「大型バッテリー」を載せたEVをつくらない理由
text:Hilton Holloway(ヒルトン・ホロウェイ)
マツダは、「大型バッテリー」を載せたEVを、つくることはないだろうと述べている。
ポルトガルで行われたEVモデルMX-30のテストドライブの際、マツダ・ヨーロッパの製品開発およびエンジニアリング責任者であるヨアヒム・クンツは、クルマの生産工程から廃棄までに排出されるCO2の量をその理由に挙げている。
クンツは、欧州グリッドの平均的なCO2排出量を使った日本の大学の研究によると、95kWhのバッテリーを搭載したEVは製造段階で多くのCOが排出されると指摘。
EVのバッテリーパックを16万kmで交換しなかったとしても、新しいマツダ・スカイアクティブ・ディーゼル・モデルのほうが、長い目で見てCO2排出量は少なく抑えられると述べている。
EVモデルは8万kmを過ぎたあたりで、やっと生産工程で排出したCO2排出量を相殺することができるからだ。
そのため、小型バッテリーを搭載したEVが環境的に理にかなっていると言う。
MX-30
MX-30の量産モデルは、ヨーロッパでは2020年後半に、英国では2021年初頭に3万4000ユーロ(400万円)で発売される予定だ。
バッテリーが小さく、重量も軽いため、多くの競合他社よりも航続距離が長い。
35kWhのバッテリー、最高出力143ps、最大トルク27kg-mの電気モーターを搭載し、航続距離は約210kmとなる。
リチウムイオン・バッテリーパックは、パナソニック社の日本製となる。
ヨーロッパの平均的なドライバーの1日あたりの走行距離は約56kmであることから、マツダはMX-30が大半のドライバーにとって十分な航続距離をもち、ライフタイムを通じて、真の「低CO2」モデルになるだろうと述べている。
将来のレンジ・エクステンダー・システム
クンツはAUTOCARに対し、低CO2モデルを望む長距離ドライバーのために、マツダは現在コンパクト・ロータリーエンジンを使用する新しいレンジ・エクステンダー・システムを開発していると語った。
このシステムの初期プロトタイプは、ポルトガルで開催されたMX-30テストドライブ・イベントで展示されていた。
クンツは、燃料タンクのサイズなどを定める将来の法規によって、パワーと航続距離などが絞られていくだろうとし、将来のロータリーエンジンに関する技術的な詳細を明らかにするのは、まだ早いと付け加えた。
マツダは、2011年にもブートフロアの下に取り付けられた小型ロータリーエンジンを使用したプロトタイプ2レンジ・エクステンダーを構築している。
マツダのエンジニアはまた、ガソリンモデルからの移行をスムーズに行えるよう、MX-30の電動モーターのトルク伝達を、EVの場合よりも熱伝導率が低くなるように調整している。
AUTOCARは、エンジンのローターハウジングの深さはわずか75mmで、エンジンは単一の点火プラグを使用し、ジェネレーターによって始動されるだろうと予想している。
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