現在の基準でも速い997型 カレラがベスト
第6世代となる997型のポルシェ911は、驚くほど優秀なスポーツカーだ。ベースグレードのカレラでも、最高だといっていい。むしろ、それ以上のグレードを探す必要は、筆者はないと考えている。
【画像】カレラで楽しむ本来のバランス ポルシェ911(997型) 現行の992型 同時期のボクスターとケイマンも 全109枚
20年前の2004年に登場した997型の911 カレラは、最高出力325ps、最大トルク37.5kg-mを備え、6速MTの0-100km/h加速は4.8秒。間違いなく、2024年の基準でも速い。
911だから、多様な乗り手や市場に合わせたモデル展開がなされた。四輪駆動のカレラ4にカレラS、GTS、4S、4 GTS、GT3、GT3 RS、ターボ、ターボS、GT2まで、本当に幅広い。
2009年には、フェイスリフト後の997.2型でスポーツクラシックも登場している。ちなみにこれは、僅か48時間で完売した。
ここですべてをご紹介するのは不可能だが、正確な操縦性と落ち着いた走りがお望みなら、カレラ4やS、GTSがオススメ。サーキットを楽しみたいなら、GT3やGT2が好適となる。アウトバーンの追い越し車線や大陸横断での安楽さなら、ターボが良い。
とはいえ、本来のバランスとエレガントさを日常的に味わいたいなら、カレラがベスト。どのグレードを選んでも、当時では最先端といえる技術が投じられていることに変わりはない。
997型では、ポルシェ初のデュアルクラッチAT、PDKを採用。ティプトロニックと呼ばれたトルクコンバーター式のATから、飛躍的な進歩を遂げていた。
水冷エンジンは燃料の直噴化に加えて、可変ジオメトリ・ターボも採用。トルクベクタリング機能も与えられている。
歴代で抜きん出ていた運転のしやすさ
見た目は、先代の996型から大きな変化はない。シャシーも996のアップデートではある。しかし、キャリーオーバーされたのはルーフパネルのみ。993型へ影響を受けたスタイリングは、空力特性が大幅に磨き込まれている。
空気抵抗を示すCd値は0.28で、996型の0.30から改善。高速走行時のリフトを、確実に減少させていた。
操縦性も素晴らしく、カーブが連続する区間へ飛び込めば、優れた能力で操る自信と信頼感がすぐに湧いてくる。テールヘビーの重量配分に対する懐疑心は、過度に抱く必要はない。フラットなコーナリングは、運転スキルを磨くのに好適だ。
運転のしやすさは、歴代でも抜きん出ていたほど。AUTOCARでの評価も高かった。
水平対向6気筒エンジンは、素のカレラに搭載された自然吸気の3.6Lから、カレラS以上の3.8L、格別なGT3 RSの4.0Lまで多彩。カレラSの最高出力は355psで、ターボSでは529psを誇った。
トランスミッションは、前期型では5速オートマティックと6速マニュアルを用意。フェイスリフト後の後期型では、先述の7速PDKが追加されている。
扱いやすい特性もあって、997型の中古車は人気が低くなく、今後も値崩れすることはないだろう。それでも、911としてはお手頃な側にあるのがうれしい。英国市場なら、状態の悪くないカレラを2万3000ポンド(約442万円)前後から探すことが可能だ。
新車時代のAUTOCARの評価は
ここまで爽快で、夢中になれる運転体験を提供するモデルは限られる。その殆どは、6桁ポンドという高額か、普段使いが難しい例ばかりだ。
911は登場から41年が過ぎた今でも、スポーツクーペの基準といえる内容にある。もし6万5000ポンドをスポーツカーに支払う時、997型以上にベターな選択肢は見つけられない。(2004年10月5日)
オーナーの意見を聞いてみる
ピート・オズボーン氏
「2010年式の、997.2 カレラを所有しています。マニュアルのナローボディで、後輪駆動にこだわって選びました。ベースグレードの3.6Lエンジンでも、充分すぎるほど速いです。3.8LのカレラSを、探すことは考えませんでした」
