZSベースとなる特別仕様車「ZS"III"」のみとなり、事実上のモノグレード販売となっている。
次期型で、これまでのようにデザインのバリエーションを持たずに「ノア」一本とした場合、そのノアのデザインで失敗すると、そこで人気が陰る可能性もある。どのような戦略で攻めるのか、2022年ともされている次期型の登場が楽しみだ。
現行80系ヴォクシー。全長4710×1735×1825(全長×全幅×全高)mm、ホイールベース2850mm、2列目室内高1400mm。ハイブリッド車のWLTCモード燃費は19.0km/L、ガソリン車13.2km/h
顔面模索が、次期型の最大のテーマ ステップワゴン
「ミニバンブームの火付け役」である、ホンダ「ステップワゴン」の現行モデルは、2015年4月に登場した5代目。2世代前は、ホンダお得意の低床、低重心を売りとした背低ミニバン(全高1770mm)をアピールしていたが、現行型は全高1840mmまで高め、オーソドックスなミニバンになっている。
ステップワゴンの特徴は、何といっても、テールゲートに横開き式のサブドアを組み合わせた「わくわくゲート」と、3列目シートを左右分割して床下格納できる「マジックシート」だろう。
テールゲートを中央で折れるようにしたため、リアの視界には縦に黒いラインが入ってしまうが、そのかぶり代は、最小限になるよう設計されている。また、3列目の格納はお見事の一言だ。こうした新技術にトライしたことは非常に評価できる。
だが残念ながら、この「わくわくゲート」の評判がよろしくない。わくわくゲート構造化のための補強によって、リアゲートは非常に重く、さらに、リアバンパー下から開く構造のために、ゲートが大きく重い。
セレナの場合は、バックドアをガラスハッチ構造にしたことで、軽い操作力で開閉ができる。多くの荷物を積み込みたくなるミニバンだが、そのたびに、この大きなリアゲートを開けるのは、大変なようだ。
静かで軽い走行フィーリングなどは、もっと評価されても良いのでは!? と思うが、とにかくフロントマスクが地味。しかし、マイチェンしたオデッセイのような方向性(ノーズを上げてグリルを大きく魅せる)も、さほど受けるとは思えず、新型シビックのような、平たいフロントフェイスも似合うとも思えず。
やはり、この手のミニバンにおいては、ノア/ヴォクシー、セレナがとっている「派手目のフェイス」が、現時点の正解だろう。シビックタイプRぐらい派手にしてもいいと思う。顔面模索は、次期型ステップワゴンにとっての最大のテーマとなるだろう。
現行ステップワゴン。全長4760×1695×1840(全長×全幅×全高)mm、ホイールベース2890mm、2列目室内高1400mm。ハイブリッド車のWLTCモード燃費は20.0km/L、ガソリン車13.6km/h
◆ ◆ ◆
2022年から2023年にかけて、各車モデルチェンジの時期に入る。ノア/ヴォクシーは一本化でもユーザーの支持を得ることができるか、セレナはe-POWERの「次の一手」が打てるか、ステップワゴンは課題の顔面をどうしてくるか。今後もミニバン最激戦区の動向からは、目が離せない。
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みんなのコメント
なんと言っても正面から見てカッコイイし走りもイイ
最近ホント良く見掛けるようになったんだが2021は販売台数伸びてると思う