アウディは、2019年からクリーンディーゼル・エンジン搭載モデルを続々と日本市場に投入するという。嚆矢となったのは、2019年2月4日に販売開始された「Q5 40 TDI quattro」だ。よく出来たSUVだ。
全長4680mmのボディを持つ現行Q5は、適度なボディサイズと、余裕ある室内空間によって、日本でも使い勝手のいいパッケージが特徴である。
【主要諸元(Q5 40TDI クワトロ エアサスペンション装着車)】全長×全幅×全高:4680mm×1900mm×1640mm、ホイールベース:2825mm、車両重量:1920kg、乗車定員:5名、エンジン:1968cc直列4気筒DOHCディーゼルターボ(190ps/3800~4200rpm、400Nm/1750~3000rpm)、トランスミッション:7AT、駆動方式:4WD、タイヤサイズ:235/60R18、価格:636万円(OP含まず)。2017年暮れに日本に導入された現行Q5(2代目)は、2.0リッター直列4気筒ガソリンターボ・エンジンを搭載する「45TFSI」と、最高出力354psを発揮するパワフルな3.0リッターV型6気筒ガソリンターボ・エンジンを搭載する「SQ5」が販売されてきた。そこにくわわったディーゼル・エンジン搭載モデル「40 TDI」は、あきらかにQ5の魅力を拡げるモデルだ。
Q5のマーケットは競合車が多く、ドイツ車ではメルセデス・ベンツ「GLC」(全長4660mm)やBMW「X3」(同4720mm)などの人気車種が並ぶ。スウェーデンのボルボ「XC60」(同4690mm)も有力なライバルだ。どのモデルもディーゼルエンジン搭載グレードを設定する。
ディーゼルモデル(エントリーグレード)の価格をみるとQ5の636万円に対して、GLCが653万円、X3が727万円、XC60は644万円だ。ちなみに駆動方式はGLC220dのみ後輪駆動で、あとは4WDである。
ボディは全長×全幅×全高:4680mm×1900mm×1640mm。魅力たっぷりのディーゼル試乗して、Q5は優れた競争力を有していると思った。理由のひとつは、パワフルな2.0リッター直列4気筒ディーゼルターボ・エンジンにある。
このエンジンは、140kW(190ps)の最高出力と400Nmの最大トルクを発揮する。走り出しには一瞬、金属的なノッキング音が聞こえるものの、1500rpmを超えてからの力強い加速感と、意外なほどよくまわるエンジンのフィールがそれをカバーする。
搭載するエンジンは1968cc直列4気筒DOHCディーゼルターボ(190ps/3800~4200rpm、400Nm/1750~3000rpm)。搭載するトランスミッションはデュアル・クラッチタイプの7AT。速度の伸びはみごとだった。アクセルペダルの踏み込みにリニアな感覚で応え、気持いい加速感を味わえる。比較的低回転域から高回転へといたるまで広い幅で対応する可変ガイドベーン式ターボチャージャーのおかげだ。
エンジンのフィールはシャープというほどではないが、人間の感覚に沿っている。加減速の反応がいいので、クルマと対話している気分になる。
JC08モード燃費は15.6km/L。搭載するディーゼルユニットは、酸化触媒コンバーターや尿素SCRコーティングを施したDPF(粒子状物質フィルター)、そしてアンモニア分解触媒コンバーターなどを装着した結果、欧州排ガス規制(ユーロ6d)や日本のポスト新長期排ガス規制にも適合したという。
排ガス処理用のアドブルー(尿素水溶液)の充填口は、給油口のとなりにある。ぜひとも選びたいエアサスハンドリングのよさも魅力だった。操舵に対するボディの動きがとてもいいのだ。巡航時は車体の上下動が抑えられ、路面の凹凸もていねいに吸収し、快適な乗り心地を味わうことができる。
小さめのコーナーを曲がろうというときは、フロントサスペンションがしっかり踏ん張る。よく出来たスポーツカーを運転しているみたいに、ボディのロールは少なく、高めの速度でのコーナリングが可能だ。また、ステアリング中立付近での遊びが少なく、舵角に対してのボディ応答性が高いのも印象的だった。
ディーゼルモデルの駆動方式は4WD(電子制御式)のみ。タイヤサイズは235/60R18。試乗車はオプションの「アダプティブエアサスペンション」を装着していた(オプション価格30万円)。試乗車は、オプションのアダプティブ・エアサスペンション(30万円のオプション)を搭載していた。4輪の減衰力を10分の1秒単位で調整するシステムである。
アダプティブ・エアサスペンション装着車は快適性とスポーツ性を両立していた。たとえば高速道路などにおける巡航時は、路面の凹凸をきれいに吸収し、ショックを抑える。
いっぽう、アクセルペダルを多めに踏み込んでの加速時や比較的高い速度でコーナーに進入したとき、足まわりはビシッとする。くわしく述べると、加速時は車体の大きな沈みこみを、コーナリング時は過度なボディロールを抑えている印象だ。
試乗車のシート表皮はオプションのレザーだったが、通常はファブリックである。調整は電動式。リアシートはセンターアームレスト付き。リアシートはリクライニングおよびスライド機構付き。3ゾーンオートマチックエアコンディショナーは標準。フロントとは別に、リアの温度を設定出来る。走行中の室内は静かで、エンジン音も風切り音もロードノイズも過大に聞こえる場面はない。乗り心地は不快な突き上げもなく快適なので、グアンドツアラーとしても高得点だ。
ラゲッジルーム容量は通常時550リッター。リアシートをすべて格納すると1550リッターに拡大する。エアサスペンション装着車には、ラゲッジルームサイドに車高調整用スウィッチが備わる。高速走行時などは、電子制御技術を活用し、後輪への接続を切り離し、前輪のみで走行する。さらにアクセルペダルを緩めると、駆動システムとエンジンが切り離され、さらに燃費をかせぐ。
いっぽう、新世代のクワトロシステムは路面状況をたえずウォッチしている。0.5秒先でクワトロシステムが必要になる状況にあるとコンピューターが判断した場合、0.2秒で後輪にもトルクが伝わるという。
オフロード走行に適した走行モードも選べる。360°カメラは標準。インテリアはクリーンなデザインが好印象だ。また、細部にいたるまで品質管理がいきとどいていて、クオリティが高い。
近年のアウディのインテリア・デザインについて、「少し飽きたかな……」と、思うひとはいるかもしれないが、アウディらしさという点では今なお個性的であると思う。スイッチ類などの使い勝手もいいから、無理に変える必要はないと思う。
シルバーのパーツを各所に使ったインテリア。パドルシフト付きのステアリング。フルデジタルのメーターパネルは、8万円のオプション。試乗車はオプションのバング&オルフセンの3Dアドバンスサウンドシステムが装着されていた(18万円)。もうひとつ感心したのは乗降時である。ドアシルが細めなので、地面に足をおろしやすい。裾も汚れにくいし、小柄な人でも乗り降りは容易なはずだ。
アウディは乗るひと想いのいいクルマを作っているのだ。SUVの「Q5 40 TDI quattro」でも、あらためてそれを認識した。数多いミドルクラスSUVに迷ったとき、リストに入れておくべきクルマである。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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