■フルモデルチェンジしたばっかりに不評となった日産車とは
新型車の開発には莫大な時間と費用がかかり、販売状況によってはメーカーにとって死活問題になりかねません。
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そうならないためにも、商品企画の段階で市場調査から技術検証まで非常に多くの労力が費やされます。
しかし、すべての新型車が大ヒットするとは限りません。なかにはフルモデルチェンジにより、人気が一気に下落してしまったモデルもあります。
そこで、過去にフルモデルチェンジがうまくいかなかった日産車を5車種ピックアップして紹介します。
●R34型 ⇒ V35型スカイライン
1998年に発売された10代目となるR34型「スカイライン」は、軽快だった8代目のR32型と大きく重い9代目のR33型の中間程度のボディサイズを採用し、洗練されたデザインと卓越した操縦安定性、動力性能などで高い評価を得ました。
駆動方式はFRを基本とし、エンジンはすべて直列6気筒のRB型を搭載。1999年には「スカイラインGT-R」が追加され、2.6リッター直列6気筒ツインターボ「RB26DETT型」エンジンとゲトラグ製6速MTが組み合わされ、進化の絶頂を迎えます。
そして、2001年のフルモデルチェンジで登場した11代目となるV35型スカイラインは、V型6気筒エンジン専用シャシ「FMパッケージ」を採用し、スポーティな走りと高級サルーンの乗り心地、空力のよいスタイルと広い室内空間を実現したグローバルなプレミアムセダンとして開発されました。
非常に完成度が高い11代目スカイラインでしたが、スポーティな10代目から大きくイメージが変わってしまったことや、伝統の丸形テールランプと決別したことなどが、従来からのスカイラインファンを遠ざける結果になってしまいます
その後2003年にはる3.5リッターV型6気の「VQ35DE型」エンジンを搭載したクーペが復活し、北米市場ではインフィニティ「G35クーペ」として販売され好評を得ましたが、国内ではかつてのような人気を取り戻すことはできませんでした。
●S13型 ⇒ S14型シルビア
1988年に発売された5代目のS13型「シルビア」は、5ナンバーサイズのスタイリッシュな外観デザインの2ドアクーペです。
発売と同時に、そのルックスが女性からも人気となり、3代目ホンダ「プレリュード」と同様にデートカーとしても高い人気を誇りました。
さらに、5代目シルビアの魅力は、ほかのスポーツモデルが次々とFF化されていくなかでFRを継承し、1.8リッターながら最高出力175馬力の直列4気筒ターボ「CA18DET型」エンジンを搭載したことにあります。
そして、1993年に登場した6代目となるS14型シルビアは、5代目のコンセプトを継承して開発されました。
同年にモデルチェンジされたR33型スカイラインと同様に、走行性能の向上と上質感の演出のために3ナンバーサイズのワイドボディに生まれ変わります。
しかし、5代目と比べて大きく重くなったボディはスポーツドライビング好きには不評で、フロントマスクも精悍さに欠けると酷評されました。
トップグレードに搭載された2リッター直列4気筒ターボ「SR20DET型」エンジンは、最高出力220馬力にまで高められ、サスペンションやタイヤも進化し、動力性能と運動性能は確実に向上していましたが、販売は低迷してしまいます。
その後のマイナーチェンジでフロントデザインを変更したにもかかわらず人気は復活せず、1999年に発売された7代目のS15型シルビアでは、5ナンバーサイズに戻され、デザインも精悍さを取り戻しました。
●P11型 ⇒ P12型プリメーラ
1990年にデビューしたミドルサイズセダンP10型「プリメーラ」は、欧州市場をメインターゲットとして開発され、デザインと走りは欧州車を強く意識したモデルでした。
高級感より使い勝手や居住空間を優先しながらも、締め上げられたフロントマルチリンクサスペンションのハンドリング性能は「欧州車を超えた」と高い評価を受けます。
1995年にモデルチェンジされた2代目のP11型は初代からのキープコンセプトとされ、5ナンバーサイズに収まるスポーティなセダン(ワゴンもあり)を受け継ぎました。
エンジンは最高出力150馬力の2リッターと、125馬力の1.8リッター直列4気筒「SR型」エンジンを搭載。1997年には「NEO VVL」(可変バルブタイミング&リフト機構)により190馬力までアップした「SR20VE型」エンジンがラインナップに追加され、初代ほどの大ヒットにはなりませんでしたが、安定した人気を保ちます。
しかし、2001年にモデルチェンジされた3代目のP12型プリメーラはコンセプトを一新。全長と全幅を拡大し3ナンバー専用ボディのセダンとステーションワゴンになりました。
セダンではフロント寄りのキャビンと短いトランクが生み出す流麗なシルエットは、デザインの専門家には高評価でしたが、従来からのイメージと大きく異なった結果、販売は低迷。
最高出力204馬力まで高められたSR20VE型エンジンと、新開発の6速MTが組み合わされたスポーティグレードの「20V」を追加投入しても、先代までのような人気車になることはありませんでした。
■あまりにも変わりすぎて人気がなくなったモデルとは!?
