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シンプルさは簡単ではない マツダCX-5(3) 長期テスト 明快に表現された躍動感

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シンプルさは簡単ではない マツダCX-5(3) 長期テスト 明快に表現された躍動感

積算6646km しなやかで穏やかで躍動的

「本当にファッショナブルでカッコイイことをしても、既に時代遅れだということもありえます」。欧州マツダでデザイン部門を率いる、ジョー・ステネット氏が口を開く。

【画像】表現された「魂動デザイン」の躍動感 マツダCX-5 他のCXシリーズと写真で比較 全90枚

マツダが近年掲げるデザインスタイルの「魂動デザイン」と、駆動系やシャシーを統合的に捉えたスカイアクティブ技術が統合された、CX-5に対しての回答だ。可能な限り美しい仕上がりを追求する専門家の意見として、少し不思議な内容ではある。

だがこれは、マツダ社内のデザイン哲学に関わる飛躍的な思考でもある。興味深いと感じるのは、筆者だけではないだろう。

実際のところ、CX-5には弱点もある。適正なサイズだと主張されているものの、スカイアクティブ技術の1つといえる2.5L 4気筒の自然空気エンジンは、強みとはいえないだろう。一方で、そのスタイリングを批判することは難しい。

多くの自動車メーカーが、プレス技術と美しさとのせめぎ合いへ疲れたように、アグレッシブな顔つきに執着する一方で、マツダのボディはしなやかで穏やか。ディテールへの気配りと、流れるような面構成が与えられたボディは、躍動的な印象も与える。

新型SUVのCX-60が発表された際に、筆者はステネットへ質問する機会があった。マツダのモデルに共通する、シンプルでありながら特徴的なスタイリングの背景へ興味を抱いたためだ。

シンプルさを保つことは簡単ではない

活躍するデザイナーとの会話は、しばしば迷宮に迷い込んだような、腑に落ちないやり取りになることもある。だが、彼の発言は明快なものだった。

「シンプルさを保つことは、簡単なことではありません。デザイナーは沢山の要素を付加し、キラキラしたスタイリングを描き出すことを好みます。わたしは、それにブレーキを掛けるんです」

「それぞれの部分が完璧である必要があります。例えばマツダ3の場合、Cピラーからドアにかけて流れるような一体感があると思います。これも、正解を求めた結果です」

「多くのメーカーは、変化を与えるようなラインを入れるだけに留まります。わたしたちはそれを望まなかったので、困難さを高めました」

このスタイリングの要求はデザイナーだけでなく、エンジニアにとっても課題となる。大きなパネルは走行中に共振を生む原因になりえるが、折り目を加えることで強度を増せる。流れるような面構成では、そうはいかない。

長期テストのCX-5は走行距離が6000kmを超えたが、ボディはシャキッと一切の衰えを感じさせない。これも、デザイナーとエンジニアの努力のたまものだろう。

「魂動デザイン」の躍動的な印象は、CX-5で最も明快に表現されているとも話す。「CX-5は最新の仕上げではなくなりましたが、ロングノーズを含めた全体のプロポーションは、非常にピュアなままです」

「フロントノーズから始まり、ボディサイドを流れてリアで降下する、長く伸びるラインも特徴。ボディの長さを強調しています」

BEVで魂動がどのように進化するのか

この「魂動デザイン」が、マツダというブランドに巨大な影響を与えたことは疑いようがない。グローバルデザイン部門を率いる立場へ13年前に就いた、前田育男氏が掲げたビジョンによるものだ。

ステネットが続ける。「わたしにとって、過去10年間で得られた自信は大きなものです。成果に思い上がることなく、確信を抱き、大きな夢を抱くことにもつながったと思います」

英国でもCX-5とCX-30は人気が高い。この地では、マツダが販売する半数以上をこの2台が占めている。そして同社は次の課題に取り組み始めた。新しいバッテリーEVを「魂動デザイン」で仕上げることだ。

「わたしたちは、複数のサイズ展開が可能なスケーラブルEVプラットフォームの開発に取り組んでいます。BEVとして魂動がどのように進化できるのか、考えを詰めているところです」

「内部的に、答えが導かれたわけではありません。とてもエキサイティングな取り組みですが、恐怖感も共存します。クレイジーなことに取り組めるので、素晴らしいことですけれど」

積算7433km リアシートの可倒レバー

リアシートを荷室側から倒せるリリースレバーは珍しいアイテムではないが、CX-5の設計は素晴らしい。入れ子状になっていて、外側の大きいレバーは外側、内側の小さなレバーは中央のシートが倒せる。

フラットにはならないものの、荷室は充分に広い。40:20:40の分割で倒れるため、大人4名+スキーを快適に空港まで運んでくれた。

積算8281km 財布に厳しい2.5Lエンジンの燃費

グレートブリテン島の東部、スネッタートン・サーキットまでの往復で、2.5L 4気筒エンジンの燃費を改めて確かめてみた。高速道路中心では12.0km/Lへ接近したものの、郊外の穏やかな道を流した場合は11.0km/Lを割り込んでしまう。

英国でもガソリン価格は高騰中。お財布に厳しい数字だ。

テストデータ

気に入っているトコロ

滑らかな連携:インフォテインメント・システム用のホイールコントローラーは、アップル・カープレイと見事に連携して動く。

気に入らないトコロ

給油回数:燃費は若干伸びたものの、平均で11.7km/Lは優秀とまではいえない。

テスト車について

モデル名:マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(英国仕様)
新車価格:3万7785ポンド(約634万円)
テスト車の価格:3万8365ポンド(約644万円)

テストの記録

燃費:11.7km/L
故障:なし
出費:なし

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みんなのコメント

54件
  • 今さらテスト?
    発売から何年経ってんの?
    できるとしたら、経年劣化のテストくらいでしょ
  • デザインを大幅に変える勇気がないマツダにヒントをあげましょう。あのシンプルデザインでどうやって差別化をはかるか、方法はありますよ。ずばり「葉巻型F1」ですね。コンセプトデザインの時点での「ホンダCR-Z」みたいなイメージですね。CR-Zはホンダ曰く『コンセプトに近い形で出したでしょ!』と息巻いてましたが、コンセプトにあった葉巻型F1の面影は消えてしまいました。まあ、あのようにグリルを突き出すのですよ、いずれにせよ。

    まあ精進しなさい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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