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トヨタ新型ノア/ヴォクシー、フルモデルチェンジの詳細が判明。ライバルたちが青ざめる「7つの革新」

掲載 更新 57
トヨタ新型ノア/ヴォクシー、フルモデルチェンジの詳細が判明。ライバルたちが青ざめる「7つの革新」

2022年1月13日、トヨタの人気ミニバン「ノア/ヴォクシー」が第4世代へとフルモデルチェンジを果たした。およそ8年間で約140万台を売りまくったという従来モデルの魅力をしっかり受け継ぎながら、新型が目指したのは「もう一歩先の、新しい挑戦」。実車を前に開催された事前説明会を通して感じられたのは、ともすればキープコンセプトになりがちな定番モデルの、想定以上な劇的進化だった。

定番でありながら野心家。新型が目指したのは「もう一歩先に」
新型ノア/ヴォクシーが第4世代へとフルモデルチェンジを果たした。目指したのは「より快適に、より便利に、より安心なミニバンとして家族や仲間が笑顔になる時間を演出」すること。そのために「ミニバンにしか実現できないうれしさを一層深化」させるという、まさにファミリーユースの王道を行くコンセプトが謳われている。

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一方で、企画・開発・生産を一貫して統括してきた水澗(みずま)英紀チーフエンジニア(トヨタ車体株式会社取締役・執行役員 開発本部 本部長。ノア/ヴォクシーは2007年デビューの第2世代から開発を統括してきた)によれば、新型の開発陣には「もう一歩先に。新しいことにチャレンジしよう」という意気込みがあったという。

王道を行く定番ミニバンだけに、守るべき伝統とチャレンジスピリットの匙加減は、さぞかし難しかったと思う。ライバルに追いつきながら、大きく引き離す必要もある。だからこそ先代からの伸びしろが、やはりもっとも気になるところだ。そこで今回は、新型ノア/ヴォクシーの多彩な革新ぶりの中から7つのポイントを選んで、紹介していきたい。

革新 1: エクステリアから上級志向。最低限のサイズ拡大で最大限の上質感を演出
まず最初に触れておくべきはやはり、その存在感の革新ぶりだろう。

基本的なスタイルは3車型に分けられる。ノアにスタンダード/エアロの2タイプ、そしてヴォクシーという構成だ。グレード名はZ、S-ZとE-Fourモデルは2列目がキャプテンシートとなる7人乗りのみ、それ以外に2列目がベンチシートタイプの8人乗りも用意されている。

全長4695mm、ホイールベース2850mmという数値は先代から変わらない。一方で全幅は1730mmで、スタンダードモデルを含むすべてが3ナンバー化されたことは大きな変化と言える。全高は1895mm。長さ50mmのシャークアンテナを含めて、70mm高くなっている。

デザイン的には総じて、上級感が増した印象だ。メリハリがはっきりとしたマッシブなフェンダーを前後に備えるとともに、縦置きされていたテールランプを廃してアルファード/ヴェルファイアにも似たU字モチーフのリアエンドが新たに採用された。

3車の世界観を差別化しているのは、主にフロントマスクだろう。全グレードで厚みのある顔立ちは共通しているが、たとえばノアのスタンダードモデルの場合は、比較的シンプルな中にメッキのワインポイントがオシャレ感を引きたたせている。一方でエアロモデルでは、適度なインパクトをワイド感とともに演出。ほどよい「イカつさ」は、シニア層にも受け入れられやすいかもしれない。

革新 2: 販売体制の革新によって、ヴォクシーのお目立ち感がグレードアップ
そんな中、明らかに個性が際立っているのが新型ヴォクシーだ。2020年5月に販売チャネルが統合されたことで、どの系列ディーラーでもすべての車種が購入可能になった。ノアとの競合性がなくなったことによって、もともとインパクトたっぷりだったヴォクシーは、これまで以上に思い切りのいい「独自の世界観」によって差別化することができたという。

上段に配置されたLEDのデイタイムランニングライト、バンパーにビルトインされたフロントヘッドランプのコンビネーションは、まさに威圧感たっぷり。グリルには細身のバー形状から左右につなげて動きのある文様が施されるなど、かつてないプレミアム感とスポーティ感を醸し出している。

ともすればフロントマスクの「オシ出し感」ばかりが強調されがちだが、新型ノア/ヴォクシーはリアまわりにもしっかり重厚感が漂う。ベルトラインを上げることでサイドから見た「堂々感」も強まった。全身に漲る力感はもはや、ミドルクラスミニバンのそれではない。