●U14型 ⇒ G10型ブルーバード(シルフィ)
「ブルーバード」は代を重ねるごとに人気と不人気を繰り返し、1991年に発売された9代目となるU13型では、北米市場を意識した「尻下がり」のデザインが採用されるも、これが日本では不評となってしまいます。
そのため、1996年に10代目のU14型へモデルチェンジされると、プリメーラと共通のプラットフォームにエッジの効いたデザインの4ドアセダンへ一新され、人気を回復。
U14型のラインナップはスポーティな「SSS」シリーズとファミリー向けの「ルグラン」シリーズに分けられており、1997年には190馬力を発揮するSR20VE型エンジンを搭載する「2.0 SSS-Z」が追加設定されたことも人気復活の理由です。
そして、2000年のモデルチェンジで、小型セダンの「サニー」をベースとした「ブルーバードシルフィ」に生まれ変わりました。
パワーユニットは新世代の直列4気筒エンジン「QG型」「QR型」に換えられ、1.5リッター、1.8リッター、2リッターをラインナップ。
トップグレードの2リッター車「20XJ」でも最高出力は150馬力と、スペック的には「普通のセダン」となってしまいます。
その結果、ブルーバードシルフィはサニーよりも上質なセダンを目指したコンセプトでしたが、伝統的なブルーバードのブランドイメージから大きく変わってしまい、高い排出ガス性能を誇りながらも販売数が伸びることはありませんでした。
なお、コアなブルーバードファンのなかには、ブルーバードシルフィを認めず、U14型を最後のブルーバードと呼ぶ人もいます。
●F31型 ⇒ JY32型レパード(J.フェリー)
1980年に登場した初代「レパード」は、先進的なスタイリングの4ドア/2ドアハードトップに、燃費計やフェンダーミラ・ワイパーなど、先進機能を搭載して話題となりました。
そして1986年にモデルチェンジされた2代目のF31型では、当時大人気だったトヨタ「ソアラ」を意識したかのような2ドアクーペに一新。
1988年のマイナーチェンジでは最高出力255馬力を誇る3リッターV型6気筒ターボ「VG30DET型」エンジンを追加ラインナップし、TVドラマシリーズ「あぶない刑事」の劇中車として使用されたこともあって、若者を中心に人気が高まりました。
しかし、1992年に登場した3代目にあたるJY32型「レパードJ.フェリー」は、先代までのパーソナルな2ドアクーペとは異なり、「クラウン」や「セルシオ」をライバルとして捉えたエレガントな高級サルーンに生まれ変わります。
パワーユニットは最高出力270馬力を発揮する4.1リッターV型8気筒エンジン「VH41DE型」と、200馬力の3リッターV型6気筒エンジン「VG30DE型」が設定され、質の高いドライブフィーリングを実現。
北米市場ではインフィニティブランド初のEセグメントセダンとして投入されました。
しかし、国内では高額な車両価格と、「尻下がり」が特徴的なリヤデザインが不評で、一気に不人気車となってしまいました。
1996年に発売された4代目レパードは「セドリック/グロリア」のコンポーネントをベースとした、比較的オーソドックスなデザインのセダンに改められましたが、それでも販売台数は好転せず、1999年に販売を終了。後継車はありませんでした。
※ ※ ※
紹介した日産車5台を見てみると、人気が低迷した要因の多くは外観デザインにあるようです。
近年は、デザインで失敗をするクルマが少なくなった印象がありますが、デザインで冒険しなくなったともいえます。
横並びで似たようなデザインのクルマよりも、昔のクルマの方が味わい深いという人も多く、旧車の人気が高いのは、そういう理由かもしれません。
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みんなのコメント
V35で人気急落??日本のマニアが見ればそうだったのかもしれないが、みんな大好きR34スカイラインも新車時は人気があったわけではないし、おまけにR34は日本専用車。合理化されて当然。ゴーンがくる直前の瀕死の日産を象徴していたとすら思う。