現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > ちゃんと「サソリ」してる! アバルト600eへ試乗 プラットフォームから違う 新モーターで240ps

ここから本文です

ちゃんと「サソリ」してる! アバルト600eへ試乗 プラットフォームから違う 新モーターで240ps

掲載 5
ちゃんと「サソリ」してる! アバルト600eへ試乗 プラットフォームから違う 新モーターで240ps

プラットフォームから改良したアバルト

昨今のクロスオーバー人気は、流石のアバルトも無視できないらしい。ブランドイメージへ合うよう性能を引き上げた、600eが登場した。

【画像】ちゃんと「サソリ」してる! アバルト600e 競合クラスの電動SUV 500eとフィアット版も 全161枚

アルファ・ロメオ・ジュニアやMG 4 Xパワーなど、最近の電動クロスオーバーは走りを売りにする例が少なくない。驚くほど懐の深い動的能力を備えつつ、コスパの良さや実用性の高さなど、それぞれの強みも与えられている。

これらに対抗するため、アバルトはプラットフォームから手を加えた。フロントの駆動用モーターは、強力な専用品。さらに、ジェイテクト社製の機械式リミテッドスリップ・デフと、特注のミシュラン・タイヤも組まれる。

当初のグレードは、ツーリスモとスコーピオニッシマの2種類。前者には240psのモーターと、50.0kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は333kmがうたわれる。後者は限定1949台の記念仕様。ジュニア・ヴェローチェと同じ、279psのユニットが載る。

主に試乗したのは、限定ではないツーリスモ。アバルト500eのように、エンジン音を模したサウンドジェネレーターは共通だ。

ボディサイズは、全長4171mm、全幅1779mm、全高1523mm。フィアット600eをベースに、フロントのスポイラーとリアのバンパー、ウイングなど、スポーティなエアロキットで差別化される。アルミホイールは20インチと大きい。

ボディ塗装には、専用色を設定。もちろん、サソリのマークが各所を飾る。少しコミカルでアグレッシブな、アバルトらしさが演出されている。チューニングされた600eへ見えることは、間違いない。

走りを重視した雰囲気の車内 差別化は限定的

プラットフォームは、プレフォe-CMP。ステランティス・グループのe-CMPの進化版で、左右のタイヤの間隔、トレッドは前で30mm、後ろで25mm広い。駆動用バッテリーの冷却システムも、専用設定とのこと。

サスペンションは、前がストラット式、リアがトーションビーム式で、ジュニアと同じ構成。ただし、アンチロールバーは140%強化されている。車高はフィアット版より25mm低い。

車内には、走りを重視した雰囲気が滲む。ペダルはアルミ製で、ステアリングホイールやスポーツシートには、スウェードが用いられる。黄色の差し色が効果的だ。限定のスコーピオニッシマには、専用スポーツシートが組まれる。

ウインカーレバーなど、それ以外は基本的にフィアット版と同じ。バッテリーがフロア部分に敷かれ、着座位置は高め。シートの調整域は広いが、足もとの空間は限定的。価格を踏まえると、もう少し差別化されても良かったかもしれない。

ダッシュボード中央には、10.25インチのタッチモニター。運転席の正面には、7.0インチのメーター用モニターが据えられる。グラフィックは、アバルト仕様になる。

インフォテインメント・システムは、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応。チャットGPTを利用した、音声アシスタントも実装される。

エアコンの操作パネルも通常の600eと同じだが、実際に押せるハードスイッチで、運転中に目線をそらす必要性は低い。荷室容量は360L。このクラスでは平均より少し狭い。

線形的なパワーデリバリー 強力なブレーキ

発進前に、ドライブモードを選ぼう。スコーピオン・トラック、スコーピオン・ストリート、ツーリスモという3択になる。最後のモードは最高出力が189psへ、最高速度が149kmへ制限され、ステアリングホイールが軽くなる。

カーブが連続する区間では、スコーピオン・トラック・モードが良い。240psが開放され、鋭くリニアなステアリングと、適度に引き締まったサスペンションを活かせる。アクセルペダルの反応が良く、市街地でも筆者は好ましいと感じた。

パワーデリバリーは、アバルト500eと異なり線形的。徐々に力強さが増していく。不満ないほどパワフルで、圧倒されるほど激しいわけではない。エンジン・モデルから乗り換えても、すぐに馴染めるだろう。