力強さと言えば、ノア/ヴォクシーとしては初めて17インチホイールを採用していることにも、注目したい。スタンダードモデルでも16インチホイールを採用、足もとの力強さが増している。

これは、GA-Cベースのミニバン専用プラットフォームによって、基本骨格が一気に剛性を高めているおかげ。大径ワイドタイヤを履かせても、快適な乗り心地をキープすることが可能になった。

革新 3:機能性向上。2列目、3列目シートの快適性・使い勝手がグレードアップ
3ナンバーボディは、デザイン性を向上させるとともに機能面でもメリットを生んだ。

従来モデルの7人乗りでは、2列目のキャプテンシートをスライドさせる時、いったん内側にオフセットさせなければならなかった。新型ではストレートに745mmもの前後スライドが可能。密着感が緩和されるほか、2列目シート用の折り畳み式大型サイドテーブルが設定されている。

実車に乗り込んでみると2列目、3列目の開放感に驚かされるが、これも3ナンバー化の効能。さらにAピラーが非常に細く、三角窓も大きいことから驚くほどの開放感が実感できる。加えて前席シート背もたれの肩部分の形状を工夫するなど、後席からの視界も妨げないようにしてある、とのことだ。

シートの着座感にこだわるとともに、そこに乗りこむ時の優しさにも気を配っている。新型ではお年寄りや子どもが乗り降りしやすい「ユニバーサルステップ」を初採用。リアドアにリンクして開閉するシンプルな「からくり」構造によって、オプション価格3万3000円というコストパフォーマンスの高さも実現している。

革新 4:先進安全装備が充実。 ハンズフリードライブも可能にした最先端のADAS
水澗チーフエンジニアによれば、先代のノア/ヴォクシーは後発のライバルに対して、先進安全装備でやや見劣りしていたという。そこで新型では、一気にトヨタの最先端技術が数多く盛り込まれることになった。トヨタブランド初の機能も数多い。オプション設定も含めてある意味、「レクサス級」のADASが搭載されている。

その代表的な例が、「トヨタセーフティセンス」に設定された「プロアクティブドライビングアシスト」。運転状況に応じて、歩行者や自転車などの横断、飛び出しの危険性を先読みし、ステアリングホイール、ブレーキ操作を行うシステムだ。このシステムには、カーブへの侵入スピードが高すぎる場合に減速操作をサポートする機能も備わる。

また、高速道路、自動車専用道路において、ドライバーのウインカー操作に連動、車線変更のための操舵を安全確保しながら行う「レーンチェンジアシスト」機能も設定される。まさに、欧州プレミアムカークラス並みの運転支援装備だろう。

さらに、トヨタ自慢の高度運転支援技術「トヨタチームメイト」の新機能も充実している。

渋滞時(0~40km/h)にハンズフリーでのドライブを可能にした「アドバンストドライブ」をトヨタブランドとして初採用。また、並列駐車を支援する「アドバンストパーク」は、従来の後ろ向き駐車に加えて新たに、前向き駐車にも対応した。

しかもアドバンストパークには、スマートフォンアプリを利用したリモートパーキング機能まで付加されている。ハイブリッドモデル限定だが、使いこなせばとても便利な最新機能と言えそうだ。

革新 5:あると便利な新機能。乗り降り、出し入れがもっと自在に、安全に
人に優しいミニバン、という意味で開発陣がこだわり抜いたのが、実用性の向上だ。たとえばスライドドアは、BSM(ブラインドスポットモニター)を利用したセーフティ機能「安心降車アシスト」をプラスしている。助手席側後方から自転車やバイクが近づいてくる時にサイドドアを開けようとすると、警告音とともに作動を中断してくれるシステムだ。

バックドアはパワーとマニュアル、2タイプを用意。どちらもドアを押す動作によって任意の角度でポジションをキープできる「フリーストップバックドア」となった(世界初採用)。

電動バックドア車には、左右のスライドドアレール末端に、開閉スイッチを設定。後方に余裕が少ない駐車スペースでも、安全に荷物を出し入れすることができる。

革新 6:メカニズム一新。本家プリウスをさしおき、最新世代ハイブリッドを採用
用意されるパワートレーンは2タイプ。10速ダイレクトシフトCVTを組み合わせた2L 直4ユニット(最高出力170ps/最大トルク202Nm)搭載モデルは、WLTCモード燃費15.1km/Lを達成している。もちろんこちらも非常に高効率だが、注目はやはり1.8L 直4DOHCと電気モーターを組み合わせたハイブリッドユニットだろう。

