世界最速のクルマが楽しいとは限らない
世界最速のクルマが、世界最高に楽しいクルマだとは限らない。実際のところ、そんなスピードは現実的ではない。免許証が何枚あっても足りなくなるだろう。
【画像】最速が楽しいとは限らない スバルBRZとトヨタ86 初代と2代目 ソルテラとbZ4Xも 全118枚
今回取り上げる、ZC6型の初代スバルBRZは、間違いなく最速ではない。それでも、日常的な速度域で最高の動的能力を発揮できる、すこぶる楽しいスポーツカーだ。双子の兄弟、先代のトヨタ86と同様に。
その鍵を握っているのが、限界領域の低さと、ドライバーを選ばない親しみやすい性格。BRZのグリップ力は高くない。基本的にタイヤは、トヨタ・プリウスが履くものと同等。しなやかな乗り心地を叶えつつ、気張らずにテールスライドを引き出せる。
危ない特性に思えるかもしれないが、過度な心配は不要といえる。BRZはドライバーズカーとして磨き込まれている。コミュニケーション力に長け、挙動を予想しやすい。ある程度のスキルを備えていれば、充分に手懐けられる。
ダイレクトで適度な重さのステアリングと、バランスに優れたシャシーで、クルマとの一体感は抜群。常に操縦下においておける。万が一に備えて、電子制御によるセーフティネットも控えている。
サスペンションの設定はトヨタの86と少し異なり、BRZの方が僅かにハード。そのぶん、回頭性はよりシャープだ。
手頃な価格で最高のドライバーズカー
トランスミッションは、6速マニュアルを選択できた。操っているという感覚を強めるだけでなく、シフトフィールも素晴らしい。6速ATも選択可能だが、折角のスポーツカーだからMTを選びたいところ。
0-100km/h加速は、MTなら7.6秒。ATは8.2秒と0.6秒劣る。ペダルとシフトレバーを操る人にもよるけれど。
2.0L水平対向4気筒エンジンが発揮する最高出力は、ホットハッチ級の200ps。自然吸気だから、最大トルクは20.8kg-mと細め。そのかわり、現実的な速度域でも高回転域までしっかり使い切れる。お望みなら、チューニングでパワーアップも可能だ。
初代BRZでもう1つの魅力といえるのが、手頃な中古車価格。2012年に英国で販売が始まった時は2万6000ポンドだったが、現在は1万ポンド(約161万円)程度の例も珍しくない。
英国でも、ディーラー網が充実しているトヨタ86の方が販売台数は多かった。しかしモデルチェンジした今では、希少性の高いBRZの方が、より高い誘引力を備えているように思う。実際、取引価格は僅かに高い。
手頃な価格のドライバーズカーは、最近ではめっきり数が少なくなった。初代スバルBRZは、そのなかで最高の1台に数えられる傑作だ。
オーナーの意見を聞いてみる
ニール・ウィン氏
「2015年のグッドウッド・フェスティバルで開かれたトヨタのプロモーション・イベントに、86を利用したドリフト体験会がありました。スキッドパン上で、2速に限定された低速ドリフトでしたが、自由度の高いシャシーへ惚れ込んだんです」
「自分の人生で所有するべきクルマだと決心しました。幸運にも数カ月後に、新車のようなBRZのワンオーナー車が、近所のディラーで販売されているのを発見。購入に至りました」
「まさに完璧といえるようなクルマで、今でも運転を心から楽しんでいます。標準タイヤのミシュラン・プライマシーはウェット時のグリップが弱かったので、今はワイドなホイールにパイロットスポーツ4を組んで履かせています」
「アイバッハのローダウン・スプリングと、剛性の高いアンチロールバーへ交換もしています。これらのアップグレードで、コーナリングが一層シャープになりましたね」
知っておくべきこと
初代BRZはチューニングのベース車両としても好適。英国でも、各社から数多くのパフォーマンス・パッケージが提供されている。名門コスワースなら、スーパーチャージャーを組むことで、280馬力以上の最高出力と31.0kg-mの最大トルクを実現できる。
既に改造されているBRZを購入する場合は、その内容を精査したい。部品の銘柄もチェックポイントになる。
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
アイドリングが安定しない場合は、ECUのソフトウエア・エラーが原因かもしれない。再マッピングで解決できる。
ステアリング
低速での旋回中にコツコツと叩くような音が出る場合は、ステアリングダンパーの劣化が原因かも。比較的安価な部品で、交換も難しくない。
クラッチ
初期のBRZのMT車では、トランスミッション・スローベアリングの劣化でクラッチフォークの不具合を招くことがある。クラッチペダルを踏んで、異音が出るならその兆候と考えられる。早めのベアリング交換で未然に防げる。
トランスミッション
MTの場合は、2速へ滑らかに変速できるか確かめる。シンクロコーンは冷間時に動作が遅くなり、シフトフィールが悪くなる。1速からシフトアップする場合は、ニュートラルで一拍置いてから2速へ倒した方が良いだろう。専門家はフルード交換も推奨する。
ボディ
大雨が降ると、テールライト内が曇ることがある。シーリング処理で防げるが、湿気がこもると内部の腐食が進みがち。
インテリア
試乗で内装から振動音が出ないか確かめる。リアシート側の内装トリムやパーセルシェルフ、ダッシュボードの下部がカタカタと鳴りやすい。初期型の場合、4000rpm以上の回転数でシフトレバーが振動することも珍しくない。
英国ではいくら払うべき?
1万ポンド(約161万円)~1万2999ポンド(約208万円)
個人が販売する、初期のBRZを英国では探せる価格帯。事故歴のある車両も含まれる。走行距離は10万km前後になるようだ。
1万3000ポンド(約209万円)~1万6999ポンド(約272万円)
スバルを得意とする中古車店が扱う例を英国では探せる。状態は価格なりに良くなる。走行距離は8万km前後が中心。
1万7000ポンド(約273万円)~1万9999ポンド(約321万円)
状態の良い、2017年式のBRZを英国で狙える価格帯。スタイリングの小変更に加えて、ダンパーなどへ改良を受けたフェイスリフト後の2018年式も含まれる。
2万ポンド(約322万円)以上
走行距離が3万5000km以下の、ショールーム・コンディションのBRZを英国では選べる。
英国で掘り出し物を発見
スバルBRZ 2.0i SE 登録:2016年 走行距離:6万9200km 価格:1万6995ポンド(約272万円)
状態の良いBRZとして、平均的な価格帯。走行距離も年式を考えれば妥当で、トランスミッションはマニュアルだ。オプションとして、パイオニアのインフォテインメント・システムを搭載する。
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
今月は自動車税が払えない! 悩める人よ! 自動車税はクレカや決済アプリで払えることを知っているか?
追いつめられるバスドライバー! なぜバス会社は従業員を守らず、乗客クレームに加担するのか?
ホンダ三部社長ブレずに「2040年にBEV+FCV100%、2030年に40%(200万台)」を明言 ホントか…? ホントに出来るのか??
「ガソリン代が安くて最高!」 日本一「燃費のいいクルマ」ってどれ? “財布に優しい”国産車トップ3とは
1000馬力“4.1L V6”搭載!? 新「GT-R“R36”」まもなく公開!? 「歴代デザイン」採用で製作始まる! 日産「和製スーパーカー」の正体とは
みんなのコメント
限界が低く、その低い限界を知らせない、限界を超えた時のインフォメーションも最悪
なお現在の2.4リッター化された車はパワステの設定変更で大変改善されています
完璧では無いけど元々の酷さから考えたら凄い改善