積算4844km ポルシェ718スパイダーに遭遇
フランス北部、ランスの町でポルシェ718スパイダーに遭遇した。知る人ぞ知る、レアな718だ。エンジンは長期テスト車が積むものと同じ4.0LのNAフラット6だが、シャシーは911 GT3を手掛けるチームが関わっている。
強めのネガティブキャンバーと、低めの車高のおかげで、ロードレーサー的な雰囲気が強い。少し羨ましく感じてしまった。ぜひスパイダーを存分に楽しんで欲しい。
なお、積算の走行距離は長期テスト内で走行した数字へカウントを改めさせていただいた。
積算6678km 6600km毎に1.0Lのエンジンオイル
ポルシェ718ボクスター GTSのフラット6は、エンジンオイルをよく消費する。聞いたことのある読者もいらっしゃるだろう。実際に体験されている方も。
長期テスト車の場合は約6600km毎に、1.0Lの補充が必要となるようだ。反面、ピレリPゼロのタイヤは、サーキット走行を何度か楽しんでいるのに減りが穏やか。
計算すると、フロント側で1600km当たり約0.1mm、リアは約0.2mmというペースで薄くなっている。現代のタイヤの長寿命化には驚かされる。リアアスクルに荷重が多く掛かるMRレイアウトなことを考えれば、なお一層だ。
積算8783km 長距離旅行で見えてくる些細な点
最近、718ボクスターの走行距離が伸びている。先日はイタリア北部、フィレンツェにほど近いルッカまで走った。帰りは、ドイツ南部のミュンヘン経由で。
筆者は、長期テスト車で1度は長距離旅行に出ることにしている。ロングドライブが好きだというだけではない。クルマが抱える些細な問題にも、気付くことができるからだ。
どんなに予算を注ぎ込んで丁寧に開発したとしても、何かしら気になるポイントは出てくる。理想をいえば、すべての試乗レポートで長距離を走り込みたいところだが、実際は不可能だ。
では、一気に4300kmを走破した718ボクスター GTSはどうだったのか。ソフトトップを備える2シーター・スポーツとしては、望外に良かった。
エンジンが生む長距離旅行との親和性
多くのポルシェと同様に、英国の路面環境ではロードノイズが大きい。だが、欧州大陸に進めば、絹のように滑らかな舗装の高速道路が待っている。718ボクスター GTSで気になっていた要素の1つは、すぐに解消された。
高速道路を走る車内は静かで、会話も普通にできる。サスペンションのスプリングはマイルドだから、乗り心地は優しい。アルカンターラで仕立てられたインテリアは空間に余裕があり、窮屈さも感じない。すべてが長距離旅行にプラスだ。
アストン マーティンDB11やベントレー・コンチネンタルGTのように、更に高い理想を追い求めて仕上げられたグランドツアラーと比べても、小さなポルシェの心地良さには強く感心させられた。
ただし、高い速度域ではソフトトップの表面を流れる空気のざわめきが常に聞こえる。718ケイマンなら感じない、ごく小さな不満の1つといえる。
長距離旅行との親和性を生んでいる要素の1つが、エンジン。2.5Lターボのフラット4の方が、引き出しやすいトルクバンドのおかげで、一般道では甘美な体験を与えてくれるかもしれない。だが、高速巡航時の印象はさほど良くない。
GTSが積む滑らかな4.0L自然吸気のフラット6は、3000rpm前後でも豊かな味わいを与えてくれる。6速に入れたままでの追い越しも造作ない。
小さなボディの想像以上に荷物も詰める
前回は特に2速のギア比がロングだという指摘をしたが、今回は英国や日本にはない環境で、ギア比を確かめることもできた。ドイツ南部、バイエルン州に伸びるアウトバーンには、速度制限のない区間があるのだ。
この条件なら、エンジンの能力をすべて開放できる。2速だけでなく、4速や5速でも、7800rpmのレッドラインまで使い切れる。スピードメーターの針を、260km/h近くまで傾け、聞き惚れるような美声とともにGTSの本能に迫れた。
