自動車メーカーは、日夜研究開発を重ね、市場調査やユーザーのフィードバックも反映しながらクルマ作りをおこなっている。それゆえ需要があるところには基本的に何らかの車種が投入されているケースがほとんどだ。
しかし、「そのクルマを作る技術やリソースがあるなら、こんなクルマがあればもっと売れそうなのに」と思えるような例は少なくないのではないだろうか。本稿では、そんな「あったら売れる車」のなかでも実現度が高そうな例を4つピックアップし、渡辺陽一郎氏に解説してもらった。
【車名当てクイズ】この名車、迷車、珍車、ご存じですか? 第33回
文/渡辺陽一郎、写真/SUBARU、MAZDA、SUZUKI、NISSAN
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■スバル レヴォーグアウトバック
3代目レガシィアウトバック。この頃のサイズ感を再現するとしたら『レヴォーグアウトバック』が最適だ
「こういうクルマがあればいいのになぁー」「あれば売れるだろうなぁー」と思えるクルマの筆頭はレヴォーグアウトバックだ。
もともとレガシィアウトバックは、レガシィツーリングワゴンをベースに、外装をSUV風にアレンジして最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)を200mmまで拡大したクルマだった。
ワゴンをベースにSUVを開発することで、優れた悪路走破力と舗装路における走行安定性をバランス良く両立させていた。
メーカーにとっては、既存の車種をベースに使うと、新たに専用ボディのSUVを開発するのに比べてコストが低減される。そこで類似車種として、インプレッサスポーツをベースにしたXVも開発した。今ではSUVの開発手法として確立されている。
そして今でもレガシィアウトバックは存在するが、現行型はボディが大きくなった。全長は4870mm、全幅も1875mmだから、日本の道路環境で使うには持て余す。
そこで必要なのがミドルサイズのレヴォーグアウトバックだ。レヴォーグはレガシィツーリングワゴンの後継車種として、日本向けに開発された。そのために全長は4755mm、全幅も1795mmに抑えられて街中でも扱いやすい。
レヴォーグアウトバックのボディサイズは、外装パーツの装着により、全長は4785mm、全幅は1825mmといった数値になるだろう。
最低地上高は、レヴォーグは145mmだが、レヴォーグアウトバックでは195mmに拡大され、悪路のデコボコも乗り越えやすい。4WDとの相乗効果が発揮され、悪路走破力を大幅に向上させる。
そして最低地上高が195mmなら、全高も50mm高まって1550mmになるが、この数値であれば立体駐車場の利用性を妨げない。都市部でも使いやすい。
ちなみに現行レヴォーグのボディスタイルは、ややシャープな印象で存在感が強い。このデザインは、フェンダーのホイールアーチやボディサイドの下側にブラックの樹脂パーツを装着してSUV化すると、さらにカッコ良く見える。
エンジンは水平対向4気筒1.8Lターボのバランスが良い。価格はGT-Hの20万円アップという水準だ。つまりレヴォーグアウトバックGTは約369万円、アイサイトXなどを標準装着するGT-EXは約390万円の水準になる。
■マツダスピード3&マツダ3クロスオーバー
東京オートサロンに出展されたMAZDA MOTORSPORTS CONCEPT。マツダスピード3はこんなイメージ? 付加価値を付けるスポーツモデルは車種全体のブランドを高めてくれるはず
マツダ3の売れ行きは低迷している。2021年1~10月の1か月平均は約1100台で、直近の2021年10月は668台まで下がった。
マツダ3のような3ナンバーサイズのミドルサイズハッチバックは、海外では堅調に売れるが日本国内では全般的に低調だ。実用的で価格の割安なコンパクトカーに需要を奪われている。
そのためにマツダ3の売れ行きも、コンパクトカーのマツダ2に比べて約60%に留まる。マツダ3では、価格の割高なスカイアクティブXなども、イメージダウンに繋がった。
しかしミドルサイズハッチバックでも、工夫次第では堅調に販売できる。インプレッサスポーツをベースに開発されたXVは、2021年1~10月に月平均で約1400台を登録。インプレッサ(スポーツ+G4)の約1000台を大幅に上まわる。
日本自動車販売協会連合会のデータでは、XVはインプレッサに含められ、インプレッサシリーズ全体の60%を占める。
この消費動向も踏まえると、マツダ3に必要なのは、ユーザーの趣味性に訴える個性派モデルだ。
まずはマツダ3ファストバックに、マツダスピード3を設定したい。かつて用意されていたマツダスピードアクセラの復活で、エンジンはマツダ6などが搭載する直列4気筒2.5Lガソリンターボと、2.2Lクリーンディーゼルターボを用意する。
