鈴鹿サーキットでの開催が30回目を迎えたF1日本GPを観戦してきました。
もう30回目だなんて、本当に信じられませんね。私は初開催の1987年以来、途中何度かお休みを挟みながら25回くらい鈴鹿に足を運んできました。最初の3回はいちファンとして、その後はメディア関係者として、と立場は異なりますが、アストンマーティンにご招待いただいた今回は、昔を思い出してF1を満喫する覚悟(?)で鈴鹿にやってきました。
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で、先に結論を言っちゃうと、F1は変わりましたよ。ものすごくお客さんに親切になったし、お客さんに楽しんでもらえるように進化していました。今回はパドッククラブという超豪華なパスをフル活用させてもらったのでそれも当然かもしれませんが、それにしても数年前までと比べてもまったくの別世界といっていいと思います。
たとえば、レーシングドライバーが運転するロードカーでレースウィーク中のグランプリコースを走れる“ピレリ・ホット・ラップ”というプログラムが用意されていたりするんです。私の場合、クルマは最新のアストンマーティン・バンテージでドライバーはF1参戦経験もあるカルン・チャンドック。しかも走行は土曜日の公式予選直前という微妙なタイミングです。こんな大切なときにコース上でなにか起きたら大変だから、昔だったら絶対にこの手の“お楽しみ企画”は実現できなかったんだけれど、これひとつとっても本当にF1は変わったと思います。
このプログラム、これまで何度もプロドライバーのドライブするクルマに同乗試乗をしたことがある私にとっても、なかなか刺激的な体験でした。なにしろ、チャンドックの運転がうまい! 「そんなの当たり前!」と思うかもしれませんが、だいたいこの種のイベントではお客さんをキャーキャー喜ばせるために、わざとドリフトしたり派手な運転をしたりするものなんですが、チャンドックはその手の演出は一切なし! ただひたすらに速く走ってくれたんですが、それはそれは凄まじいものでした。
なにがそんなにすごいって、コーナーの進入速度がメチャクチャ速い!! 鈴鹿って、たとえばS字コーナーのひとつめをいかに速いスピードで、いかに正確な位置から進入するかがとても大事なんです。なぜなら、S字コーナーの途中ではあまり派手に加速できないのに、各コーナーの進入では確実にブレーキングをして前荷重にしないとフロントが入っていかないから。つまり、大きな流れでみたらスピードは徐々に下がっていくのが鈴鹿のS字コーナーなんです。だからS字コーナーのひとつめが速くないと最後はものすごく遅くなってタイムロスが大きくなってしまう。そこを痛いほど知っているからこそ、チャンドックはS字コーナー最初の3コーナーにかなりのスピードで進入していったわけです。
それとチャンドックの横に乗ってヴァンテージの良さを再確認しました。ヴァンテージはリアサスペンションの取り付け剛性が高いから、いまリア・タイヤがどんな状態にあるのかがとてもよくわかる。チャンドックは私に「このクルマはプリディクタブル(predictable=予想しやすい)」と説明してくれましたが、その大きな理由としてリア・サスペンションからのインフォメーションが豊富なことが挙げられると思います。
続いてのメニューはレッドブル・レーシングのガレージツアー。普通はメディア関係者でも絶対に入ることが許されないチームのガレージに案内されるうえ、そこでドライバーやチームのスタッフだけが聞くことのできる無線の交信内容まで聞かせてもらえちゃうんです。
本来はダニエル・リカルドとマックス・フェルスタッペンで無線のチャンネルは独立しているんですが、ガレージツアー参加者が聞くのは両方が混ざった音声。それだけに、ずーっと誰かが喋り続けている状態なんですが、それにしてもものすごい量の会話ですよ、あの人たち。
「午後1時から雨が降り出す予報なので、それまでに作業を終えてしまおう」「(隣のピットの)フェラーリが入ってくるので後方に注意」「マックス、ピットロードに戻ってきたらマシンをガレージに入れてからエンジン・ストップ」「ルイスはセクター1でベストをコンマ1秒更新した」
そんなコメントがひっきりなしに飛び交っているんですが、リカルドとマックスはそれらを本当に把握できるのでしょうか? いやいや、それができていなかったら、彼らの現在の地位はきっとないでしょうね。
これはダニエルのコメントだと思うのですが、クルマのセッティングについて彼は無線でこんなふうに説明していました。
「基本的にはアンダーステアだけれど、●●コーナーの進入ではリアが少しトリッキーな動きをして、○○コーナーではフロントがちょっとシャープすぎる」
うーん、そうですか。鈴鹿サーキットの全長は5807km。そこを彼らは1分30秒くらいのラップタイムで走るので、平均速度は230km/hオーバー。そんなスピードで走っていながら、コーナーのひとつひとつについてハンドリングを正確に覚えているんですよ。そんなこと、まあプロのレーシングドライバーだったら誰でも普通にやっているんですが、それにしてもモータースポーツってすごいなあと改めて思いました。
そのダニエル・リカルドに、予選直前にインタビューすることができました。
「マシンのフィーリングは悪くないよ。ただし、メルセデスの調子が飛び抜けていいから、とりあえずはフェラーリにチャレンジできればいいと思っている」
ところがリカルドは、予選でスロットルを制御するアクチュエーターにトラブルが起きて15番手からスタートを強いられることになりましたが、それでも決勝で追い上げてメルセデスの2台とマックスに続く4位でフィニッシュ。目標としていた打倒フェラーリを成し遂げてくれました。
こんな苦しいことがあっても、いつでもニコニコしているのがダニエルのいいところ。こういうキャラクター、F1ドライバーでは滅多にお目にかかれません。そんなことを彼に質問してみると「そうだね、まるで子供みたいにいつでもニコニコしているよね。なぜだろう? いつも天気のいいオーストラリアで、それもビーチの近くで育ったからかな? でも、そんな生き方が僕は好きなんだ」。うーん、ナイスガイ! 来年はレッドブルを離れてしまうダニエルですが、これからも応援したいですね。
あとはパドッククラブのおいしい食事を楽しんだり、ストレート前のバルコニーからレースを楽しんだりと、最高の週末になりました。
それにしても、少し前までのF1はとても格式張っていて、一般のファンがその内部に入り込むのはとても難しかったように思います。なぜ、F1は大きく様変わりしたのでしょうか?
その最大の理由は、F1の運営組織をアメリカのリバティメディアが買収したことと関係があります。以前はバーニー・エクレストンさんがF1を仕切っていました。彼は、まだ世界的に注目されていなかった時代のF1をいまのような格式高いスポーツイベントに作り替えた最大の功労者ですが、プレステージ性を高めるために観客と関係者の距離を遠ざけてしまったことも事実でした。
しかし、モータースポーツに限らず、いまやファンとの距離感が遠いスポーツが広く社会に受け入れられることはなくなったように思います。その意味では、F1の実質的なオーナーがエクレストンさんからリバティメディアに移ったことは時代の必然だったといえるかもしれません。
いずれにしても、レースとファンの距離感がぐんと縮んだ現代のF1は迫力もエンターテイメント性も急上昇。「そういえば鈴鹿に行かなくなってもう20年以上になるかな……」なんて方は、来年あたり、是非F1を観戦してみてください。驚くこと請け合いですよ。
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