「望み通りの1台へ出会うまで、時間はかかりましたね。2年間で8000kmほど走っています。スタイリングにステアリング、トランスミッション、シートポジション、実用性、サウンドなど、すべてが気に入っています。ロードノイズはうるさいですが」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
ピストンリングがシリンダーウォールと擦れて生じる傷、スコアリングに注意。前期の997型では話題になりがちだが、ターボエンジンとフェイスリフト後の997.2では心配する必要性は低い。
アイドリング時の異音や、排気ガスの曇りがないか確かめる。どちらかの症状が見られる場合は、シリンダー内を検査したいところ。
ECUには、エンジンがレッドラインに到達した履歴が残る。ディーラーなどでチェックし、オーバーレブ・コードが表示される場合は、エンジンの摩耗状態を調べたい。
点火コイルがヒビ割れすることがある。ミスファイアやパワー不足、不自然にエンジン音が大きいなどは、これが原因の場合が多い。数100ポンド(数万円)程度で交換はできる。
前期の997型では、インターミディエイトシャフト・ベアリングが劣化しやすいが、後期型では対策済み。カムシャフトのタイミングが乱れ、ピストンとバルブがぶつかり、エンジンを駄目にしてしまう。
冷却系統
997型では新しい冷却システムが導入され、リアのエンジンからフロントのラジエターまでクーラントが循環する。ゴム製部品は劣化しがちで、接続部分からクーラント漏れしやすい。金属の部分も、酸化することがある。
インテリア
生産初期の997型では、インテリアの製造品質が高くなかった。シフトノブやトリムが外れてしまうのは珍しくない。
整備間隔
英国のオーナーズクラブでは、比較的短めのメンテナンス・インターバルを推奨している。エンジンオイルは8000km毎、ブレーキフルードは2年毎、スパークプラグは6万4000km毎での交換が望ましいようだ。ATフルードの交換は、16万km毎と長い。
知っておくべきこと
997型の後輪駆動とGT3は、ナローボディ。四輪駆動とGT3 RSはワイドボディで、リア側が44mm広い。英国のオーナー間で人気のカスタマイズ・メニューは、フィスター社製のマフラーと、アイバッハ社製サスペンションへの置換だ。
スマートフォンと連携可能なインフォテインメント・システムは、英国ではラ・パワー社が提供している。スタビリティ・コントロールの動作レンジを拡大させるモジュールも、入手できる。
英国ではいくら払うべき?
1万ポンド(約192万円)~1万9999ポンド(約383万円)
2004年式から2006年式の、前期の997型を英国では探せる価格帯。走行距離は10万km以上の例が殆ど。過度に改造された例は避けたいところ。
2万ポンド(約384万円)~2万4999ポンド(約479万円)
走行距離が短い前期の997型に加えて、走行距離が伸びた後期も含まれてくる。ポルシェのディーラーによる整備記録が揃った例も、中にはあるようだ。
2万5000ポンド(約480万円)~2万9999ポンド(約575万円)
後期の997型で、走行距離が10万km以下の例をお探しなら、この価格帯から。
3万ポンド(約576万円)~4万9999ポンド(約959万円)
好条件の997型の中古車なら、英国ではこの価格帯になる。ポルシェ・ディーラーによる整備記録が残り、走行距離は5万km前後へ短くなる。
5万ポンド(約960万円)以上
ボディもインテリアも極上状態の997.2型は、この辺りまで奮発したい。
英国で掘り出し物を発見
ポルシェ911 カレラ4S 登録:2006年 走行距離:6万9200km 価格:2万9895ポンド(約574万円)
傷がほぼないボディを保った、前期の997型。スポーツマフラーにボーズ社製サウンドシステム、リアワイパーが備わる。エンジンは3.6Lの325psだ。
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