■日産セダンは残すところ「スカイライン」のみ
2022年8月末で「フーガ」と「シーマ」が生産終了となったことにより、日産が日本国内で販売するセダンは「スカイライン」だけとなりました。
900万円超えの「スカイラインクーペ」!? 美しすぎる「インフィニティQ60」の魅力
現行スカイラインは、登場から9年が経ちますが、いま購入するのはどんな人なのでしょうか。
スカイラインは、1957年に初代が登場して以来、60年以上にわたって多くのユーザーに愛されてきました。
13代目となる現行スカイラインは2013年にインフィニティバッチを付けて発売。その後、2019年のビッグマイナーチェンジに日産バッチに変更されています。
この際、歴代初の400馬力超え仕様「400R」追加や、国産車で初となる高速道路での手放し運転が可能な「プロパイロット2.0」するなど、進化し続けています。
しかしながら、2022年時点で登場からすでに9年近くが経過しており、ライバルに比べて古さが目立つ部分も少なくないこともあり、現在スカイラインが置かれている状況は決して安泰とはいえません。
また、日産のセダンラインナップにおいて「シルフィ」や「ティアナ」、そして前述の「フーガ」と「シーマ」が生産終了となったことなどからもわかるとおり、セダン自体の人気が低迷していることもスカイラインにとっては逆風となっています。
実際、スカイラインと比較検討されることの多かった日本を代表するセダンのトヨタ「クラウン」でさえも、2022年9月に発売された16代目となる新型では、クロスオーバーを中心としたモデルへと生まれ変わるなど、これまでのイメージを大きく変えています。
こうした状況のなか、スカイラインの直近の月間販売台数は100台から200台程度にとどまっているなど苦戦が続いています。
さらに、昨今の部品不足も追い打ちをかけており、2022年9月7日現在、スカイラインのハイブリッド車は注文台数が予定数量に達していることから新規の受注が停止。加えて、ガソリン車も一時的に受注停止となっています。
日産の販売店関係者によると「ガソリン車については9月中旬をめどに受注を再開する予定」といいますが、先行き不透明な状態です。
このような状況から、スカイラインという歴史あるモデル自体の存続も危ぶまれているのが実情です。
■いま、スカイラインを買うのはどんな人?
一方、絶対数こそ少ないものの、現在スカイラインを購入するユーザーには、一定の傾向が見られるといいます。
ある日産の販売店関係者は次のように話します。
「たしかに、販売台数を見ると好調とはいえないスカイラインです。
しかし、数少ない国産スポーティセダンであることから、走りに魅力を感じてご興味を持たれるお客さまは少なくありません。
最近では『400R』という、専用チューニングが施されたV6ツインターボエンジンを搭載したスポーツグレードも登場したことで、スカイラインの走りはますます注目されているように感じます。
大排気量のガソリンエンジンを搭載したスポーティセダンが、近年ではめずらしくなってきたという事情もあるのかもしれません」
実際、400Rが発表された際には「スカイライン史上初の400馬力を超えた!」「スカイライン復活!」「最強スカイライン登場」と大きな話題となり、販売台数も上振れしました。
またセダンはSUVやミニバンと比べて重心が低いことからスポーティな走りを実現しやすいうえ、4ドアであることから実用性も必要十分です。
そのため「SUVやミニバンではスポーティな走りを楽しめないが、2ドアクーペでは実用性に欠ける」というユーザーのニーズを満たすことができます。
加えて、電動化が進む昨今では、純ガソリン車の国産セダンは少なくなりつつあります。
実際、「国産スポーティセダン」「排気量3000cc以上」「ガソリン車」というカテゴリーで見ると、スカイラインはほとんど唯一の選択肢となっています。
前出の販売店関係者の話から、スカイラインがそうしたニーズの受け皿となっていることがうかがえます。
※ ※ ※
ユーザーや自動車業界のトレンドが変化するなか、スカイラインの置かれた立場もかつてと比べて大きく変化しています。
一方、世界を見るとまだまだセダン人気の高い市場も多く、スカイライン(市場によってはインフィニティ「Q50」として販売」は根強い人気を誇っています。
当初からグローバルにおける主力車種として開発されてきたため、発売から9年近くが経過した現在でも一線級の実力を持っている点は、スカイラインの大きな魅力のひとつです。
とはいえ、現状をかんがみると、今後登場するであろう次期スカイラインは、クラウンのように大きくイメージを変える可能性も否定できません。
少なくとも、今以上の電動化は必須となることが確実視されています。
このように考えると、ガソリン車のスカイラインが楽しめるのは、あとわずかなのかもしれません。
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