現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ホンダの切り札 VTECのタイプR シビック/インテグラ/アコード 3台を振り返る 中編

ここから本文です

ホンダの切り札 VTECのタイプR シビック/インテグラ/アコード 3台を振り返る 中編

掲載 1
ホンダの切り札 VTECのタイプR シビック/インテグラ/アコード 3台を振り返る 中編

巧妙にチューニングされたパッケージ

CH1型ホンダ・アコード・タイプRを走らせる。流れの良い郊外の道が、あっという間に後ろへ過ぎ去っていく。H22A7エンジンの鮮烈さが体に馴染んでくると、シャシーがどのように道を処理するのか、次の領域へ意識を配れるようになる。

【画像】アコード、シビック、インテグラ 3台のホンダのタイプR 最新型シビック・タイプRも 全85枚

ステアリングホイールの反応はシャープでクイック。ホイールベースが長いおかげで、挙動は乱れにくい。アコード・タイプRは1クラス上の風格を漂わせながら、ハイペースで路面を進む。

エンジンのサウンドが高速域へ誘う。そのままカーブへ侵入すると、安心感を伴ったまま軽快に旋回していく。トルセン式LSDはトラクションを保ちつつ、操舵感にはまったく影響を与えない。巧妙にチューニングされたパッケージであることを、実感する。

筆者のおぼつかないドライビングスキルを考えて、程々のところでガソリンスタンドへ立ち寄った。残る2台のタイプRと合流するために。

アルミホイールは、沢山のブレーキダストが付着し光沢を失いかけている。乾燥した路面コンディションのおかげで、レッドに塗られたボディは汚さずに済んだ。

アコード・タイプRとは別物のVTECユニット

コンポーネントの共有化が進む近年では、ホットハッチとホットサルーンに同じエンジンが積まれていることも珍しくない。最高出力は異なっていても、基本的に内部構造は共通で、ECUや吸排気系の調整などで変化が与えられている場合が多い。

しかし、この時代のホンダは違う。アコード・タイプRの2.2L 4気筒エンジンは、EK9型シビック・タイプRやDC2型インテグラ・タイプRのものとは別物だ。

ホワイトのハッチバックのボンネットに収まっているのは、B16Bと呼ばれる1.6L直列4気筒。ツインカムで16バルブのヘッドが組まれ、レブリミットはアコード・タイプRより高い8600rpmに設定されている。

最高出力は185ps/8200rpmで、最大トルクは16.3kg-m/7500rpmを発揮する。1.0L当たり115psを達成しており、1997年の発売当時は市販エンジンで最も排気量当たりの出力が高い自然吸気ユニットだった。

ブラックのインテグラ・タイプRの方は、B18C型の1.8L直列4気筒。基本的にはシビック・タイプRと同じシリーズ・ユニットだが、最高出力190ps/8000rpm、最大トルク18.0kg-m/7300rpmを発揮し、レブリミットは8400rpmに設定されている。

欧州に導入されなかったEK9型タイプR

ノーマルのシビックやインテグラでも、サスペンションは前後ともにダブルウイッシュボーン式。小さなハッチバックやクーペとして、充分に上等といえた。

タイプRでは、専用のダンパーにコイルスプリング、ブッシュ、アンチロールバーなどを獲得。またボディシェルの各部が強化され、ストラットブレースも追加され、剛性が高められている。リミテッドスリップ・デフも組まれた。

この2台では、EK9型シビック・タイプRがCH1型アコードの次に新しい。小さく軽くシンプルなホットハッチとして、プジョー205 GTiの終了で開いた穴を埋める存在になりえたはずだが、意外にも初代は欧州市場へ導入されなかった。日本限定のお宝だった。

シビックのインテリアが安っぽい、と表現するのは適切ではないだろう。確かに、カーボン調のグラフィックが与えられたメーターパネル周辺は、洗練されているとはいいにくいけれど。

フロアカーペットは、レカロ・シートと同じレッド。全体の質感を高めるものではないにしろ、間違いなくドライバーの気持ちは上げてくれる。

尖ったエッジを感じるアクセルレスポンス

チタン製のシフトノブを握り、レバーを左右に揺さぶり、ニュートラルであることを確かめる。ゲート間には、適度な弾力がある。これだけで、どこへ開発予算が投じられたのかを理解できる。見えないところに、しっかり注がれている。

キーをひねると、アコード・タイプRと同じようにVTECエンジンは即座に始動した。ところが、上質な素振りは一切ない。

余分なものが剥ぎ取られ、軽量化されたコンパクトなボディシエルは、外界の空気と車内とを隔離するという最低限の仕事しかしない。そのシリアスさが素晴らしい。

さらに、レーシングカーのようなアクセルレスポンスに、EK9型の尖ったエッジを感じる。ストロークは驚くほど短く、完全にオンかオフか、一方を選ぶスイッチのよう。どちらにするかと聞かれれば、今回はオンが適切だろう。

1.6Lエンジンへガソリンを送り込むと、6000rpmまでは4気筒らしいノイズで回転数が上昇していく。そこからVTECがカムを切り替え、躊躇なく叫び声を響かせ始め、レブリミットの針が跳ね上がる。胸のすくようなパワーとともに。

