現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【奥が深いタミヤの世界】驚異のこだわり 情熱は衰えず 前編

ここから本文です

【奥が深いタミヤの世界】驚異のこだわり 情熱は衰えず 前編

掲載 更新 9
【奥が深いタミヤの世界】驚異のこだわり 情熱は衰えず 前編

G500とスープラ

タミヤは決してシンプルとは言えない構造を持ちながら、簡単に組み立て可能なラジオコントロールモデルを初めて生み出すことに成功したメーカーだ。

【画像】奥深きタミヤの世界 全6枚

数えきれないほどの子供たちが、タミヤのお陰でクルマや機械への愛情に目覚め、いまや世界中にコアなファンが存在している。

1960年代以降、タミヤはプラスチック製モデルやラジオコントロール(R/C)カーの高い品質でその名を知られるようになったが、何よりひとびとを驚かせたのがデザインやディテールに対するそのこだわりだった。

誰もが夢中になったR/Cカーやバギーでは、複雑なシャシーとドライブトレインに加え、実車さながらのウィッシュボーン式サスペンションやダンパー、ディフェレンシャル、変更可能なギアレシオまで再現していた。

R/Cカーを操るには本物のドライビングスキルが求められ、まるで反射神経を試すかのように、R/Cバギーをタイトコーナーへと突っ込ませる経験などなかなか出来ないだろう。

そして、タミヤから登場した最新のR/Cカーの2台が、メルセデス・ベンツG500とトヨタ・スープラだ。

G500は新CC-02(CCはクロスカントリーを意味している)シャシーをベースに、シンプルなタブ形状ではなく、ラダーフレーム構造を採用しており、複雑な機構を持つサスペンションとドライブトレインは実車さながらの動きを見せる。

その結果、20種類のレシオが選択可能なシングルスピードのギアボックスとともに、悪路のレースでは最高のパフォーマンスを発揮することが出来るだろう。

信頼と尊敬の証し

一方のスープラだが、タミヤのロードゴーイングモデル向けTT02シャシーをベースにしており、実車と同じタイミングで販売が開始されている。

これこそがタミヤに対する信頼と尊敬の証しであり、トヨタではスープラが公開されるはるか以前に、タミヤに対して極秘デザインとCADデータへのアクセスを許可していたのだ。

創業当時、タミヤがこの2台を創り出すことになるとはまったく想像出来なかった。

かつては木材を扱っていたタミヤが決して精巧とは言えない木製モデルの製造を始めたのは、第2次世界大戦後のことだ。

当時登場し始めたばかりのモデラーたちは、研いだばかりのペンナイフで少しずつこうしたモデルの形を整えていったが、最終的に完成させるには大変な根気のいる作業だった。そして、そんな若者のひとりがタミヤ創業者である田宮義雄の息子、俊作だ。

1960年代に入り、当時新たに登場し始めていたプラスチック製モデルに関心を持ったタミヤは、そのための金型を開発している。

なお、田宮俊作の製品作りに対する情熱はいまも衰えておらず、タミヤを率いる立場でありながら、彼はいまも現場主義を実践しており、個人的に新しいモデルのための計測や研究などを行っているという。

素晴らしき出会い

当初、タミヤの製品は日本とアジア市場だけで販売されていたが、その状況にもすぐに変化がもたらされている。

当時英国では、おもちゃ卸のリチャード・コーンスタム社(RIKOと言えば思い出すかたも多いだろう)のデビッド・ビンガーが、欧州では販売されていない新たな商品を探していた。

1966年、米国出張中に輸入されたタミヤの製品を見つけた彼は日本へと向かい、若き日の田宮俊作と、その父でありタミヤ創業者の義雄と初めて顔を合わしている。

これが、タミヤとビンガーの長きにわたる成功物語の始まりであり、タミヤの英国と欧州市場進出のきっかけとなる出来事だった。

現在タミヤ製品の輸入元となっているホビー・カンパニー社のトップを務めるのは、デビッドの息子、ピートだ。

後年、田宮俊作は彼に、「デビッドは熱心に英国進出を進めてくれましたが当初は懐疑的でした。ですが、デビッドの勇気と先見の明が、われわれに欧州市場進出の機会を与え、タミヤを世界的なブランドにしてくれたのです」と書いた手紙を送っている。