これまで、トヨタのハイブリッドシステムはその大きな代替わりを、プリウスから行うのが通例だった。だが今回初めて、新型ノア/ヴォクシーから新世代のハイブリッド技術が投入されている。

プリウスの第4世代、アクアやヤリスなどの第4.5世代に対して、第5世代となる「トヨタ シリーズパラレルハイブリッドシステム」は、すべての電動モジュールが一新されている。モーター、バッテリーはより高出力化、1.8L直4DOHCも含めてシステム全体での効率が高められた。また、パーツ形状の細かな改良などによって、ユニット自体はよりコンパクトにまとめられている。

これらの改良によって、ハイブリッドのパフォーマンスはトータルで引き上げられている。最高出力はエンジン98ps+モーター95ps。最大トルクはそれぞれ142Nm+185Nmとなる。同時に、ハイブリッドモデル(2WD)のWLTCモード燃費は23.4km/Lと、先代ハイブリッドから約23%向上した。

同時に注目すべきは、電気式4WD「E-Four」の大幅なグレードアップだろう。4WD用リアトランスアクスルには、プリウスのシステムよりも高出力なリアモーターを搭載(最高出力41ps/最大トルク84Nm)。発進加速Gは従来比で約30%改善されている。またコーナリング時には、フィードフォワードによって適切な駆動力を配分する機能も備え、優れたライントレース性をサポートしてくれるという。

新型ノア/ヴォクシーのパフォーマンスアップは、日常的なシーンでもわかりやすく実感することができそうだ。

革新 7:つながる才能も大きく開花。ディスプレイオーディオはスマホ感覚
最後の革新ポイントとして紹介しておきたいのが、インターフェイスだ。インストルメントパネルの造形などは比較的シンプルだが、それがかえってスマートな機能性を強く感じさせている。素材にもこだわることで、非常に落ち着きのある室内空間が作り上げられている。

ここで注目したいのは、新しいディスプレイオーディオの採用だ。標準装備の8インチディスプレイ(ノアXのみ7インチ)はT-Connectのオプションサービス「コネクトナビ」に対応。登録から5年間は無料で、通信によるセンターからの各種情報提供や音声認識サービスなどの恩恵をスマートフォン感覚で楽しむことができる。

さらにエンタメ性にこだわるなら、オプションの10.5インチのフルHDワイド画面を持つ「ディスプレイオーディオPlus」がおススメ。映像コンテンツをより大きな画面で楽しめるほか、地図データなどを車載していることから、安定したサービス提供を可能にしている。

こうした様々な革新ポイントを見てくるとますます、「もう一歩」どころか数歩先までひと足飛びに進化したように思えてくる新型ノア/ヴォクシー。水澗チーフエンジニアの言葉の端々から感じられた「これまでやりきれなかったことを、第4世代でやりきった」という、すがすがしいまでの達成感と自信は確かに、優れた製品として結実しているように思える。

気になる価格帯は、ノアが267万円~389万円、ヴォクシーが309万円~396万円(どちらもウェルキャブを除く)。従来型に比べると車両価格もやや「グレードアップ」されているが、それに見合った上級シフトであることは間違いない。

まだ試乗する前の段階ではあるのだけれど、新型の伸びしろはノア/ヴォクシーのFMC史上最大と言えるかも。そんな予感が今、している。(文:Webモーターマガジン編集部 神原 久/写真:篠原政明)

■新型ヴォクシー ハイブリッド S-Z 2WD主要諸元
●全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1670kg
●エンジン:直4 DOHC+モーター
●総排気量:1797cc
●最高出力:72kW(98ps)/5200rpm
●最大トルク:142Nm(14.5gm)/3600rpm
●フロントモーター最高出力:70kW(95ps)
●フロントモーター最大トルク:185Nm(18.9kgm)
●トランスミッション:電気式無段変速機
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・52L
●WLTCモード燃費:23.0km/L
●タイヤサイズ:205/55R17
●車両価格(税込):374万円

■新型ノア ガソリン Z 2WD主要諸元
●全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1640kg
●エンジン:直4 DOHC
●総排気量:1986cc
●最高出力:125kW(170ps)/6600rpm
●最大トルク:202Nm(20.6gm)/4900rpm
●トランスミッション:電気式無段変速機
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・52L
●WLTCモード燃費:15.0km/L
●タイヤサイズ:205/60R16
●車両価格(税込):324万円

[ アルバム : トヨタ 新型ノア/ヴォクシー はオリジナルサイトでご覧ください ]

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