この続きは後編にて。

こんな記事も読まれています

全長4m以下もしっかりプレミアム!! 70万円で狙える初代[アウディA1]は前期で十分! でも気をつけたいポイントって?
全長4m以下もしっかりプレミアム!! 70万円で狙える初代[アウディA1]は前期で十分! でも気をつけたいポイントって?
ベストカーWeb
やっぱりクルマは自分のものにしたい……ってのは古い考え方? 買えない人気車に乗れるけど最後は返却する「サブスクサービス」を考える
やっぱりクルマは自分のものにしたい……ってのは古い考え方? 買えない人気車に乗れるけど最後は返却する「サブスクサービス」を考える
WEB CARTOP
“戦略失敗”の雨は「本当にヤバかった」。フェラーリ499P最大の弱点は不安定なコンディション?
“戦略失敗”の雨は「本当にヤバかった」。フェラーリ499P最大の弱点は不安定なコンディション?
AUTOSPORT web
スーパーGT第2戦富士、その舞台裏で起きていた車検違反の協議。お咎め無しの裁定に坂東代表が私見「規則の解釈に関しては話をすべきだが……」
スーパーGT第2戦富士、その舞台裏で起きていた車検違反の協議。お咎め無しの裁定に坂東代表が私見「規則の解釈に関しては話をすべきだが……」
motorsport.com 日本版
Pゼロでさらに速く機敏に! マクラーレン・アルトゥーラ 長期テスト(4) じっとり濡れたカーペット
Pゼロでさらに速く機敏に! マクラーレン・アルトゥーラ 長期テスト(4) じっとり濡れたカーペット
AUTOCAR JAPAN
高速SAPAの[EV充電器]は初心者にとっては地獄! 性能表示ナシなんてありえない!【清水草一の道路ニュース】
高速SAPAの[EV充電器]は初心者にとっては地獄! 性能表示ナシなんてありえない!【清水草一の道路ニュース】
ベストカーWeb
オコンがカナダGP欠場のうわさを否定。ガスリーとのインシデントに対するオンライン上の中傷を批判
オコンがカナダGP欠場のうわさを否定。ガスリーとのインシデントに対するオンライン上の中傷を批判
AUTOSPORT web
ホンダ「新型スポーティコンパクト」登場へ まさかの「次期シティターボ」!? 丸目“旧車デザイン”で期待の「斬新モデル」 26年に投入なるか
ホンダ「新型スポーティコンパクト」登場へ まさかの「次期シティターボ」!? 丸目“旧車デザイン”で期待の「斬新モデル」 26年に投入なるか
くるまのニュース
【MotoGP】マルケスの来季をめぐり揺れるライダー市場。本人は「グレシーニ契約時からこれを期待していた」と余裕見せる
【MotoGP】マルケスの来季をめぐり揺れるライダー市場。本人は「グレシーニ契約時からこれを期待していた」と余裕見せる
motorsport.com 日本版
小さなランクル登場へ!! [ランクルFJ]は伝統のラダーフレーム採用! 約350万円で2024年末登場か!?
小さなランクル登場へ!! [ランクルFJ]は伝統のラダーフレーム採用! 約350万円で2024年末登場か!?
ベストカーWeb
自転車も違反によって「講習会」の受講命令が下る! バックレると「罰金」だった!!
自転車も違反によって「講習会」の受講命令が下る! バックレると「罰金」だった!!
WEB CARTOP
【クルマら部】クルマ愛クイズ!今回は「トヨタ・ヴィッツ」から全4問!
【クルマら部】クルマ愛クイズ!今回は「トヨタ・ヴィッツ」から全4問!
レスポンス
ピレリ、フェラーリとポール・リカールで2日間のタイヤテストを完了。2025年用コンパウンドや新ウエットタイヤを評価
ピレリ、フェラーリとポール・リカールで2日間のタイヤテストを完了。2025年用コンパウンドや新ウエットタイヤを評価
motorsport.com 日本版
 スバル[BRZ]の一部改良モデルが生産終了! 間もなく毎年恒例の年次改良を発表か?
 スバル[BRZ]の一部改良モデルが生産終了! 間もなく毎年恒例の年次改良を発表か?
ベストカーWeb
ヤマハ、カタルーニャGPに続き新エアロで走行。リンス、プラクティス2番手の要因は/第7戦イタリアGP
ヤマハ、カタルーニャGPに続き新エアロで走行。リンス、プラクティス2番手の要因は/第7戦イタリアGP
AUTOSPORT web
「紀伊半島ぐるり高速」の最南端でトンネル貫通! 未開通区間でも工事着々
「紀伊半島ぐるり高速」の最南端でトンネル貫通! 未開通区間でも工事着々
乗りものニュース
クルマの「左寄せ」って危なくないですか? ギリギリで“接触”する危険もあるのではないでしょうか。 教習所で教わる「キープレフト」はどのような運転をすれば良いのでしょうか?
クルマの「左寄せ」って危なくないですか? ギリギリで“接触”する危険もあるのではないでしょうか。 教習所で教わる「キープレフト」はどのような運転をすれば良いのでしょうか?
くるまのニュース
カモフラ柄の斬新なフェラーリは“破天荒な御曹司“の特注品! オークションに登場した「特別な跳ね馬」の気になる落札価格とは?
カモフラ柄の斬新なフェラーリは“破天荒な御曹司“の特注品! オークションに登場した「特別な跳ね馬」の気になる落札価格とは?
VAGUE

みんなのコメント

1件
  • 「ホンダ、軽蔑するトヨタの“猿真似経営”で普通のメーカー化…聖域・技術研究所にメス」
    しがらみのない技術研究所で自動車開発に専念できることが、技術でライバルをリードするホンダの競争力の源泉だったはずだが、あっさりとその看板を下ろす。しかも「社員の多くがもっとも軽蔑するトヨタ自動車」(ホンダ社員)と似たような戦略を相次いで打ち出している。普通の自動車メーカーになるホンダに明日はあるのか。


    トヨタばっかり意識し過ぎて勝手に自滅していくホンダ笑
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

544.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

25.0400.0万円

中古車を検索
アコードの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

544.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

25.0400.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村