ビンガーはこの話を受けて、「父が欧州全域にまたがるネットワークを構築するとともに管理していました。さらに、すぐにセールスの拡大にはモデルラインナップの拡充が必要だということ証明したのです」と、語っている。

伝説のプラモデル

モデルラインナップが増えるにつれ、タミヤのプラモデルはその品質の高さと、病的なまでの細部へのこだわりで知られるようになっていった。

F1マシンのモデル化に大きな可能性があると感じたデビット・ビンガーは、グリン・ピアソンを英国に拠点を持つF1チームに派遣し、彼らのグランプリカーを商品化する権利を獲得している。

その結果誕生したのが、ホンダRA273やロータス49、ロータス72といった伝説的なプラモデルたちだ。

「ロータス72の大ヒットによって、タミヤの名は英国中で知られるようになりました」と、ビンガーは言う。

ビンガーは田宮俊作のことを、完ぺきさと細部にこだわる「究極の記録魔」だと評している。

「他のスタッフはコストを気にしていましたが、彼は完ぺきさだけを求めていました。それは今でも変わりません。つねに自ら興味を持った対象の情報を集め、決して写真や伝聞だけでは満足しないのです。かつては写真撮影と研究のために世界中を飛び回っていました」

F1がいまよりも牧歌的だった時代、エンジンは交換するものではなく修理するものだったために、溶接補修されたオイルパンをモデルにしたタミヤのプラモデルでは、その溶接線まで再現されていた。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

