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「四角いハンドル」はアリ?ナシ? プジョーが26年以降に標準採用、メリットはあるのか

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「四角いハンドル」はアリ?ナシ? プジョーが26年以降に標準採用、メリットはあるのか

ステアバイワイヤの革新技術

「車のハンドル = 円形」

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という常識は、今後変わるのか――。フランスの自動車メーカー、プジョーは2026年以降に発売する車種から、四角い形状のハンドルを採用すると発表した。これにより、先進的なハンドルを標準仕様にする予定だ。

 これまで、車のハンドルは円形が主流だったが、昔から丸型以外のハンドルの試行錯誤が続けられてきた。最近では、下側がフラットなD型ハンドルや楕円(だえん)形のハンドルがいくつかの車種で採用されている。プジョーは2024年初頭に異形ハンドルをさらに進化させたコンセプトデザイン「ハイパースクエア」を発表した。このデザインは、長方形の四隅を丸めた、ハンドルとは思えない四角い形状をしている。

 ハイパースクエアの内側の四隅には大きな穴が設けられており、そこをつかむ部分となっている。それ以外の部分はディスプレーになっており、タッチ式で車のさまざまな機能にアクセスできる。これにより、ドライバーはハンドルから手を離さずに車両システムを操作できるという。

 さらに、ハイパースクエアは「ステアバイワイヤ」という最新のステアリング技術を採用している。このシステムは、従来の車がハンドルからタイヤまで機械的に接続していたのを電気的に置き換えるもので、ハンドルの舵角はセンサーによって検知され、その情報をもとにタイヤの向きを変えるステアリングコラムをモーターや油圧アクチュエーターで動かす。

 ステアバイワイヤを採用することで、ドライバーは最小限のハンドル操作でタイヤを操作できるようになる。さらに、タイヤから伝わる振動の低減や車の設計自由度も向上する。ただし、ハンドルがタイヤに直結していないため、システムダウン時のフェールセーフは重要だが、プジョー以外の自動車メーカーもこの技術の採用を進めており、安全システムの開発にも注力している。

 これまでの自動車メーカーのコンセプトモデルは未来感があっても実現可能性が低いものが多かったが、プジョーはこの四角いハンドルを量産車にも採用するという点でかなり異例だ。量産仕様がハイパースクエアのコンセプトモデルと同じになるかは不明だが、かなり攻めた方針であることは間違いない。

視認性向上と操作性のはざま

 ハイパースクエアは、さまざまなハンドル形状のなかでも非常にユニークな存在だ。これまでに丸型以外の異形ハンドルが採用されてきた理由はいくつかある。

 円形ハンドルでは、ドライバーはハンドルの奥にあるメーターやディスプレーをハンドル越しに見ることができるように、内側が空いている。しかし、ドライバーの身長や視線の位置によっては、メーターが見づらい場合がある。

 また、円形ハンドルは上下にスペースを取るため、ドライバーが運転席に乗り込む際に膝にぶつかりやすい。こうした問題を解決するために、ハンドルの上下をできるだけ低くしたいという要求があった。

 その結果として、D型ハンドルや楕円ハンドルといった異形ハンドルが登場した。ただし、あまり円形から逸脱した形状は、ハンドルを切り返す際に持つ場所が減るため、不便さもある。このように、異形ハンドルは視認性や乗降性と操作性のバランスが常に求められてきた。

 ハイパースクエアは、上下を最小限に抑えた長方形のデザインで、メーターや前方の視認性を大きく確保し、ドライバーの乗降性も大幅に向上している。

 ただし、四角いハンドルは切り返し操作の際に持つ箇所が少なくなるため、操作性が劣るという問題がある。そこでプジョーは、ステアバイワイヤ技術を採用し、わずかな舵角でも車を操作できるようにすることを目指している。これにより、車を曲げたり転回させたりするときに切り返し操作が不要になり、ドライバーはハンドルから手を離さずに操作できるようになる。

 もしハイパースクエアが量産車に標準搭載されれば、異形ハンドルのメリットを最大限に享受できるだろう。

革新と伝統のはざま

 異形ハンドルはプジョーだけでなく、多くのメーカーでも採用されている。国産メーカーもさまざまな車種に導入しているが、なかには異形ハンドルから円形ハンドルに戻った例もある。そのため、プジョーの挑戦が一時的なものになる可能性もある。

 国内最大手のトヨタはハイブリッド車のプリウスで知られているが、以前のモデルでは楕円形の異形ハンドルを採用していた。

 しかし、4代目プリウスでは円形ハンドル(実際にはわずかに楕円形)に変更され、現行の5代目でもほぼ円形のハンドルが使用されている。ハンドル形状の変更理由は明確には示されていないが、円形になったことで操作性が向上したという意見もあり、大衆車としての実用性を重視した結果かもしれない。

 一方、トヨタの最新バッテリー式電気自動車のスポーツタイプ多目的車(SUV)「bZ4x」には、ワンモーショングリップと呼ばれる異形ハンドルが採用されている。これは長方形に近い横長の形状で、トヨタ初のステアバイワイヤ技術を取り入れた車種となる。現在、ユーザーは注文時に円形ハンドルかワンモーショングリップを選べるようになっており、希望すれば先進的な装備を利用できる。

 トヨタは売れ筋の車種では実用性を重視しているが、先進的なモデルでは異形ハンドルの可能性を常に探求している。四角いハンドルとステアバイワイヤの組み合わせは、一般車としてはまだ試行錯誤の段階であり、トヨタやプジョーの今後の実績が注目される。

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みんなのコメント

7件
  • amb********
    ハンドルとタイヤが直結してることでキックバックから得られる情報もあると思うけどね。急にグリップが抜けるとか、ステアバイワイヤはその辺も対応してるのかな?
  • you********
    >ステアバイワイヤ技術を採用し、わずかな舵角でも車を操作できるようにすることを目指している

    単純にステアリング比を高くしすぎるとちょっとハンドル切っただけで曲がりすぎたり直進安定性に難が出るし、ハンドルの切り角度によってタイヤの動き方を可変にするとハンドル切ってる人間の感覚とズレが生じて変な動きになる
    違和感を与えないようにどう制御するんだろうか
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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