ドライバーズ・カーの最高峰はなにか? と、問われたら、筆者はメルセデス・ベンツ「Sクラス」と答える。快適性と操縦性のウェルバランスでいえば、このクルマの右に出るものはいないのでは? と、思う。
現行Sクラスは2013年に日本に導入された。すでに、約6年が経過したものの、オーラは失せていない。近年は、2018年にすばらしいドライブ・フィールを持つ「S400d」(直列6気筒ディーゼルターボ・エンジン搭載モデル)を追加設定し、さらに2018年末には「EQ POWER」と呼ぶプラグ・イン・ハイブリッドモデルの「S560eロング」を設定し、販売開始した。
【主要諸元】全長×全幅×全高:5285mm×1915mm×1495mm、ホイールベース:3165mm、車両重量:2330kg、乗車定員:5名、エンジン:2996ccV型6気筒DOHCツインターボ(367ps/5500~6000rpm、500Nm/1800~4500rpm)+モーター(90kW/440Nm)、トランスミッション:9AT、駆動方式:FR、タイヤサイズ:フロント245/45R19、リア275/40R19、価格:1697万円(OP含まず)。試乗車のタイヤサイズは、AMGラインプラス・パッケージ装着車だったため、フロントが245/40R20、リアが275/35R20。標準仕様は19インチ。S560eロングは、270kW(367ps)の最高出力と500Nmの最大トルクを発揮する3.0リッターV型6気筒ツインターボ・エンジンに、440Nmの最大トルクを発揮する電気モーターを組み合わせたプラグ・イン・ハイブリッドモデルだ。
容量13.5kWhを誇るリチウムイオンバッテリーは、2017年まで販売されていた「S550eロング」のもの(8.7kWh)よりだいぶ大きい。電気モーターのみで130km/hまでカバーするとともに、電気のみで40.1km走るのが特徴だ。ちなみに、JC08モード燃費(ガソリンエンジンおよびモーターをあわせた値)はリッターあたり11.8kmである。
給電口は、リア・バンパーの右側にある。意外なほど電気のみで走る!最初に乗りこんだときこそ、バッテリーの残量が少なかったため、EVモードを使えなかった。
高速道路をしばらく走っているうち、“EQパワー”の文字が入った計器盤内のメーターで、ガソリン・エンジンの動力や回生ブレーキによってバッテリーが充電されていくのがわかる。そして、一定のスピードで走るときは、ガソリン・エンジンがストップし、モーターのみで走行するようになった。
インテリア・デザインはほかのSクラスと変わらない。上質な木目とレザーをたっぷり使う。ステアリング・ホイールはACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)のスウィッチおよびインフォテインメント・システムの操作スウィッチ付き。インパネには、灰皿およびシガー・ソケットもある。エア・サスペンションは車高調整機能付き。操作スウィッチはセンターコンソールにある。S560eロングは、なるべく電気のみで走れるよう、ユニークな仕掛けをいくつか持つ。
ひとつは「インテリジェント・アクセルペダル」。EVモードで走行中、床までアクセルペダルを踏み込もうとすると、途中、ペダルが重くなる。重くなることで、エンジンが始動するのをドライバーに伝えるのだ。
搭載するパワーユニットは2996ccV型6気筒DOHCツインターボ(367ps/5500~6000rpm、500Nm/1800~4500rpm)+モーター(90kW/440Nm)。パワーユニットの作動状況は、インフォテインメント・ディスプレイにアニメーションで表示される。燃費および電費も、わかりやすい棒グラフで表示される。もちろん、床まで踏み込めば、エンジン+モーターによる圧倒的な走りをあじわえる。2290kgに達する車重を感じさせないのだ。また、モーターからエンジンに切り替わるときもいたってスムーズだから、圧倒的な加速感をあらゆる速度域で堪能出来る。
よくできたパワーユニットとともに、路面に張り付くような走りも魅力だ。低速域はソフトな乗り心地であるが、速度があがっていくにつれ、足まわりはビシッとする。そして、操舵感が少し重くなり、”矢のよう”という形容がぴったりの直進性によってドライバーに安心を与える。
JC08モード燃費は11.4km/L。特等席はドライバーズ・シート車名に“ロング”のサブネームがあるよう、S560eロングはホイールベースが標準モデルより130mm長い3165mmで、全長は5255mmに達する。試乗車のリアシートは、リクライニング機構などが備わる「ショーファーパッケージ」装着モデルだった。
くわえて試乗車は「デジーニョスタイルパッケージ」も装着していたため、シート表皮はソフトな感触のセミアニリンレザーだった。この上質なレザーをたっぷり使ったリアシートは、座り心地が素晴らしかった。
リアシートは電動調整およびヒーター/ベンチレーション機能付き。ショーファーパッケージ装着車のリアシート(助手席うしろ)は、大型レッグレスト付き。なお、リアシートから助手席位置を調整出来る。リアシートの調整用スウィッチはドアライニングにある。リアドアは電動サンシェード付き。ガラスルーフは、フロントのみ開閉可能。リアは固定タイプ。リアシート用の大型センターアームレストは、カップホルダーおよび小物入れ付き。とはいえ、どのシートが1番か? と、言えば、ドライバーズ・シートに如くはない。さきに触れたように素晴らしいドライバビリティを有しているところに、ひたすら感心するのである。
今回の試乗では、偶然にも、トヨタの新型「センチュリー」のとなりに駐車する場面があった。雰囲気はセンチュリーのほうが重厚で、逆にS560eのスタイリングは流麗かつ軽快なように思えた。そして、押し出し感はセンチュリーのほうがうんと強い。
リアシート専用のエンターテインメント用モニター付き。専用リモコンで操作する。ブルメスター(ドイツ)のサラウンド・システムは標準。リアシート専用のエンターテインメント・システムは、専用ヘッドフォンもある。リアシート用のエアコン・スウィッチは、センターコンソール後端にある。リアシートの乗員を保護する、シートベルト・エアバッグも備わる。そんな2台を並べて見て、「S560eは、本質的にはドライバーズ・カーである」と、あらためて思った。どのシートに座っても満足度は高いと思うが、やはりいちばんはドライバーズ・シートであると私は思う。
今、高級車の分野もSUVが増えている。しかし、高級車すべてがSUVになってしまったら、ちょっと味気ない世界なってしまう。Sクラスのような“いいセダン”が今後も存在することを期待したい。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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