メルセデス・ベンツのフラッグシップモデル「Sクラス」がフルモデルチェンジ。世界初の後席左右SRSリアエアバッグやフロントウィンドウ表示ARナビゲーションなど、先進システムを意欲的に採用
メルセデス・ベンツ日本は2021年1月28日、第7世代となる新型Sクラス(W223)を発売した。
メルセデス・ベンツSクラスの電気自動車「EQS」のプロトタイプが公開
車種展開は以下の通り。
S400d 4MATIC:1293万円
S500 4MATIC(ISG搭載モデル):1375万円
S400d 4MATICロング:1678万円
S500 4MATICロング(ISG搭載モデル):1724万円
8年ぶりの全面改良となる新型Sクラスは、メルセデス・ベンツのデザイン思想である「Sensual Purity(官能的純粋)」や人間中心の最新技術、安全性のさらなる追求など、「現代に求められるラグジュアリー」を再定義し、その充実化を図ったことが特徴である。
まずエクステリアでは、「Sensual Purity(官能的純粋)」に基づいてラインやエッジを大幅に削減し、シンプルかつクリーンでありながら強い存在感を放つスタイリングを創出する。
各セクションのアレンジも印象的だ。フロント部は3点が光るデイタイムドライビングライトを組み込んだ新造形のヘッドランプや緩やかな多角形のラジエターグリル、クローム仕上げのバンパー下部などを採用してクールかつラグジュアリーなフェイスを具現化。また、メルセデス・ベンツ伝統のスリーポインテッドスターが輝くボンネットマスコットも配備した。
サイドビューは短いフロントオーバーハングと長いホイールベース(標準ボディ3105mm、ロングボディ3215mm)、バランスの取れたリアオーバーハング、流れるようなCピラー、そして高いステータス性を表す長いダッシュトゥアクセル(フロントアクスルからAピラー下端までの長さ)など、メルセデスのラグジュアリーセダンとして均整の取れたプロポーションを構築。また、ラインやエッジを大幅に削減して美しい面の張りや陰影で高級感を表現すると同時に、サイドウィンドウ下端に近いショルダー部にフロントからリアまで貫くキャラクターラインを1本通すことで、車高を低く、スマートに見せる演出を施す。さらに、キーを持った人が近づくことによってボディ面から自動でせり出す格納型ドアハンドルを組み込み、シンプルでクリーンな面を際立たせた。
リアエンドは三角形で横に長い2分割型のコンビネーションランプを配してよりワイドでシャープに見せるとともに、昼間でも夜間でもひと目でSクラスと分かる造形に仕立てる。また、コンビネーションランプの上部に左右に通ったクロームラインを入れて後ろ姿の存在感を強調した。
なお、新型Sクラスは前面投影面積が広がったにもかかわらず、空気抵抗係数はクラストップレベルの0.22を実現している。
内包するインテリアは、デジタルとアナログを美しく調和させて、新時代のラグジュアリーを具現化したことが訴求点だ。縦型レイアウトとした12.8インチの有機ELメディアディスプレイはセンターコンソールのブラックパネルからシームレスにつながり、同時にこのディスプレイに多くの機能を集約することでスイッチ類を減らし、シンプルでクリーンなアピアランスを創出。また、インパネを覆うウッドトリムは従来よりも面積を拡大し、合わせてドアパネルまで回り込むデザインとすることで、乗員をラグジュアリーに包み込む空間に仕立てる。ウッドトリム自体には、標準仕様が温かみを感じさせるブラウンウォールナットウッドトリムを、AMGラインがシックなハイグロス・スレートポプラウッドトリムを採用した。一方、センターコンソールやドアパネル、オーバーヘッドコンソール、ステアリングにはブラックパネルのスイッチ類を配備し、必要に応じて点灯したり、触覚フィードバックを組み込んだりするなど、使い勝手を向上させる。ステアリングホイールはメルセデスの最新世代の逸品を装備し、エアバッグを内蔵しながらコンパクトに仕立てた中央部にブラックパネルとシルバーのエッジで縁取った、ユリの花からインスピレーションを得た造形を採用した。そして、インストルメントクラスターには速度計などの表示が立体的に見える新開発の「3Dコックピットディスプレイ」をオプションで設定。また、世界初採用となるAR(Augmented Reality = 拡張現実)ナビゲーションを有機ELメディアディスプレイだけでなく、フロントウィンドウに投影するシステムをオプションで装備する。さらに、ドライバーの顔、指紋、声の3種類いずれかの生態認証、加えてPINコードによる計4種類の認証によって、シート/ステアリング/サイドミラーのポジションやコックピットディスプレイの表示スタイルなどがユーザー用に自動設定される機能をオプションで採用した。
