■6ドアボディにアメリカン発想×日本の伝統という変わり者
毎回さまざまなコンセプトカーが展示される国内外のモーターショーは、同じメーカーでも開催国ごとにキャラクターが異なるのもお国柄が見えて面白いものです。
2005年に北米で開催されたデトロイトショーでは、日産のプレミアムブランドであるインフィニティが「クラーザ」というモデルをワールドプレミアしていました。これも、開催国であるアメリカらしさが溢れる大型SUVだったのです。
【画像】「えっ…!」 これが「6ドア6人乗りSUV」です!(90枚)
クラーザは、一見すると同世代の「スカイライン」(V35型)風のフロントマスクを持つ単なる大型SUVに見えます。
しかし、丸みを帯びたフロントマスクに対して角ばったキャビンを持ち、中央あたりからルーフが盛り上がっており、室内空間に配慮していることをうかがい知ることができます。
室内には6人分の座席が3列に渡って用意されており、室内中央にはセンターコンソールビームがアーチを描いて走っていますが、これは一部が可動式となっており、左右のアクセスが可能となっていました。
そして高級3列SUVの弱点とも言える3列目シートへのアクセスのしづらさを解消する案として、観音開きとなる3列目用のドアを設けた斬新な「6ドア仕様」となっているのもクラーザの特徴です。
フロントとリア(2列目)ドアは一般的な前ヒンジのドアですが、3列目用のドアはリアヒンジとすることで、広い開口部とアクセスのしやすさを実現していたのです。
また、室内には日本的なデザイン要素を多く取り入れており、シートバックの形状は着物をイメージしたもので、生地の層は十二単(じゅうにひとえ)のデザインを参考にしたもの。
それぞれのシートバックに備わるインフィニティマークは家紋が備わる場所をイメージしていると言われていました。
インストルメントパネル中央に備わる16×6インチサイズの縦型大型タッチスクリーンセンターモニターは掛け軸をイメージしたものと言われており、近年採用例が増えている縦型スクリーンモニターの先駆けとも言えるものとなっていました。
パワートレインやボディサイズなどの詳細は明らかとなりませんでしたが、足元を力強く彩るアルミホイールは23インチ、タイヤサイズは305/45R23と超大径のものが採用されています。
一見ブラックに見えるボディカラーは特殊メタリックフレークを使用した3コートパール塗装による深みのあるバイオレットとされています。
このように非常にキャラクターの立ったインフィニティ クラーザでしたが、残念ながら実際に販売するには至らなかったものの、角ばったキャビンを持つSUVというキャラクターは、インフィニティブランドの上級SUVである「QX」(3代目)に継承されました。
ちなみにかなり癖のあるデザインとなっているクラーザですが、実はデザインは日本にある日産テクニカルセンターが担当しており、日本らしさを演出した内装の仕上がりには納得と言ったところではないでしょうか。
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