ゴールデンウイークの短期集中連載企画として、日本のスーパーカーブームを築いた1970年代のスーパーカーを紹介していきたい。最終回は、漫画「サーキットの狼」でおなじみのロータス・ヨーロッパだ。(ホリデーオート2019年11月号別冊付録より)
名車エランの後を継ぐスーパーハンドリングマシン
「LOTUS Europa:ロータス・ヨーロッパ」
1970年代のスーパーカー図鑑(1)「ランボルギーニ カウンタック」
1964年、ル・マン24時間などで活躍したフォードGT40というレーシングカーが生み出されるにあたり、ロータス社とローラ社の設計コンペがあった。結果、ローラ社の設計が採用されることになる。
ロータス社は不採用になった設計図を元にリーズナブルなミッドシップスポーツを作った。それがロータス ヨーロッパなのだ。
純レーシングカーのタイプ47を除くロードゴーイングカーとしては、S1、S2、ツインカム(TC)、スペシャル(SPL)と進化していくことになる。
どのシリーズにも共通しているのは、基本的なスタイリングと、逆Y字形バックボーンフレームを用いたミッドシップレイアウトということ。ただし、TCからはリア視界の確保のためにバーチカルフィンが低くなったのが特徴だ。
サスペンションは、フロントがトライアンフ・スピットファイアから流用したダブルウイッシュボーン、リアがロアアーム(Iアーム)とアッパーアームを兼ねるドライブシャフトで横方向の位置決めをし、ラジアスアームで縦方向の位置決めをする独特のものだ。
S1とS2ではエンジンにルノー16から流用された直4 OHVの1.5Lが用いられ、トランスミッションも同車からの流用で4速MTが搭載されていた。82psと非力ながら、665kgのFRP製の軽量ボディにより活発な走りが好まれ、クラブマンレーサーにも愛されることになる。
S1では窓も開かず、シートスライドもしないというスパルタンさだったが、S2では、パワーウインドーやシートスライドを装着するなど、実用性を増した。
TCからはその名のとおりDOHCエンジンが搭載される。フォード社製のエンジンブロックにロータス社製のDOHCシリンダーヘッドを搭載したもので、排気量も1.6Lとなり105psを発生した。
いわゆるスーパーカーブームで人気になったのは、72年に登場したスペシャルだ。DOHCではあったが1気筒あたり2バルブだったため、吸気効率を上げるために大径の吸気バルブを採用。圧縮比もTCの9.5から10.5まで高められた。
燃料供給は、オリジナルではデロルト製キャブ×2(北米仕様ではストロンバーグ式キャブ)を採用し、126ps/15.6kgmの動力性能を発生した。
トランスミッションも4速MTのみだったのが、オプションでゴルディーニ製の5速MTが選べるようになった。
快適装備や重くなったエンジンのために車重が710kgまで増加してしまい、とくにDOHCヘッドで重心が高くなるなど、コーナリングマシンとしての美点は薄らいでしまったが、最後のロータスらしいクルマとして今でも人気は高い。
ロータス・ヨーロッパ スペシャル 主要諸元
●全長×全幅×全高:4000×1640×1090mm
●ホイールベース:2335mm
●重量:710kg
●エンジン:直4 DOHC
●排気量:1558cc
●最高出力:126ps/6500rpm
●最大トルク:15.6kgm/5500rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
[ アルバム : ロータス・ヨーロッパ はオリジナルサイトでご覧ください ]
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