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新型に試乗 8代目992型 ポルシェ911カレラ4S 季節を問わぬ誘惑

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新型に試乗 8代目992型 ポルシェ911カレラ4S 季節を問わぬ誘惑

もくじ

どんなクルマ?
ー 991型の4輪駆動モデルと同じ全幅
ー オプション・メニューはふんだんに用意
どんな感じ?
ー パナメーラやカイエンと共通のインテリア・テイスト
ー 911らしいスロットル操作でのコーナリング
「買い」か?
ー 4WDなら季節を問わない
スペック
ー ポルシェ911カレラ4Sのスペック

ポルシェ・カイエン・クーペ登場 サイズ/荷室容量、カイエンや競合との差は

どんなクルマ?

991型の4輪駆動モデルと同じ全幅

再三触れているが、8代目となり全幅が広くなった911で、往々にして幅員の狭い英国の道を走る機会がやってきた。しかし実際は992型の全幅も、フルサイズのスポーツカーと比較すれば、まだスリムな方だということは朗報ではある。また、991型と比較して更にシャープで正確性の高いハンドリングを獲得してはいるものの、その差は、たとえオーナーであっても気づきにくい差かもしれない。

世界中のスポーツカーの多くは、モデルチェンジの度に全幅が広くなることはあっても、狭くなることは殆どない。それは今回の992型にも当てはまっているが、全幅が45mmも広げられたといっても、そもそも991型の4輪駆動モデルと同じ数字に、後輪駆動モデルが広げられた程度なのだ。

それによって、先代から操縦性をさらに向上させただけでなく、純粋主義者が選ぶであろう後輪駆動モデルをワイドボディとすることで、アピアランスを良くし顧客への訴求力を高めている。後輪駆動でありながらワイドボディを求めていたドライバーは、数世代に渡ってカレラGTSなどを選択することになっていたが、今回はグレードのヒエラルキーを超える必要はなくなったともいえる。

オプション・メニューはふんだんに用意

当面は992型で提供されるのは450psのエンジンを搭載したカレラSとカレラ4S。トランスミッションはポルシェ製の8速デュアルクラッチATのみとなる。先日試乗したカブリオレも条件は同じ。また大径のホイールや広げられたトレッド、クイックになったステアリング、軽量で強固になったボディ、見直されたサスペンションなど、走りの向上メニューが数多く盛り込まれている。

ふんだんに用意されたオプションを組み合せることで、ドライビングの体験をオーナー好みに仕立てることができるのは、これまでの911と同様。車高が10mm低くなるスポーツサスペンションやリアアクスル ・ステアリング、アクティブ・アンチロールバー、カーボンセラミックブレーキなどが選べるが、アラカルトは予算にもよるだろう。ちなみにアクティブ・アンチロールバーは、リアアクスル ・ステアリングとの組み合わせのみの設定となっている。

定番のスポーツクロノ・パッケージももちろん用意されており、ダイナミック・エンジンマウントにローンチコントロールなどが追加される。電子制御のアダプティブダンパーとリミテッド・スリップデフは標準装備となった。英国の道との相性はどうだろうか。

どんな感じ?

パナメーラやカイエンと共通のインテリア・テイスト

ドアを開ければ、まったく新しくなったシートが迎えてくれる。着座位置も5mm低められているが、すぐに気づくほどのものではないだろう。何しろポルシェが行った911のインテリアのアップデートを観察するだけでも充分に感銘を受けるだろうし、その仕上がりはとても素晴らしいのひとこと。しかしラグジュアリーという雰囲気でもない。セレブリティが楽しむ多くのスポーツカーとは、備えているフィロソフィーが異なっているから、表現として適していないとすぐに分かるだろう。

一新されたインテリアは、最新のパナメーラやカイエンと共通する、エッジの効いたデザインテイストをまとうようになり、オンボード・テクノロジーの飛躍も大きい。シートに腰掛けれて車内を眺めれば、高級で先進的なスポーツカーに座っている、ということを実感するに違いない。センターコンソールに並ぶスイッチ類やアナログとデジタルが融合したインスツルメントパネルなどのデザインは、大成功の仕上がりだと思う。

