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長期テスト BMW 520d(最終回) 走りと燃費に優れた万能型サルーン

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長期テスト BMW 520d(最終回) 走りと燃費に優れた万能型サルーン

もくじ

ー 大人気の520d こだわりのSE
ー 洗練のエンジン 優れたインフォテインメント
ー ディーゼル+サルーンは死なず
ー 気に入っている点/気に入らない点
ー テストデータ

コンパニオン大特集(13) 東京オートサロン2019 画像72枚

大人気の520d こだわりのSE

最新のBMW 5シリーズは、飛躍的に進歩した動力性能と期待に違わぬオールラウンダーぶりで、SUV人気が高まるなか、伝統的なサルーンモデルの将来を心配するひとびとに希望をもたらすモデルだというのが、英国版AUTOCARのロードテストにおける結論だが、毎日をともに過ごすクルマとして本当に理想的なモデルと言えるのだろうか? そして、このクルマに不満を抱くことなどないのだろうか?

それを確かめるべく、8カ月の間、毎日の通勤だけでなく、5シリーズで週末の用事をこなしたり、家族旅行に出掛けたりしてみた。

そして、そのためのモデルとしてわれわれが選んだのは、低CO2排出量により税金負担を抑えられることから、5シリーズ・オーナーの大半を占めるカンパニーカーのドライバーの選択肢となっているディーゼルモデルの520dだった。

だが、決して何も考えずに大勢に従ったわけではない。多くがアグレッシブなルックスのMスポーツ仕様を選ぶところ、われわれは素のSEに拘っているが、これはその適切なサイズのホイールがもたらす良好な乗り心地に加え、このクルマにはナビやレザーシート、フロント/リアのパーキングセンサーに8速オートマティックギアボックスといった必要な装備がすべて揃っていたからでもある。


テスト車両にはさらに、「望ましい装備」として985ポンド(13万8000円)の電子制御ダンパー、「実用的な装備」として335ポンド(4万7000円)のスプリットフォールディング式リアシート、さらに「単なるギミック」として160ポンド(2万2000円)のクルーズコントロールといった数多くのオプションも装備されていた。

しかし、ノーマルモードでは速度表示が見えづらく、実際どれほどのスピードで走っているのかを確認するにはメーターを凝視する必要があったのだから、225ポンド(3万1000円)のヘッドアップディスプレーは選択すべきだっただろう。

それでも、レスポンスがやや鋭くなり、インストゥルメント表示が赤に変わるとともに、速度表示まで大きくなるスポーツモードを選択すれば解決できる問題ではあった。だが、エンジンを掛けるたびにモード切替えをしなければならないのは正直煩わしいだろう。

洗練のエンジン 優れたインフォテインメント

だが、5シリーズの走り自体は素晴らしいものだった。大型サルーンとは思えないレスポンスと節度感あるドライビングフィールが一体となり、どんな路面状況でも滑るような乗り心地を味わわせてくれた。

実際、動力性能における唯一ともいえる小さな不満は、このクルマにはBMWの四輪駆動システムであるxドライブが装備されていると思い、雪が積もるなかノースヨークシャーに住む家族に会うため520dを借り出した同僚からのものだけだったが、雪が降れば南へ向かえば良いのであり、トラクション不足を感じたことは一度もなかった。

かつて、BMWの4気筒ディーゼルでは騒音と冷間時の振動が気になったが、最新の520dが積むエンジンはスムースかつ静粛性にも優れ、例え予算内だったとしても、6気筒を積んだ530dを選ぶ必要性は感じられなかったほどであり、エンジン洗練度に関しては、このクルマの前に担当したボルボS90よりもはるかに520dのほうが優れていた。


さらに、インフォテインメントシステムを比較した場合、BMWとボルボの差はより大きなものとなる。S90のシステムは反応が遅く、ドライバーはいちいち目視しなければならないが、BMW最新のiDriveであれば操作ミスなど考えられない。

スクリーンはタッチ操作に敏感に反応し、停車時であれば瞬時に目的地入力を行うことができるとともに、ロータリーダイヤルやショートカットボタンによって、運転中であってもドライバーの注意力が削がれることはない。さらに、メニューは直感的な操作が可能であり、ボルボのようにイライラさせられることもなかった。

精緻に組み上げられた高級なインテリアといった、溢れる品質感も5シリーズの特徴であり、まだ小さな娘はどんなクルマに乗ってもすぐに寝付くとはいえ、11種類ものカラーから好みの室内照明を設定できる5シリーズはなかでも特別な1台だった。

ディーゼル+サルーンは死なず

では不満はなかったのだろうか? すべての荷物を積み込むことができなかったことなど1度もなかったが、トランクの形状は使い勝手が悪く、個人的には、5シリーズのルックスは3シリーズと7シリーズに似すぎているように感じられた。どのBMW製モデルにも独自のスタイリングが与えられていたクリス・バングル時代が懐かしい。

