10月26日(木)から11月5日(日)にかけて開催される「ジャパン モビリティショー2023」で発表された新型車を深掘り! トヨタの新型「IMV 0(アイエムブイ ゼロ)」は、シンプルさがセールスポイントのトラックだった。
架装に自由を!
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トヨタの新型IMV 0は、“IMV”の原点に立ち返ったコンセプトモデルだ。
“IMV” とはInnovative International Multi-purpose Vehicleの略称。より魅力的な商品を求めやすい価格で迅速に提供するため、需要のある地域で生産する方針のもと、グローバルで効率的な生産・供給体制を構築し、世界180ヵ国以上に導入することを前提に開発された。
ボディサイズは全長×全幅×全高は5300×1785×1740mm、ホイールベースは3085mm。車名にはハイラックスのネーミングも与えられるそうだ。ただし、日本でも販売されている現行ハイラックスとは異なるモデルという。
「現行ハイラックスが豪華になってしまったため、より廉価で、かつシンプルなモデルを求めるユーザー用にIMV 0を開発しました」と、開発担当者は語る。
IMV 0は“やりたいことを実現するためスペース”という位置づけのモデル。なにもないデッキ部を活用し、やりたいことを実現するというわけだ。
シンプルに荷台を取り付けてもいいし、エクストラキャビンを取り付けて居住スペースを増やし、残りをオープンな荷台にしてもいい。あるいは、全体をキャビンにして多人数乗車が可能なピープルムーバーにしてもいい。ドローンの基地にするアイデアもあるだろうし、コーヒーなどを提供する移動販売車に仕立ててもいいのだ。
ジャパン モビリティショー2023には、移動カフェなどに仕立てられたIMV 0が展示される。開発に携わるデザイナーは、「私たちが考えつかないアイデアを聞かせてほしい」と、述べる。
新興国のユーザーをターゲットにしているため、車両価格は低く抑えるそうだ。各国の法規制をクリアするのは当然のこととして、最新技術はあえて搭載しない。堅牢であることも大事なので、信頼性の確保されたプラットフォーム(ラダーフレーム)とエンジン(ガソリンとディーゼル)を採用した。
フロントセクションとキャビンは、“低コストのための割り切り”と“拡張性とのバランス”をテーマに開発された。
フロントバンパーからキャビンまでを個性的なデザインにすると、デッキ部の架装とアンバランスになってしまう可能性がある。したがって、どんな架装でもなじむように、組み立てブロックのようなデザインにしたという。ドアを囲むようにフレーム状の装飾を施したのは、多少荒く使っても壊れない堅牢性の高さを表現するためだ。
フロントマスクは角を切り落とした形状とし、ヘッドライトは高く、そして少し奥まった位置とした。これは、突起物などにヘッドライト自体をぶつけにくくするためだ。樹脂性のバンパーを3分割構造としたのは、補修時の負担を軽くするためである。
一方、機能やコストに徹して無味乾燥になってはつまらない、と、“TOYOTA”のロゴをアイコニックにグリルに配置した。
人それぞれクルマを使ってやりたいことや楽しみ方は違うはずだ。車両本体の購入価格を抑え、その分、思い思いの架装を楽しみ、クルマとの生活を豊かにする……そんなトヨタの思いがIMV 0には込められている。
ちなみに、日本導入は明かされていないものの、ジャパン モビリティショー2023での反響次第では検討するそうだ。
文・世良耕太 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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