反面、アルプス山脈の風光明媚なモン・スニ峠を越えるワインディングでは、シャシーの能力を発揮させるべく、低いギアを活用した。ここでは、2速がロング過ぎる印象のままだった。
718ボクスター GTSは、基本的には素晴らしい。ステアリングホイールの重み付けだけでなく、キャスター効果が生む直進性とのバランスも完璧。リアタイヤの挙動も漸進的だ。
アクセルペダルの角度で、フロントノーズが切れ込んでいく勢いも調整できる。巡航走行が得意なだけでなく、カーブの連続するような区間でも楽しい。見事な二面性といえる。
荷室容量も不足はない。大人2名の、18日間分の荷物を積むことができた。リアとフロントのトランクを使えば、さほど妥協することなく、持っていきたいモノを載せられる。ただし、ハードケースより布のバッグの方が良いだろう。
車内の小物入れは不足気味で、カップホルダーも少々使いにくい。でも、コンパクトな718ボクスターには、驚くほど多くの荷物を積むことができる。
GTSの絶妙なバランス
今回の旅行で引っ掛かったのが、インフォテインメント・システムだ。大きすぎない画面は良いのだが、ソフトウエアが少々古い。反応も遅く、アンドロイド・オートに対応していないのも惜しい。
不満はその程度。小ぶりなボディは、中世の面影が残る市街地でも扱いやすい。992型ポルシェ991では、気を使うことだろう。控えめな存在感もうれしい。クルマで長距離旅行を純粋に楽しみたい時、乗るクルマの存在感は強過ぎない方が良い。
718ボクスターなら、派手過ぎるモデルのように、地元の人から眉をひそめられることもない。縦列駐車で少し手間取っても、目の前のオープンカフェで楽しんでいる人々に迷惑をかける心配もない。
GTSのバランスは絶妙。知らない人が見れば、小さなポルシェだろう。価格は安くはないが、高過ぎることもないと、多くの人は想像できるはず。
これまにでも、グランドツアラーのアルピナB4 SやトヨタGRスープラで、似たようなルートを旅をしたことがある。その時も、とても幸せな時間だった。
アルピナのゴージャスな雰囲気や、GRスープラの長いボンネットが生む個性はないものの、718ボクスター GTSの快適性は2台に引けを取らない。さらにクルマとの一体感では、遥か上にある。
イタリアの太陽が迎えてくれれば、ソフトトップを開け放って走ることもできる。そんな体験は、718ボクスター GTSだからこそ、といっていい。
テストデータ
気に入っているトコロ
コンパクトなボディで好燃費:718ボクスター GTSにも、気筒休止機能が付いている。どれほどの効果があるのかは不明だが、高速巡航での燃費は11.7km/L程度。65Lの燃料タンクで、640km以上走れる計算になる。
気に入らないトコロ
気筒休止機能のノイズ:GTSは、通常の718ボクスターよりエンジンの遮音性が低い。気筒休止機能が働くと、低速域では明確にノイズでわかる。それが少々実務的。
価格
モデル名:ポルシェ718ボクスター GTS 4.0(英国仕様)
新車価格:6万6340ポンド(約1028万円)
テスト車の価格:7万5860ポンド(約1175万円)
テストの記録
燃費:9.7km/L
故障:なし
出費:12ポンド(約1800円/エンジンオイル)
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みんなのコメント
ちょいとコンビニに買い物しに下駄代わりに行けるし、その気に成ればスポーツカー顔負けの所作もお手のもの。
その911のレベルに近い718なら、ロングツーリングも気ままに出来る筈。
ベース価格が上がってるとは言え
なんかそれっぽい見た目で中身しょぼいの増えたよね。
ただでさえガソリン車の選択肢減ってるのに
次の買い替え候補がマジ決まらない。
欲しいやつは認定中古車の価格も高止まりなのよね。