2.5Lガソリンターボの動力性能は、マツダ6では最高出力が230馬力、最大トルクは42.8kg-mだが、マツダスピード3は300馬力・45kgm程度にチューニングする。今のマツダの4WDは綿密な制御をおこなうので、これも併せて搭載すると優れた走行性能が得られる。
2.2Lクリーンディーゼルターボは、マツダ6では190馬力・45.9kgmだが、マツダスピード3では230馬力・50kgm程度まで高める。このエンジンはディーゼルながら最高出力を4500回転で発揮するため、スポーツモデルとの親和性も高い。駆動方式は4WDを採用する。
価格はマツダ3にスカイアクティブXを搭載するX・Lパッケージ・4WDと同等の360万円前後に設定したい。マツダ6・25T・Sパッケージのように400万円を超えると割高感が強まる。
またSUVにアレンジされたマツダ3クロスオーバーも欲しい。マツダ3の最低地上高は140mmだから、これを180mm程度まで持ち上げて、外装パーツも充実させる。エンジンは既存の2Lガソリンと1.8Lクリーンディーゼルターボで、価格はベースグレードの20万円アップ程度に抑える。
■三菱 eKパジェロ
かつてパジェロの軽自動車版として存在したパジェロミニ
三菱は今こそ攻めるべきだ。三菱はもともとパジェロ、デリカシリーズ、アウトランダーを主力に発展してきたから、SUVのイメージも強い。しかも今はSUVが人気を高めているため、三菱にとっては追い風だ。新型アウトランダーに対する関心も高い。
その一方で、今の売れ筋カテゴリーは軽自動車だ。2021年1~10月に国内で新車として売られたクルマの内、37%を軽自動車が占めた。
また今の三菱では、eKクロススペースを始めとするeKシリーズの人気も高く、国内で売られる三菱車の57%が軽自動車になっている。
そうなると三菱では、軽自動車サイズのSUVも充実させたい。前述のeKクロススペース、eKクロスもフロントマスクをダイナミックシールドのデザインに仕上げてSUVらしさを強調するが、最低地上高などはベーシックなグレードと共通だ。そこを一歩進めて、かつてのパジェロミニをeKパジェロとして復活させたい。
かつてのパジェロミニや現行ジムニーのように、後輪駆動ベースの4WDを採用して悪路走破力を高めるのが理想だが、商品化するなら日産ブランドでも用意する必要がある。日産としては、ノートオーテッククロスオーバーと同様、デイズクロスオーバーに位置付けたい。
そうなるとコストの低減も踏まえて、eKクロスとデイズをベースに最低地上高を拡大するのが現実的だ。ただし単純なSUV化だけでは弱いので、ルーフラインを後方に向けて大きく傾斜させ、アウディQ5スポーツバック、BMW・X4のような5ドアクーペ風に造り上げたい。
今の軽乗用車では、販売総数の50%以上をeKクロススペースのような全高が1700mm以上でスライドドアを装着するスーパーハイトワゴンが占める。これだけでは需要が伸び悩むので、三菱の得意な個性派SUVで攻めたい。
■日産 スカイラインクロスオーバー
以前の日産は新型車の投入が2年に1車種に滞るなど、国内市場を軽視していた。この傾向は今も残り、アリアの販売は中途半端で失敗しているが、ノートは頑張っている。
基本的に国内向けに開発され、上級シリーズのノートオーラ、SUV風のオーテッククロスオーバー、スポーツモデルのノートオーラNISMOも設定した。
特にノートオーラNISMOの価格は286万9900円で、ノートオーラGレザーエディションと比較して、約17万円の価格上昇に抑えた。機能や装備の割に価格が安く、NISMOはノートオーラ全体の約20%を占める。
そして2022年の前半には、エクストレイルのフルモデルチェンジも実施するが、キックスの売れ行きは伸び悩み、日産は売れ筋カテゴリーのSUVがいまひとつ弱い。
そこで軽自動車では、前述のデイズクロスオーバーを提案したが、上級モデルも必要だ。日産ではフーガとシーマの設計が古く、ほとんど売られていない。2021年1~10月の月平均は、フーガが約50台で、シーマは10台以下であった。
そこで復活させたいのが、SUVのスカイラインクロスオーバーだ。ハリアーなど、SUVでは高価な上級車種の人気も高い。
海外ではスカイラインと同様のインフィニティブランドで、QX50と、5ドアクーペ風のQX55が販売されている。この日本版を投入する。QX50とQX55のエンジンは直列4気筒2Lターボで、スカイラインの走りの良さに、SUVの実用性を加えている。
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みんなのコメント
トヨタやそれに提携するメーカーに対しては
ネガキャンをするのがノルマ。
つまりスバルにああしろこうしろって
こいつが言うのは、ご贔屓が有利になるように
するための世論操作。騙されてはダメだ!!