ランドローバーのルーツが大変身!2代目はメカ一新。味わい深い造形
ランドローバーの歴史は、第2次世界大戦後の1948年、当時の英国ローバー社がオフロード性能に特化した四輪駆動車、いわゆる「シリーズ1型」を開発したことからスタートした。シリーズ1型は、ランドローバー車のバリエーション拡充に伴ってシリーズ3型から、ディフェンダーに改名。基本設計を踏襲したまま2016年まで生産が継続された。
ディフェンダーは、ランドローバーのルーツであり、ブランドアイデンティティを決定した名車である。その2ndモデルの日本販売がスタートした。
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基本設計が1940年代に遡る1stモデルと、最新ディフェンダーに、もちろん直接的な技術の関連性はない。
ボディ構造は、「かつてのラダーフレーム式と比較して約3倍のねじり剛性を確保した」というアルミニウム製のモノコック式に一新され、リジッド式だった前後サスペンションは、コイルまたはエアスプリングを用いた4輪独立懸架に改められている。
一方、約70年という時間を生き抜いた味わい深いスタイリングは、生まれ変わった2ndモデルにも新たな解釈を加えたうえで踏襲された。
そのルックスは、いわゆるSUVではなく、明確に「オフローダー」というキャラクターを主張する。2ndモデルでもルーフやベルトライン、ドアのパーティションラインなどが抑揚を抑えた水平と垂直基調で構成され、標準サイズのスペアタイヤをリアドアに背負う。ちなみに、横開き式のテールゲートは1stモデル同様の右ヒンジ。これは左側通行国の日本では、うれしいポイントだ。
ロングボディに試乗。室内はシンプル&モダン
「まず日本に到着したのがこのバージョンだった」という関係で、テストドライブに用意されたモデルは110と呼ばれるロングボディのSEグレード。電子制御エアサスペンションや20インチタイヤ、電動調節コラムやレザーシート、さらにはバーチャルルームミラーを標準採用する上級仕様だ。試乗車はさらにさまざまなオプションが装着され、車両総額は940万円を超えていた。
ボディサイズは全長×全幅×全高4945×1995×1970mm。全長は背面スペアタイヤを含めると5018mmに達する。堂々としたアピアランスは、ディフェンダーの大きな魅力だ。オフローダーらしい逞しさにあふれている。ただし最小回転半径は6m。大型サイズと相まって、日本で乗るには取り回し面でそれなりの制約を伴うことは覚悟すべきだろう。
走りへの期待を高めて室内に乗り込む。「付加物を加えたくなかった」という判断からか、ピラー部にアシストグリップは未装備。高い位置にあるフロントシートに収まるのに少々難儀した。だが、乗り込んでしまえば快適な最新空間が待っている。
ダッシュボードは、グリップをモチーフとした造形を助手席側まで展開したデザイン。シンプル&モダンな、巧みな仕上がり。ただし「工場出荷の段階で装着されてしまう」というGPSやVICS用と思われるアンテナが、配線丸見えの状態でインパネ上側にレイアウトされるのはとても残念。意外に目立ち、優れたデザイン性をスポイルしている。
道を選ばない圧倒的な走破性。走りのポテンシャルは超一級
パワーユニットは最高出力300ps、最大トルク400Nmを誇るターボ付きの2リッター4気筒ガソリンエンジン。トランスミッションは8速ステップATを組み合わせる。パフォーマンスは実用指向。日常シーンで大きな不満はない一方、「決して強力とはいえない」動力性能に留まる。これは副変速機を備えるヘビーデューティな駆動系やエアサスペンションの標準採用で、車重が2240kgとヘビー級なことに理由がありそうだ。
静粛性は特筆レベルにあるし、オンロードでのコーナリングやクルージングシーンで決して「危うさ」を伴わない走りの基本ポテンシャルは、現代のモデルらしい優れた仕上がり。
歩きでも躊躇しそうな急坂や、ありきたりのSUVではたちまち音を上げそうなアップダウンを含んだ特設のオフロードコースにトライしても、何の危うさもなしに楽々とクリアした。道を選ばない高い走りのポテンシャルは、実に魅力的だ。
新型ディフェンダーは、飛び抜けた踏破性を秘めたプレミアムなフルサイズオフローダー。これまで「ライバル不在」の時代を謳歌して来たメルセデス・ベンツのGクラスにとって、とんでもないライバルが出現した。
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