メルセデス・ベンツが現行Cクラスにステーションワゴンを設定したのは2014年のこと。日本におけるワゴンモデルの売り上げは、セグメント別でナンバーワンと人気だ。
2018年7月にマイナーチェンジされた新型Cクラスステーションワゴンは、メルセデス・ベンツがうたう「インテリジェントドライブ」を、さらにアップデートした。安全運転支援システムが進化したほか、通信サービスの「メルセデス・ミー・コネクト」も標準化した。
さらに「C220dステーションワゴン アバンギャルド」を新設定。ディーゼルエンジン搭載モデルのこちらを今回試乗したが、走りがとてもよかった!
1950cc直列4気筒ディーゼルターボエンジンは、Eクラスに搭載するエンジンとほぼ同じで、194psの最高出力と、400Nmの最大トルクを発揮する。
従来のクリーンディーゼルより高出力化するいっぽう振動と騒音を低減した、とメーカーはうたう。排ガスも欧州の最新の規制(RDE=実炉走行試験規制)をパスしている。
高出力は間違いない。たしかに力がある。スタートから加速していき、そのまま速度を上げていくときの、スピードがスムーズにあがっていくさまは気持ちがいい。もちろんディーゼルエンジン特有の音はするものの、耳障りではなかった。
スポーティ志向のC200と比較してとりわけ印象的だったのは、当たりのやわらかい乗り心地だ。ダンパーのセッティングもよく、ふんわりと走る。それが1600rpmの低回転域から最大トルクを発生するエンジンのキャラクターとマッチしており、快適かつ重厚さすら感じる。
これには、やや重めのステアリングホイールの操舵感覚や、シートの座り心地、ボディの剛性感など、さまざまな要素も関連しているはずだ。それが総体となり、走りの高いクオリティにつながっている感じだ。
また、トルクがたっぷりあるので、どんな場面でも気持ちよく走れる。高速巡航がもっとも得意であると思うが、ワインディングロードでも力不足を感じない。上り勾配だろうが下り勾配だろうが、スイスイとこなしてしまう。
ひとことで言うと、“おとなっぽいステーションワゴン”である。中距離のドライブが多い人には、とりわけ、いいパートナーになると思う。価格は602万円と、BMW 320dツーリング(「Sport」グレードで607万円)と真っ向からぶつかる。走行性能では甲乙つけがたいし、BMWの4気筒ディーゼルターボエンジンはフィールがいいし、静粛性も高い。
ただし、3シリーズはセダンがフルモデルチェンジを受けたので、ステーションワゴンも間もなく新型に切り替わる。モデル末期の熟成感も捨てがたいが、安全運転支援システムが気になるなら最新仕様のCクラスがいいかもしれない。
ちなみにもう1台、「C180ステーションワゴン・アバンギャルド」にも試乗した。1.6リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載するモデルだ。試乗車は、電子制御可変ダンパーによる「アダプティブダンピングシステム」を組み込んだ「ダイナミック・ボディコントロール」システムを搭載していた。
試乗した第一印象は、意外なほどパワフルだった点。156psの最高出力と250Nmの最大トルクは、比較的控えめに感じられる数値かもしれないが、実際は期待以上で、速い。
低速では(路面状況もあるだろうが)ややゴツゴツとした乗り心地だったが、速度が上昇するにしたがって“ビシッ”とし、安定した。
また、比較的高速でのコーナリングの挙動は安定していて、姿勢変化も少ない。ダイナミック・ボディコントロールの真骨頂だ。エンジンは高めの回転域になるほど活き活きとし、かつ右足の微妙な動きでトルクのコントロールが出来る気持ちよさも魅力だ。
C180ステーションワゴン・アバンギャルドの価格は513万円。BSG(ベルトドリブンスタータージェネレーター)搭載の「C200ステーションワゴン・アバンギャルド」(576万円)もいいクルマで選択に悩みそうであるが、C180ステーションワゴン・アバンギャルドを選んでも後悔はしないと思う。気になるグレードがあればすべて試乗し、自分好みのCクラスステーションワゴンを見つけることをオススメしたい。
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