■アメリカとドイツの強力タッグが手を組んだ
世界の自動車産業における年始の一大イベントとして、毎年1月に開催されるのが北米国際オートショー(デトロイトモーターショー)です。
世界に1台のトヨタ新型「スープラ」が2億3000万円 市販モデルの約40倍の価格で落札
今年は、トヨタ「スープラ」がワールドプレミアをされるなど、新型車の発表で盛り上がりを見せたデトロイトモーターショーですが、アメリカ自動車産業の最重要拠点で行われるショーとあって、ビジネス面でのニュースも注目でした。
ビジネス面での今年一番のビッグニュースは、アメリカとヨーロッパ、それぞれのトップメーカーであるフォードとフォルクスワーゲン(VW)の提携が発表されたことです。
両社の提携交渉が報道されたのは、2018年後半のこと。実際には、それ以前から交渉が進められていたものと思われますが、最初の報道から公式発表まで数ヶ月という、非常にスピード感のあるディールでした。
では、その内容はシンプルなものだったのかというとそうではありません。あらゆる面で協力体制をとるという、非常にダイナミックな包括提携だったのです。
提携内容をより詳しく見ると、まずは商用車の開発に関して協業します。VWが得意とする小型商用車については、VWが開発したものをフォードブランドでも販売。反対に、ピックアップトラックのようにフォードが強みを持つ中型商用車についてはフォードが開発したものをVWでも販売します。
VWの商用車といえば、「ワーゲンバス」として知られるタイプ2のイメージが強いですが、現在欧州で販売されているトランスポルターという中型商用車はタイプ2の流れをくんでいます。
しかし、今回の提携をうけてトランスポルターはフォードが欧州で販売しているトランジットというクルマの次期型と統合されることになります。
タイプ2を愛するマニアからすれば少し複雑かもしれませんが、実用性やコストパフォーマンスが最優先される商用車においては、他社開発・生産のものを利用するほうがビジネス上のメリットは大きいのです。
ここまでは、自動車メーカー同士の提携交渉としては決して珍しいものではありません。他社開発・生産のクルマを販売すること(いわゆるOEM)は、両社に限らず多くの自動車メーカーが取り組んでいます。
新車を大量に販売することで売上を立て、コストを徹底的に切り詰めることで利益を上げることを基本的なビジネスモデルとしている自動車産業にとって、OEMは常套手段なのです。
今回の提携では、前出で述べた内容に加えてある覚書が交わされました。それは、『電気自動車(EV)、自動運転、モビリティサービスの分野における将来的な協業』についてです。
覚書のため、具体的な内容については未定とされていますが、これは未来の自動車産業を占う重要なポイントになるといえます。
電気自動車(EV)、自動運転、モビリティサービスという3つの要素の登場によって、自動車産業は100年に一度の大変革を迎えているといわれています。これは、単にクルマに新しい機能がついたというレベルの話ではありません。
これらの登場によって、既存のビジネスモデルが崩壊し、各国を代表する大企業である自動車メーカーであっても、いまのままでは事業を継続するのが困難になるとされます。
■これからのビジネスモデルに必要なモノとは
大手自動車メーカーがEVを開発し、自動運転の実証実験を行い、モビリティサービスを提供するベンチャー企業を買収するのは、このような背景があるためです。
しかし、こうした投資はいかに巨大な資本を持つ自動車産業にとっても簡単ではありません。VWは、2018年11月に『2023年までにこれらの分野に対して5兆円以上の投資を行う』ことを発表しました。
VWは、2017年に1兆5000億円もの純利益を上げていますが、それをはるかに超える規模の投資となります。商用車での提携によるコストの削減は、自動車(EV)、自動運転、モビリティサービスといった分野へ投資するための、資金調達の一貫と見ることができるでしょう。
世界の自動車産業は、アメリカ、ドイツ、そして日本の3つの国が牽引してきました。そのうちの2つの国のトップメーカーが手を組んだ中で、日本の自動車メーカーはどのように動くのでしょうか。
日本のトップメーカーであるトヨタは、ソフトバンクやデンソーなどといった企業と新会社を設立、モビリティサービスのさきがけともいえるUberへ500億円を超える出資を行ったりしています。
また、日産やホンダもそれぞれに取り組みをしています。しかし、今回のVWとフォードのように、ほかの企業との包括的な提携を行う予定はないようです。
そもそも、日本の自動車メーカーは海外の自動車メーカーと提携することに積極的ではないきらいがあります。過去に行われた日系メーカーと海外メーカーの提携は、極めて限定的なものか、そうでなければ倒産の危機に瀕して結果合併せざるを得なかったというような場合がほとんどありません。
日本の自動車メーカーは、世界に誇る技術力の高さで数々の困難を打ち破ってきました。とくにモビリティサービスの開発・設計などは、これまでの自動車の開発とはまったく異なる能力が必要です。
来るべき時代に向けて、これまでの慣習にとらわれない異業種との協業など柔軟な発想が必要なのかもしれません。 【了】
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