F1関係者への入国拒否が続くラスベガス。角田裕毅も足止め「危うく帰国させられるところだった。来られてラッキー」
F1関係者への入国拒否が続くラスベガス。角田裕毅も足止め「危うく帰国させられるところだった。来られてラッキー」
AUTOSPORT web
Team HRC、S耐の2年計画を完遂。初期メンバーの武藤「楽しい環境がいつまでも続けばいいな」
Team HRC、S耐の2年計画を完遂。初期メンバーの武藤「楽しい環境がいつまでも続けばいいな」
AUTOSPORT web
“ボロボロ”のランボルギーニ「ミウラ」に価値はある? マニア垂涎“ジャンクヤードのガラクタ”がオークションに登場! 気になる価格は?
“ボロボロ”のランボルギーニ「ミウラ」に価値はある? マニア垂涎“ジャンクヤードのガラクタ”がオークションに登場! 気になる価格は?
VAGUE
“45年ぶり”マツダ「サバンナGT」復活!? まさかの「オープン仕様」&斬新“レトロ顔”がサイコー!ワイドボディも魅力の「RXカブリオレ」とは?
“45年ぶり”マツダ「サバンナGT」復活!? まさかの「オープン仕様」&斬新“レトロ顔”がサイコー!ワイドボディも魅力の「RXカブリオレ」とは?
くるまのニュース
なんとハイブリッド仕様も!! クラシックなボディに6気筒を押し込んだ[クラウン]セダンがスゴすぎる
なんとハイブリッド仕様も!! クラシックなボディに6気筒を押し込んだ[クラウン]セダンがスゴすぎる
ベストカーWeb
ミニバンなら日本車……とも言い切れんぞ! ちょっとマイナーだけどヨーロッパにも個性派ミニバンが存在した
ミニバンなら日本車……とも言い切れんぞ! ちょっとマイナーだけどヨーロッパにも個性派ミニバンが存在した
WEB CARTOP
「すごい多重事故…」 関越道で「トラックなど3台が衝突」発生! 2車線が一時通行規制で「通過時間70分」の大渋滞 圏央道も混雑
「すごい多重事故…」 関越道で「トラックなど3台が衝突」発生! 2車線が一時通行規制で「通過時間70分」の大渋滞 圏央道も混雑
くるまのニュース
SS12は“安全上の問題”でキャンセルに。SS11を終えた時点でトヨタ勝田貴元は総合3番手|WRCラリージャパンDAY3午前
SS12は“安全上の問題”でキャンセルに。SS11を終えた時点でトヨタ勝田貴元は総合3番手|WRCラリージャパンDAY3午前
motorsport.com 日本版
コンチネンタル、車内の生体情報を検知する革新的ディスプレイ発表へ…CES 2025
コンチネンタル、車内の生体情報を検知する革新的ディスプレイ発表へ…CES 2025
レスポンス
[圧倒的燃費]と環境性能! [トヨタ・ヤリス]を超えるクルマってぶっちゃけある? 
[圧倒的燃費]と環境性能! [トヨタ・ヤリス]を超えるクルマってぶっちゃけある? 
ベストカーWeb
給与が高いスイスに拠点を置くザウバーは例外? ハースF1小松代表、FIAが検討する予算上限”優遇措置”に反論「皆反対している。シンプルなままでいい」
給与が高いスイスに拠点を置くザウバーは例外? ハースF1小松代表、FIAが検討する予算上限”優遇措置”に反論「皆反対している。シンプルなままでいい」
motorsport.com 日本版
日産「新型スカイライン」発売! 歴代最強「匠“手組み”エンジン」×旧車デザインの「特別仕立て」登場も「次期型」はもう出ない…? 「集大成」完売した現状とは
日産「新型スカイライン」発売! 歴代最強「匠“手組み”エンジン」×旧車デザインの「特別仕立て」登場も「次期型」はもう出ない…? 「集大成」完売した現状とは
くるまのニュース
実は大きく違う!? モータースポーツ総合エンターテイナー濱原颯道が開催した「クシタニライダー台湾人スクール」で感じた台湾人ライダーと日本人ライダーの練習環境の違いとは
実は大きく違う!? モータースポーツ総合エンターテイナー濱原颯道が開催した「クシタニライダー台湾人スクール」で感じた台湾人ライダーと日本人ライダーの練習環境の違いとは
バイクのニュース
旧車への憧れ、理由の1位は「デザイン」、人気車種は…旧車王が調査
旧車への憧れ、理由の1位は「デザイン」、人気車種は…旧車王が調査
レスポンス
いずれスポーツカー[バブル]は崩壊する!! その時あなたは買う勇気があるか!?
いずれスポーツカー[バブル]は崩壊する!! その時あなたは買う勇気があるか!?
ベストカーWeb
レゴとF1、パートナーシップを締結…2025年からクリエイティブな遊び提案へ
レゴとF1、パートナーシップを締結…2025年からクリエイティブな遊び提案へ
レスポンス
メルセデスが3セッション連続で最速! 終盤の赤旗中断で、アタック未完了のマシン多数……勢力図は不明瞭|F1ラスベガスGPフリー走行3回目
メルセデスが3セッション連続で最速! 終盤の赤旗中断で、アタック未完了のマシン多数……勢力図は不明瞭|F1ラスベガスGPフリー走行3回目
motorsport.com 日本版
ルノーがハイブリッド車に使ったF1直系の技術……って聞くとなんかたぎる! 「ドッグクラッチ」ってそもそも何?
ルノーがハイブリッド車に使ったF1直系の技術……って聞くとなんかたぎる! 「ドッグクラッチ」ってそもそも何?
WEB CARTOP

みんなのコメント

9件
  • 初めて作ったプラモデルはウルトラマン(マルサン?)でした。
    以降は、日東のガメラとかイマイのサンダーバード、スポーツカーやレーシングカーも作ったかな?
    小学校高学年になって、ミドリのSFシリーズを挟んで現実の戦争兵器を作る様になってから
    ”タミヤ”というブランドを意識する様になったと思います。
  • 1960年代以降、タミヤはプラスチック製モデルやラジオコントロール(R/C)カーの高い品質で
      ↑
    出ました大嘘(笑)、嘘書くな。初期のタミヤ4輪プラモデルは非常にいい加減で、スケールさえ表記無しのデタラメキットや海外製品のフルコピーも有ったんやで。まともな4輪キットは60年代後半のホンダF1位からやね。あと最初期の1/12RCカーやけど、他社は既に半完成で出してたんよ。更にタミヤRCカーも品質は悪く、シャフトは曲がやすく、アップライトも簡単に割れていた(笑)。ネジの規格も統一されておらず、いい加減な作りやったな。AYKを始め他社とは違いが有り過ぎたな。
    単純に販路拡大で生き残っただけや。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

499.5789.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

94.81488.0万円

中古車を検索
スープラの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

499.5789.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

94.81488.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村