しかし、最新の5シリーズは7シリーズと同じアルミニウムとマグネシウム、チタニウムを使ったクラスター・アーキテクチャ(CLAR)をベースにしているからこそ、100kgもの軽量化に成功したのも事実なのだ。


その恩恵は、日々の通勤で混雑する都市部を通っていたにもかかわらず、長期テストにおける平均燃費が16.6km/ℓだったという事実にハッキリと現れている。一方で長距離移動では特に意識せずとも、21.2km/ℓ以上の優れた燃費性能を発揮してくれた。

それでもメーカー公称値には届いていないとはいえ、最近数日間乗ったプラグイン・ハイブリッドSUVの同じような条件での燃費が8.6km/ℓだったのだから、十分優秀だと言っていいだろう。

つまり、それほど急いでディーゼルと、そしてサルーンを諦める必要はないということだ。

セカンド・オピニオン(ダレン・モス)

ギアボックスとスロットルレスポンス、さらにはステアリングをもっとも効率的なセッティングに変更するというエコプロ・ドライビングモードでは、その結果としてどれほど航続距離が延びたかが表示される。個人記録は11kmの通勤路で勝ち取った5kmの延長だった。

気に入っている点/気に入らない点

気に入っている点

見事なドライビングフィール
5シリーズほどの静粛性と快適性を備え、ワインディングを楽しめるクルマはほとんどない。

印象的な燃費性能
メーカー公称値には届かないものの、長距離移動で記録した約23km/ℓという記録は印象的なものだった。

直観的なインフォテインメントシステム
BMWのiDriveはこの種のシステムとしてはベストの出来であり、レスポンスに優れ、操作も簡単だ。

気に入らない点

要領を得ないジェスチャーコントロール
ジェスチャーコントロールは単なるギミックに過ぎず、ステアリングのボタン操作のほうがはるかに簡単だ。

凡庸なスタイリング
「気に入らない」とは言いすぎかも知れないが、BMWには金太郎飴のようなデザインには戻って欲しくなかった。

テストデータ

テスト開始日:2017年8月14日
テスト開始時走行距離:480km
テスト終了時走行距離:1万5997km

価格

新車時価格:3万6185ポンド(506万円)
現行価格:3万7725ポンド(528万円)
テスト車両価格:4万3105ポンド(603万円)
ディーラー評価額:2万8745ポンド(402万円)
個人評価額:2万7560ポンド(385万円)
市場流通価格:2万5985ポンド(363万円)

オプション装備

18インチ・マルチスポークアルミホイール 995ポンド(13万9000円)、電子制御式ダンパー 985ポンド(13万8000円)、メモリー機能付き電動フロントシート 895ポンド(12万5000円)、グレイシャーシルバー塗装 675ポンド(9万4000円)、Bluetoothワイヤレス充電 475ポンド(6万6000円)、フロントスポーツシート 475ポンド(6万6000円)、バックカメラ 375ポンド(5万2000円)、折畳式防眩ドアミラー 335ポンド(4万7000円)、スプリットフォールディング式リアシート 335ポンド(4万7000円)、アンスラサイトヘッドライニング 265ポンド(3万7000円)、Apple CarPlay 235ポンド(3万3000円)、ディスプレーキー 235ポンド(3万3000円)、調整式ランバーサポート 225ポンド(3万1000円)、ジェスチャーコントロール 160ポンド(2万2000円)、 オンライン・エンターテインメント 160ポンド(2万2000円)、ハイビーム・アシスタント 95ポンド(1万3000円)、ランフラットタイヤ(無料)、wi-fiホットスポット(無料)

燃費&航続距離

カタログ燃費:24.4km/ℓ
タンク容量:68ℓ
平均燃費:16.6km/ℓ
最高燃費:22.9km/ℓ
最低燃費:12.7km/ℓ
航続可能距離:1131km

主要諸元

0-100km/h加速 7.5秒
最高速 235km/h
エンジン:1995cc 4気筒ターボディーゼル
パワー:190ps/4000rpm
トルク:40.8kg-m/1750rpm
トランスミッション:8速オートマティック
トランク容量:530ℓ
ホイールサイズ:18インチ、アルミニウム
タイヤ:ミシュラン・パイロットスポーツ 225/40 R18 92Y
乾燥重量:1635kg

メンテナンス&ランニングコスト

リース価格:366ポンド(5万1200円)/月
CO2 排出量:108g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
燃料コスト:1143.24ポンド(15万9900円)
燃料含めたランニングコスト:1143.24ポンド(15万9900円)
1マイル当りコスト:12ペンス(17円)
減価償却費:7440ポンド(104万円)
減価償却含めた1マイル当りコスト:89ペンス(125円)
不具合;なし

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