スコーピオニッシマでは39ps増強され、動力性能は一段上。ただし、35.0kg-mの最大トルクは同値だから、日常的な環境で明確な違いを感じるほどではない。

ブレーキは、直径380mmのディスクと4ポッドキャリパーをフロントに採用。リアのディスクは、276mmある。フェード性も高めた、強力な専用品だ。

ペダルのストロークの半分くらいまでは、重み付けが丁度良く、効きも漸進的。安心感が高い。だが、それ以上踏み込むと感触は曖昧に。力を込めたぶんだけ制動力が増す、というわけではないようだ。

ブレーキペダルを踏まずに止まれる、ワンペダルドライブには非対応。回生ブレーキは、徐々にスピードが落ちる制御で扱いやすい。

ワインディングが得意分野 乗り心地は良好

アバルト600eにはリミテッドスリップ・デフが組まれ、ワインディングが得意分野。旋回中にブレーキを踏むと、内側のフロントタイヤへパワーがしっかり伝わり、ラインを絞っていける。

ただし、少しアンダーステア傾向。テールを振り回せるわけではなく、やや単調に感じるドライバーはいるだろう。一体感が強いともいえない。

ステアリングは軽めながら、反応はダイレクト。切り始めは過敏に思えるものの、更に角度を増やしていくと漸進的に回頭していく。

優れたグリップ力を活かし、鋭い脱出加速は可能。最大トルクを、シャシーはしっかり受け止める。アバルトらしいパフォーマンスを楽しめる。

乗り心地は硬すぎず、速度域の低い市街地でも良好。速度抑止用のスピードバンプを通過すると、シートベースへ振動が伝わる場面もあり、減衰特性はもう少し煮詰める余地はありそうだが。

走行時のノイズは大きめ。60km/hを過ぎた辺りから、転がり音が目立つようになる。風切り音は、抑え込まれている。

今回の試乗での電費は、平均で5.1km/kWhとなった。1度の充電で、262km走れる計算になる。急速充電能力は最大100kWで、クラス最速というわけではない。

英国価格は3万6975ポンド(約717万円)から。同等内容のジュニアより僅かに高い。

歴代で最も高性能なアバルト

果たして、600eはちゃんとアバルトなのか。筆者は、線形的なパワーデリバリーと、適度に引き締まった乗り心地、運転体験を引き上げるリミテッドスリップ・デフなどが相乗し、納得できる動的能力を備えた電動クロスオーバーだと感じた。

コーナリングは、少し単調かもしれない。インテリアも、もっとアバルトならではの違いは欲しい。とはいえ、ダイナミックな走りには驚かされた。パワートレインのリニアな反応も非常に好ましい。歴代で最も高性能なアバルトだと、表現して良さそうだ。

◯:扱いやすく爽快な操縦性 気持ち悪くならない程度の速さ 魅力的な見た目
△:動的な個性はもう少し欲しい 差別化が限定的な内装 279psは限定仕様のみ

アバルト600e ツーリスモ(英国仕様)のスペック

英国価格:3万6975ポンド(約717万円)
全長:4171mm
全幅:1779mm
全高:1523mm
最高速度:193km/h
0-100km/h加速:6.2秒
航続距離:333km
電費:5.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1624kg
パワートレイン:他励同期モーター
駆動用バッテリー:50.0kWh
急速充電能力:100kW
最高出力:240ps
最大トルク:35.0kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

