この記事をまとめると
■EVの購入により国から高額な補助金を受けられるのが話題となっている
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■補助金は車両の新規登録が完了した後に申請・交付される
■補助金を新車購入予算の一部として組み込むことはできない
販売店との契約時には補助金額を組み込めない
軽規格BEV(バッテリー電気自動車)となる日産サクラが、国からの補助金(55万円)を考慮すると200万円を切って購入できることが話題となっている。個人客については、トヨタbZ4Xは個人カーリース「KINTO」の利用でしか乗ることはできないが、兄弟車のスバル・ソルテラは購入することが可能で、その場合、国からの補助金は85万円が交付される。
国から交付される補助金は少し前に比べるとかなり増えている。「補助金さえ充実させればBEV普及は加速する」という政府の単純なものの見方による思惑には疑問も残るが、いずれにしろ、消費者の興味を惹くのには効果があるのも否定できない。しかし、販売現場では少々困惑しているのも確か。
「メディアでは、『補助金コミコミで考えるとBEVもお得になってきた』とよく取り上げていますが、補助金は当該BEVの新規登録が完了しないと申請して交付を受けることはできません。つまり、BEV購入時には55万円や85万円といった補助金は購入予算の一部として組み込むことができないのです」とは現場のセールススタッフ。
つまり、仮に補助金を考慮しないで支払総額が255万円となったBEVがあったとしよう。そして国からの補助金交付額が55万円だったとすると、実質的には200万円で購入したことになるのだが、あくまで255万円の支払総額で契約することになる。
納期がずれて補助金を受け取れなくなる可能性も否定できない
「たとえばローンを利用してご購入されるときには、補助金を考慮しない支払総額ベースでプランを組むことになります。そして、ご納車後にご本人申請で補助金交付を受けたとしても、交付額をある月の支払い分として全額充当して、その後の支払いプランの組み換えをすることはできません(話を聞いたディーラーでは)。ローンだけではなく現金一括購入でも、とりあえず55万円や85万円を、場合によっては定期預金を解約するなど一時的に用意して充当し、納車後に交付された補助金で戻すというような考え方になるでしょう。お役所仕事なので申請後数カ月待たないと補助金は振り込まれないので、補助金を購入資金の一部として考慮することはできないのです」と前出のセールススタッフは語ってくれた。
また、いまのところは筆者が聞いた限りでは、BEVの多くは2022事業年度内に納車可能となっている。しかし、納期が想定よりも長引いて、万が一、2022事業年度予算分の補助金枠を使い果たしてしまったり2023事業年度予算分の補助金制度確定及び申請受付開始との端境期に納車になったりすると、補正予算などでの調整がない限り、補助金の交付自体が受けられないリスクもまったくないわけではない(現状ではあまり想定できないが新年度での補助金減額の可能性も否定できない)。
安易に補助金を購入予算の一部として考えず、「地球にやさしいゼロエミッション車をご購入した政府からの“ごほうび”程度に考えてもらったほうがいいでしょう」と前出のセールススタッフも語ってくれた。
BEVなど新エネルギー車の購入を検討する際の予算については、補助金とはいうものの、「補助金分だけ少ない予算で買える」のはあくまで結果論なのである。
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