トヨタ自動車はWRC(FIA世界ラリー選手権)への復帰2年目の2018年シーズンにおいて、見事にマニュファクチャラーズタイトルを獲得。19年ぶりにメーカー王座に就いた。
2018年11月21日、トヨタのチーム「TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team」は最終戦の「第13戦ラリー・オーストラリア」を終えたその足で名古屋市内のトヨタ自動車を訪れ、2018年シーズンの報告会を行った。
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現在、トヨタが参戦している世界選手権は2つある。一つがル・マン24時間耐久レースをはじめとするWEC(FIA世界耐久選手権)、そしてこのWRCだ。
トヨタのモータースポーツ活動は、豊田章男社長体制となって以降、明らかにそのカタチを変えてきた。“もっといいクルマづくり”を標榜し、WECはハイブリッド技術を研鑽する、そしてWRCはヤリス(日本名ヴィッツ)をベースとしたマシンで市販車の開発へとつなぐ、最高の鍛練の場と位置づけている。
トヨタがWRCへ初めて参戦したのは1970年代にまで遡る。1990年代には、セリカGT-Fourをベースとしたラリーカーで日本メーカー初のWRCマニュファクチャラーズタイトルを獲得。その後、F1参戦に向けてリソースを集中するため、1999年にワークス活動を中止。それまで通算でドライバーズタイトル4回、マニファクチャラーズタイトル3回という好成績を残した。
そして豊田社長の大号令のもとWRCへの復帰を目指すプロジェクトが立ち上がったのは2015年のこと。トヨタがパートナーとして選んだのが、かつて三菱ランサーエボリューションで史上初のWRC4連覇を果たした伝説のワールドチャンピオン、トミ・マキネン氏率いるTMR(トミ・マキネン レーシング)だ。チーム本拠地は、ラリーが国技とも言われるフィンランドにある。
トミ・マキネン氏のもとわずか半年で試作車をつくりあげテストを開始。2017年シーズンから「TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team」としてWRCへの復帰を果たした。復帰初年度からいきなり2勝をあげ、その年のマニファクチャラーズランキングは3位だった。
2018年は、ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #7号車)、オット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヤリスWRC #8号車)、エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(ヤリスWRC #9号車)の3台体制でチームを編成。年間全13戦で競われるシーズンに挑み、トヨタは5勝をあげマニファクチャラーズタイトルを獲得。ドライバーズタイトルではオット・タナックが3位、ヤリ-マティ・ラトバラが4位、エサペッカ・ラッピが5位という結果を残した。
WRCへの復帰からわずか2年で、マニファクチャラーズタイトルを獲得できた理由についてチーム代表のトミ・マキネン氏はこのように述べた。
「一言でいえばプロフェッショナルの力を結集させたということです。2015年7月に始まったこのプロジェクトですが、ハードワークを重ね、2016年の前半にはテスト車両を作りあげ、その年はマシンの開発のためにとにかく試走を繰り返しました。2017年は復帰初年度として全戦に参戦するなかでデータを蓄積して、マシンをどのように改良、強化してくべきかを分析する年でした。そして、今年はその改良点を反映してのぞんだ一年で、特に後半戦では速さをみせることができました。われわれはそういった計画に基づいて着実に前へ進み、この結果を勝ち取ることができたのです。そして来年はもちろん(マニファクチャラーズとドライバーズの)Wタイトルを目指します」
マキネン氏はチーム作りにおいて大切なポイントは、「ファミリーであること」、そしてドライバーは「For the teamであること」だといつも口にしてきた。モータースポーツの世界においては、F1を筆頭にドライバーズタイトルを最重要視するケースも多い。しかし、このチームではマニファクチャラーズタイトルのその先に、ドライバーズタイトルがあると考えられている。
エースドライバーのヤリ-マティ・ラトバラ選手はこのチームについてこのように話していた。
「(以前に在籍していた)VWのチームでは、個々人が自身のタイトルに向かって努力をし、チームタイトルはそのあとについてくるもの、という考えがありました。このチームに加入して感じているのは、最優先事項はまずチームとして勝つこと。これまで走ってきたチームで、これほどドライバー間で情報を共有してきたことはないし、共に戦うという感覚を抱いたこともない。それはマキネンが作りあげたチームの文化だと思います。もちろんドライバーは互いに切磋琢磨して、チームの誰かが勝たなければいけない。とにかく情報を包み隠さずシェアしているのがこのチームの最大の強みであり、チャンピオンになったひとつの要因だと思います」
現在、WRC日本ラウンド『ラリー・ジャパン』の開催を目指す招致委員会が発足し、日本開催に向けて準備を進めている。2019年のレースカレンダーには記載されていないが、愛知県と岐阜県の林道などを舞台に2020年の開催に向けて調整が進められている。それについてマキネン代表はこう話した。
「私はFIAやプロモーターに対して、日本でラリーがやりたいと働きかけているメンバーの一人です。ぜひ日本の皆さんに実際に走っているヤリスを見ていただきたい。日本には世界有数の自動車メーカーがあり、モータースポーツの盛んな国です。2020年にはトヨタだけではなく、他の日本メーカーがWRCに参加していることを期待したいですし、いまトヨタと一緒にドライバー育成プログラムを行っていますが、(育成ドライバーとして勝田貴元選手が下位カテゴリーであるWRC2への参戦を中心に活動している)日本人ドライバーである彼が日本でヤリスをドライブする姿を見せることができれば、こんなに素晴らしいことはないと思います」
来季2019年の「TOYOTA GAZOO Racing WRT」のドライバー陣は、ヤリ-マティ・ラトバラとオット・タナックは不動。エサペッカ・ラッピに代わって、今年前半はシトロエンに在籍していたクリス・ミークが加入し、3台体制でシーズンにのぞむ。チームはほとんど休むことなく12月にはテストを開始。2019年の開幕戦は1月24~27日、モナコでの「ラリー・モンテカルロ」だ。
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