心を満たす多くの魅力! 最新 ミニ・エースマン SEへ試乗 まん丸モニター 刺激的な運転体験
心を満たす多くの魅力! 最新 ミニ・エースマン SEへ試乗 まん丸モニター 刺激的な運転体験
AUTOCAR JAPAN
パワートレインだけでなく質感もランクアップ! 大幅改良を受けた三菱アウトランダーPHEVの発売を開始
パワートレインだけでなく質感もランクアップ! 大幅改良を受けた三菱アウトランダーPHEVの発売を開始
WEB CARTOP
【詳細データテスト】マセラティMC20 しなやかでソフトなシャシー 十分速い 独特なスーパーカー
【詳細データテスト】マセラティMC20 しなやかでソフトなシャシー 十分速い 独特なスーパーカー
AUTOCAR JAPAN
S4改め、アウディS5 アバントへ試乗 3.0L V6ターボのHVで367ps! 新デザインテーマの車内
S4改め、アウディS5 アバントへ試乗 3.0L V6ターボのHVで367ps! 新デザインテーマの車内
AUTOCAR JAPAN
835馬力のV12エンジンで最高速度345キロ! アストンマーティンの新たなトップモデル 新型「ヴァンキッシュ」の“エレガント”な走りとは
835馬力のV12エンジンで最高速度345キロ! アストンマーティンの新たなトップモデル 新型「ヴァンキッシュ」の“エレガント”な走りとは
VAGUE
こんなにあったの? 「普通」とは一味違う優雅なシューティングブレーク 21選
こんなにあったの? 「普通」とは一味違う優雅なシューティングブレーク 21選
AUTOCAR JAPAN
アルピーヌV6ターボ/A610 UK版中古車ガイド(2) 部品をルノー車と共有 弱点は隠れたサビ!
アルピーヌV6ターボ/A610 UK版中古車ガイド(2) 部品をルノー車と共有 弱点は隠れたサビ!
AUTOCAR JAPAN
361psの「RWD」がベスト? 最新 ポルシェ・マカン・エレクトリックへ試乗 精緻な操舵感へ惹かれる
361psの「RWD」がベスト? 最新 ポルシェ・マカン・エレクトリックへ試乗 精緻な操舵感へ惹かれる
AUTOCAR JAPAN
ギネス世界記録のV8エンジン パガーニ・ゾンダ ケーニグセグCCXR(2) 400km/hへ誘う怪力!
ギネス世界記録のV8エンジン パガーニ・ゾンダ ケーニグセグCCXR(2) 400km/hへ誘う怪力!
AUTOCAR JAPAN
カワサキの“クラシカル小排気量ネイキッド”正式発表! 空冷単気筒エンジン搭載の“「W」の末弟”「W230」は11月20日発売へ
カワサキの“クラシカル小排気量ネイキッド”正式発表! 空冷単気筒エンジン搭載の“「W」の末弟”「W230」は11月20日発売へ
VAGUE
胸が苦しくなるほど「完璧」 アストン・ヴァンテージ フェラーリ・ローマ ポルシェ911 3台比較(2)
胸が苦しくなるほど「完璧」 アストン・ヴァンテージ フェラーリ・ローマ ポルシェ911 3台比較(2)
AUTOCAR JAPAN
カテゴリーは同じっぽいけど予想以上に違う!ヤマハ『MT-09』とスズキ『GSX-8S』、最新スポーツネイキッドを試乗比較
カテゴリーは同じっぽいけど予想以上に違う!ヤマハ『MT-09』とスズキ『GSX-8S』、最新スポーツネイキッドを試乗比較
レスポンス
乗り心地自慢のJr.スーパーカー! アルピーヌV6ターボ/A610 UK版中古車ガイド(1)
乗り心地自慢のJr.スーパーカー! アルピーヌV6ターボ/A610 UK版中古車ガイド(1)
AUTOCAR JAPAN
【最新フェラーリの世界】フェラーリ266GTS&GTB。それはシステム出力830psを誇る先進PHEV。造形は名車250LMからインスピレーション
【最新フェラーリの世界】フェラーリ266GTS&GTB。それはシステム出力830psを誇る先進PHEV。造形は名車250LMからインスピレーション
カー・アンド・ドライバー
乗り手を覚醒させる傑作揃い! アストン・ヴァンテージ フェラーリ・ローマ ポルシェ911 3台比較(1)
乗り手を覚醒させる傑作揃い! アストン・ヴァンテージ フェラーリ・ローマ ポルシェ911 3台比較(1)
AUTOCAR JAPAN
激しさは静けさの中に PHEVバージョンの「ランボルギーニ ウルス」のドライビングテスト
激しさは静けさの中に PHEVバージョンの「ランボルギーニ ウルス」のドライビングテスト
AutoBild Japan
ファミリーユースの入門用EVにメルセデス・ベンツ「EQB 250+」が最適な理由
ファミリーユースの入門用EVにメルセデス・ベンツ「EQB 250+」が最適な理由
@DIME
ストレスなく万能に走りこなすメルセデス・ベンツの最新スポーツクーペ「CLEクーペ スポーツ」
ストレスなく万能に走りこなすメルセデス・ベンツの最新スポーツクーペ「CLEクーペ スポーツ」
@DIME

みんなのコメント

5件
  • moo********
    これならわざわざアバルトを買う意味がないよね
  • kuz********
    ガチャピンみたいで可愛い
    イタリア人は何に見える?イグアナ?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

95.2105.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

25.0101.8万円

中古車を検索
ストリートの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

95.2105.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

25.0101.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村