エンターテインメント面での改良もトピックで、室内を彩るアンビエントライトのLED光源の数は従来の40個から標準ボディで247個、ロングボディで263個と大きく増やし、1平方メートル当たり最大200カンデラと従来の10倍の明るさを確保。周囲の明るさに応じて日中モードと夜間モードが自動で切り替わり、また手動でも20段階で調整する機能を組み込む。カラーは64色から選択でき、流れるような光の効果や光の帯内部での緩やかな変化を生み出すほか、単色の発光に加えて色の連続変化を可能とした。また、いっそうの進化を図った対話型インフォテインメントシステム「MBUX」も採用。手のジェスチャーで様々な操作が可能なMBUXインテリア・アシスタントも、標準ボディにオプション、ロングボディに標準で装備する。後席用のMBUXリアタブレットもオプションで用意した。最新のテレマティクスサービス「Mercedes me connect」も標準設定。さらに、後席左右でも様々なプログラムが楽しめる11.6インチディスプレイをロングボディにオプション設定した。オーディオシステムの充実化を図ったことも特徴で、専用設計の「Burmester3Dサラウンドサウンドシステム(パーソナライゼーション機能付き)」を標準ボディにオプション、ロングボディに標準で装備。さらに、各席にエキサイターを配した「Burmesterハイエンド4Dサラウンドサウンドシステム」をロングボディにオプション設定した。なお、新型Sクラスはファイアウォール遮音材をAピラーの側面やフロア部まで延長するとともに、ボディシェルの一部にも遮音発泡材を新採用。質の高い音響が楽しめるキャビン空間を構築している。
肝心のシートに関しては、最新の人間工学に基づいて造形やクッションなどを新設計。各種ヒーターやパフュームアトマイザー、シート設定、照明、音楽等のシステムを統合的にコントロールする「エナジャイジング コンフォート」も採用する。また、後席にはヒーター機能付きの調整可能な追加ヘッドレストクッションを導入。ロングボディには、オプションとしてフットレスト付きエグゼクティブリアシートを用意した。さらに新安全システムとして、世界で初めて助手席の機能に影響を与えない後席左右の「SRSリアエアバッグ」をオプション装備。エアバッグは前席のシートバックの裏側に格納されており、事故を検知した際に後席左右の乗員を守るべく展開される仕組みだ。
安全運転支援機能のインテリジェントドライブのアップデートも見逃せない。ハードウェアはフロント長距離レーダー(長距離最大検知角度9度、近距離最大検知角度90度)、フロントマルチモードレーダー 2個(最大検知角度130度)、リアコーナーレーダー2個(最大検知角度130度)、ステレオマルチパーパスカメラ(最大検知角度70度)、360度カメラ 4個(最大検知角度180度)、超音波センサー12個(最大検知角度120度)で構成。機能としては、アクティブステアリングアシストやアクティブエマージェンシーストップアシスト、アクティブブレーキアシスト、緊急回避補助システム、アクティブレーンキーピングアシスト、アクティブブラインドスポットアシスト、PRE-SAFEインパルスサイドなどの精度向上を実現した。
パワーユニットには改良版の2機種を設定する。S400d 4MATICとS400d 4MATICロングには、“OM656”2924cc直列6気筒DOHCコモンレール式直噴ディーゼル2ステージターボエンジン(最高出力330ps/3600~4200rpm、最大トルク700Nm/1200~3200rpm)+9G-TRONIC(電子制御9速AT)を搭載。駆動機構には可変トルク配分4輪駆動システムの4MATICを採用する。燃費性能はWLTCモードでS400d 4MATICが12.5km/リットル、S400d 4MATICロングが12.4km/リットルを実現した。一方、S500 4MATICとS500 4MATICロングには、“M256”2996cc直列6気筒DOHC直噴ガソリンターボエンジン(最高出力435ps/6100rpm、最大トルク520Nm/1800~5800rpm)+ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)/48V電気システム(モーター出力16kW/250Nm)+リチウムイオン電池(容量約1kWh)+9G-TRONIC(電子制御9速AT)を搭載。駆動機構には可変トルク配分4輪駆動システムの4MATICを組み込む。燃費性能はWLTCモードでS500 4MATICが11.2km/リットル、S500 4MATICロングが11.0km/リットルを達成した。
基本骨格に関しては、高張力&超高張力鋼板を使用しながら、アルミニウム比率を約60%にまで高めたアルミニウムハイブリッドボディシェルを採用。シャシーには、連続可変ダンパーとエアサスペンションを電子制御することで快適性と俊敏性を高いレベルで両立させたAIRマティックサスペンションを装備する。また、後輪操舵システムのリア・アクスルステアリングを新たに設定。約60km/h以下の速度域や駐車などの際には、リアホイールをフロントホイールとは逆方向に最大4.5度傾けて最小回転半径を縮小し、約60km/hを超えるとリアホイールをフロントホイールと同方向または逆方向に最大3度操舵、約120km/h以上の高速域ではリアホイールをフロントホイールと同方向に最大2.5度操舵し、走行安定性と旋回性を高めた。さらに、選んだモード(エコ/コンフォート/スポーツ/スポーツ+/インディビデュアルの5モード)に応じてエンジン、トランスミッション、サスペンション、ステアリングアシストなどのパラメーターを最適制御するダイナミックセレクトを導入している。
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みんなのコメント
リバースギアに入れるとトランク脇からポールが帯びる位の親切の方が、キチンと「運転」に向き合える様な気がするのは私だけだろうな。