先日、日産が新開発パワートレイン「X-in-1」の試作ユニットを発表した。実用化すれば、バッテリーEVとe-POWERの主要部品を共有化することができ、コストダウンにつながるという。コレはどんな技術なのか。日産の電動化戦略の今後は!?
文/吉川賢一、写真/NISSAN
新型リーフは250万円!? e-POWERがガソリン車と同価格に!? 日産の電動化戦略が期待大
■コスト大幅削減!! EVとハイブリッドの部品共有がカギ
2023年3月9日、日産は新開発の電動パワートレイン「X-in-1」の試作ユニットを初公開した。
本機は、バッテリーEV(以下BEV)とe-POWERの主要部品を共用化し、モジュール化することで、BEVとe-POWER車をガソリン車並までコストダウンする新技術の試作品とのこと。
この発表の中では、「2030年度までに19車種のBEVを含む27車種の電動車を導入」することも発表された。「X-in-1」の詳細、そして今回の発表の中で明らかとなったほかのコスト低減策についてご紹介しながら、日産の電動化戦略の今後についても考えてみよう。
■e-POWERがエンジン車と同じ値段に!? 目指すは2026年
左がモーター、インバーター、減速機の3つの部品をモジュール化したEV用の「3-in-1」。右がモーター、インバーター、減速機に加えて、発電機、増速機の5つの部品をモジュール化したe-POWER用の「5-in-1」
トヨタの「THS-II」やホンダの「e:HEV」とは違い、エンジン動力と直結して走行するモードがないシリーズハイブリッド式である日産の「e-POWER」。
今回の日産の新技術は、このe-POWERの特徴を活かし、バッテリーEVと主要部品を共用化することで、コストを下げようというものだ。
「X-in-1」は、BEV用にインバーター、モーター、ギヤ(減速機)で構成される「3-in-1」と、e-POWER用にインバーター、モーター、ギヤ(減速機)に加えて、発電機、ギヤ(増幅機)で構成される「5-in-1」の2種類。共通部品を多く採用して部品製造コストを抑えつつ、同一の生産ラインでBEV用とe-POWER用を混流生産し、生産効率の向上(つまりはコストダウン)も狙う。
「新開発電動パワートレインの試作ユニット」の説明会にて、専務執行役員の平井氏が説明したプレゼンの1ページ。e-POWER、BEVの車両コストを、ガソリン車と同じレベルまでコストダウンをする計画だ
日産は、「X-in-1」を導入することで、2026年までに2019年比でBEVとe-POWERのコストを30%削減できるという。特に、e-POWER用の「5-in-1」は、2026年までにエンジン車と同等の車両コストを目指すことを具体的な目標としている。
BEV用の「3-in-1」については、具体的な達成目標は明示されなかったが、全固体電池などのバッテリー技術の革新や、クルマ全体での取り組みも併せてエンジン車同等の車両コストを目指すとしている。いずれも「(燃料代が安くなることから)ガソリン車よりもコスパがよい」ことをアピールして、電動車普及を促進するのが日産の狙いだ。
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■目玉はレアアース使用量削減とインバーターの高出力高密度化
これまでにも、駆動用モーターEM57はリーフ、E13ノート、セレナ、キックス等で共用、サクラのフロントモーターMM48も、ノート、オーラ、エクストレイル等のリアモーターで共用している
ただ、BEVとe-POWERユニットの共通化については、これまでも行っている。
たとえば駆動用モーターEM57はリーフ、Eノート、セレナ、キックス等で共用。サクラのフロントモーターMM48も、ノート、オーラ、エクストレイル等のリアモーターで共用しているなど、方向性が変わったわけでも目新しい技術であるわけでもない。
筆者が今回の発表で期待をもったのは、プレゼン資料の隅に小さく記載されていた「コア技術の進化」だ。
ひとつは、動力用モーターに使われる希土類(レアアース)の使用量削減だ。レアアースは中国への依存度が高く奪い合いになるため、コスト低減が難しい材料。
他メーカーでも、モーターに使用するレアアースを削減し、中国依存を少しでも解消しようといった動きがある。
日産は「磁石材料の進化」と「モーター磁気カイロの最適化」などの研究技術によって、レアアース使用量を2011年の初代リーフの100%に対して、2019年時点で25%を達成しており、さらに今後1%以下へと削減することを狙うという。
もうひとつが、インバーターの高出力高密度化だ。基板小型化、パワーモジュール小型化、そして、損失低減を狙ったSiC材料の採用など、細かな技術を積み上げて高出力高密度化を狙う。
日産はこれに加えて、2021年に発表した「熱効率50%」を達成する究極の発電専用エンジンや、長らく温めている全個体電池技術など、ゲームチェンジャーとなりうる「隠し玉」をいくつか持っている。
今回の発表の中ではそれらの進捗についての報告はなかったが、粛々と製品化を進めていると期待され、既存の電動車の性能を、ごぼう抜きする可能性があるのだ。
■24年登場の新型リーフから採用か!?
現行リーフの価格は408万1000円~583万4400円。次期型では手頃な価格での登場に期待したい
「X-in-1」の採用時期および車種については、筆者は2024年頃登場と予想している新型リーフからではないかと予想している。
現在のリーフは、40kWhが408万円~、60kWhが525万円~と、補助金前提としても安くはない(2022年12月に価格改訂。以前は40kWhが370万円~。60kWhが422万円~)。
中国の格安BEVまででなくとも、リーフと同じ車格となるCセグメントハッチのガソリン車の適正価格(250万~350万円)の次元までは到達したいところだ。
今回のプレゼンでは、頻繁に、「e-POWERやBEVは、運転がスムーズ」とアピールしていたが、BEVやe-POWERの走行性能については、ユーザーに既に伝わっているはず。
今回の発表にあったように、3年後の2026年にe-POWER車がエンジン車と同等の車両コストに到達でき、さらにインバーターの高出力高密度化などによって圧倒的な性能向上が実現すれば、日産の躍進に大きく貢献できる。
筆者が期待しているのは、マーチクラスのコンパクトなBEVを、補助金なしで税込250万円~300万円にて出すこと。
コンパクトBEVといえば軽の「サクラ」があるが、バリエーションの拡充は必要であり、軽じゃないけど使いやすいサイズであるマーチクラスのBEVをこの価格で登場させることができれば、よりユーザーの裾野を広げることができるはず。
「2030年度までに19車種のBEVを含む27車種の電動車を導入」とする日産。今後が非常に楽しみだ。
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