■三菱の「ミニ」といえば代表格は「パジェロミニ」だ!
2022年11月4日、突如として発表された三菱の新しい軽スーパーハイトワゴン「デリカミニ」。
これはいわずと知れた三菱の看板車種のひとつであるクロスオーバー系ミニバン「デリカD:5」のテイストを軽自動車に落とし込んだモデルとなっており、詳細が発表されていない現時点でも非常に注目を集めている1台となっています。
このように今回、デリカの「ミニ版」をリリースした三菱ではありますが、実は過去にも「ミニ版」や「ワイド版」を多数リリースしてきた過去があることをご存知でしょうか。
●三菱の「ミニ」といえば! ジムニーのライバル「パジェロミニ」
最初にご紹介するのは、三菱のミニシリーズの元祖とも言える「パジェロミニ」です。1994年12月に登場したパジェロミニは、その名の通りパジェロの弟分(軽自動車)として誕生しました。
さすがにパジェロのように本格的なラダーフレームは採用していませんでしたが、モノコックボディにラダーフレームを組み込んだビルトインモノコック構造を採用し、オフロードの走破性とオンロードの快適性を合わせ持っていた点が特徴です。
またエクステリアデザインも当時のパジェロ(2代目中期型)の丸目モデルをそのまま小さくしたような、一目でパジェロと分かるものとなっており、パジェロの無骨なスタイルに憧れたユーザーをも魅了したのでした。
1996年1月には、パジェロのスタイルをより気軽に楽しみたいというユーザーに向けて安価な2WD(後輪駆動)モデルを追加し、その人気を不動のものとすると、軽自動車の規格が現在のものへと改められた1998年には2代目へと進化。
当初は2代目パジェロの後期モデルに近いエクステリアデザインを纏っていましたが、2008年のマイナーチェンジでは当時現行モデルだった4代目パジェロ風のフロントマスクに改めるなどし、2013年まで販売が続けられるロングセラーモデルとなったのでした。
なおパジェロミニにはさらに、丸目4灯の「パジェロミニ リンクス」や、クラシックテイストの「パジェロミニ デューク」といった、外観違いの派生モデルも用意されていました。
●ジムニーシエラのライバルはこちら! 「パジェロジュニア」
1994年12月、前出のパジェロミニをベースに大型オーバーフェンダーとバンパーを備え、1.1リッターエンジンを搭載した「パジェロジュニア」も登場しています。
こちらは迫力のオーバーフェンダーなどにより、よりパジェロに近しいスタイルとなっていました。
パジェロジュニアのなかでも激レアなモデルとしては、クラシックな外観を持つ個性的な「パジェロジュニア フライングパグ」が限定発売されています。
ちなみにパジェロジュニアの後継車種として「パジェロイオ」が1998年に登場していますが、こちらはパジェロミニベースではなく、普通車用の専用シャシーを持っており、パジェロの1.8リッター~2リッタークラス版として、パジェロとパジェロミニの間を埋めるモデルとなっていました。
■軽をベースに排気量拡大した「ワイド」モデルは激レア度高め
●コンパクトハイトワゴンの先駆け! 「トッポBJワイド」
続いてご紹介するのは、小さくなったのではなく、大型化がなされた「トッポBJワイド」です。
これは軽自動車のトールワゴンとしてリリースされた「トッポBJ」をベースに、大型バンパーや樹脂製オーバーフェンダーを備え、パジェロジュニアと同じく1.1リッターエンジンを搭載した1999年デビューのコンパクトハイトワゴンでした。
普通車(小型車)登録となったことでリアシートは3人掛けとなり、乗車定員は5名となっていましたが、基本的な室内空間は軽自動車のままだったこともあり、残念ながら注目度は低かったようです。
また、エクステリアデザインもバランスの取れていたパジェロジュニアとは異なり、トッポBJとは異なる異形のヘッドライトや、バンパーやオーバーフェンダー、サイドモールのみをシルバーとした奇抜な2トーンカラー(モノトーンもあり)なども良い評価につながらず、登場からわずか2年ほどで姿を消すことになってしまいました。
同様な生い立ちとして、スズキの軽「ワゴンR」を拡幅した「ワゴンRワイド」がのちの「ソリオ」として独立した成功例もあります。
なおコンパクトハイトワゴンの系譜としては、現在スズキからソリオがOEM提供されており、「デリカD:2」として実質的な後継モデルの位置づけにあるのは、なにか不思議な縁を感じさせます。
●コンパクトミニバンの先駆け!? 「タウンボックスワイド」
もうひとつのワイド版としては、トッポBJワイドのおよそ半年遅れで登場した「タウンボックスワイド」が存在します。
こちらも成り立ちはトッポBJワイドと同じく、軽ワンボックスワゴンの「タウンボックス」をベースに、大型バンパーとフェンダー、そして1.1リッターエンジンを搭載したものでした。
タウンボックスとの大きな違いとしては、荷室部分に+2名分の補助席が備えられており、いざという時は最大6人乗車が可能となっていた点にあります。
ただし同時期、しっかりとした3列目シートを備え、7人乗りを可能としたダイハツ「アトレー7」やスズキ「エブリイ+」が存在していましたが市場は全体としてそれほど盛り上がりをみせず、タウンボックスワイドもおよそ2年で終売となっています。
■限定販売台数はわずか「50台」!? 激レア中の激レアモデルも
●ハイブリッド無しで30km/Lの低燃費を達成! 「ピスタチオ」
ワイド版の派生モデルが多数ある三菱ですが、そのなかでも最も激レア度が高いのは、1999年登場の「ピスタチオ」でしょう。
軽自動車の「ミニカ」(3ドア車)をベースに、アイドリングストップ(ASG)や直噴化などを図った1.1リッターGDI-ASGエンジンを搭載。電動パワーステアリングなど当時の低燃費化技術を盛り込み、30km/L(10・15モード燃費)をマークしています。
5速MTのみの設定で、当時の価格は100万円を切る95万9000円でした。低コストなエコカーとして、自治体などを主な対象にわずか50台限定で販売されていました。
三菱のワイド系モデルのなかでも、とくに激レアな珍車中の珍車といえるでしょう。
※ ※ ※
ここまであげてきた各モデルの販売実績をみると、小型化したモデルについては一定の人気を集めた一方で、ワイド化、大型化されたモデルは不人気という両極端な傾向になっているようです。
この流れを考えると、来夏に登場すると言われている「デリカミニ」は人気の1台となりそうな予感がします。
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