ポルシェ製の水平対向6気筒3.0ℓターボエンジンには、新しいインダクションとインジェクション、エグゾーストシステムが与えられた。先代のカレラSと比較して、最高出力と最大トルクを向上させつつ、レスポンスも良くなっているが、2ペダルの992のドライビングで最も大きな変化といえるのが、新しいトランスミッションの採用となる。

マニュアルモードでの操作では1段ギアが増えたことで、サーキットなどでの直感的な段数の選択に、少しなれが必要になったように感じられるかもしれない。しかし、エンジンのパワーバンドの広さとフレキシビリティが、その迷いを助けてくれる。3000rpmを超えた当たりから逞しさに磨きがかかり、5500rpmくらいまでは鮮明に力がみなぎる感覚が得られる。そして7000rpmめがけて、これ以上アップグレードの必要がないと感じるほどのパフォーマンスに浸ることができるのだ。

911らしいスロットル操作でのコーナリング

ポルシェは新しいターボチャージャーには吸気ノイズを大きくしドラマ性をもたせたと主張しているが、シュツットガルト・ツフェンハウゼン流の、ストロークが短いオーバースクエアならではのサウンドも楽しみたい向きもあるだろう。圧倒されるほどのボリュームではないものの、しっかり聞き取ることはできるから、ご心配なく。

今回の試乗車はリアアクスル ・ステアリングにアクティブ・アンチロールバーに加えて、スポーツサスペンションが装備された4輪駆動のカレラ4Sだったが、乗り心地とハンドリングのバランスは、極めて優れており、自然なものだった。先代の991よりも、タイトコーナーでの俊敏性と鋭さは明確に向上しているうえに、911に期待するダイナミックさを犠牲にすることなく、大きなうねりやバンプを超えたときの垂直方向の落ち着きも獲得している。

シャシーの限界に近づくに連れ、リア寄りの重量配分のおかげで、ペダル入力に対してハンドリングは一層イキイキとしたものに変化していく。4輪駆動のカレラ4Sでも、911のコーナリングスタンスはスロットル操作によってバランスされることに変わりはない。速く走るには、コーナリング途中で思慮深いパワーの足し引きが欠かせない。

ポルシェ911の卓越した操縦性は、ドライバーが望めばこれまで以上に没入できるものになったと思う。しかも穏やかに走っていても、しなやかで正確性が増していることも感じ取れるものだった。

「買い」か?

4WDなら季節を問わない

確かに4輪駆動モデルの方が、後輪駆動と比較した場合、限界領域でのハンドリングの予測のしやすさや、純粋なステアリングのフィーリングの面で多少の妥協が生じてしまう。しかし、それを理由にカレラ4Sを諦める必要はないと思う。

冬の期間も通して運転を楽しみたいと思うドライバーにとって、4輪駆動は充分魅力的に感じる要素となるはず。もちろん992型は、従来の911以上に所有するにふさわしい、優れたスポーツカーでもある。

恐らく全体の95%のドライバーは、ポルシェ911カレラSと大差なく、カレラ4Sでも素晴らしいドライビングを味わえるだろう。そして、極上のドライバーズカーとして季節を問わず満足できるに違いない。

ポルシェ911カレラ4Sのスペック

■価格 9万8418ポンド(1397万円)
■全長×全幅×全高 4519×1852×1300mm
■最高速度 305km/h
0-100km/h加速 3.6秒
■燃費 9.1~9.6km/ℓ(WLTP複合)
■CO2排出量 -
■乾燥重量 1565kg
■パワートレイン 水平対向6気筒2981ccツインターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 450ps/6500rpm
■最大トルク 53.9kg-m/2300-5000rpm
■ギアボックス 8速ツインクラッチ・オートマティック

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