トヨタ自動車は今月1日、人気のハイブリッドカー「アクア」を改良し、同日販売を開始した。今回の改良では、駐車時にナビゲーション画面で周囲の状況を確認できるパノラミックビューモニターの設定や、バックギアに入れた際にサイドミラーが下を向き、駐車時の車線確認を行えるリバース連動ミラーを採用するなど利便性の向上が図られた。もうひとつ身逃がせないのが、新たに設定された特別仕様車「S“ビジネスパッケージ”」の存在だ。
S“ビジネスパッケージ”は、その名の通り。ビジネスユースを対象としたグレード。ラインアップで中間の位置付けの「S」グレードをベースに、落ち着いた雰囲気のナチュラルグレーの内装色や、充実した安全装備を特徴とする。荷室には段差のないフラットな荷室を実現するフルフラットデッキボードを標準装備し、積載をアップ。後席格納時の荷室長は1204mm を確保し、ダンボール(280mm×380mm×320mm)を19個積載可能とされる。もっとも基本設計はベース車と変わらないため、もともとのアクアの積載ポテンシャルが高いということだろう。
安全装備については、緊急自動ブレーキなどをパッケージ化した「トヨタ セーフティ センス」をはじめ、アクセルの踏み間違いによる衝突リスクを軽減するインテリジェントクリアランスソナーを標準装備するなど、幅広い層にとって運転しやすいように配慮したのが特徴だ。
一方、リアシートの6:4分割機構や、前席ヘッドレストの高さ調整機能、内装のメッキ/ブラック加飾などが付かないほか、運転席の調整機構が6ウェイ式から4ウェイ式に変更されていたり、スピーカー数が4つから2つに減っていたり、細かなところで簡略化されている装備もある。
トヨタの商用車といえば、プロボックスやサクシードが思い浮かぶが、アクア S“ビジネスパッケージ”は、プロボックスやサクシードのハイブリッドモデルと同価格帯に位置する。積載性はプロボックス/サクシードに軍配が上がるが、燃費はアクア(JC08 モード:34.4km/L)がプロボックスやサクシード(同 27.8km/L)が上回り、またスタイリングが乗用車然としているため、業種によってはアクアの方がビジネスシーンに溶け込みやすいといったケースもあるだろう。
またその誕生の背景には、これまでビジネスユースの需要が一定数見込めていたヴィッツが、まもなくフルモデルチェンジし、新しいマーケティング戦略のもと展開されることも関係あるかもしれない。というのは現状では噂レベルだが、ヴィッツは新モデルでは欧州名と同じ「ヤリス」に車名変更し、WRC参戦で得られるヤリスの名声を、市販モデルのスポーティなイメージに結びつけようという狙いがあるようなのだ。そうなるとビジネス仕様というのはイメージ戦略的にそぐわない存在となるため、これまでヴィッツで担ってきたビジネスユースの需要は、代わりにアクアが受け持つというわけだ。
というわけで、色々な意味で注目のアクア S“ビジネスパッケージ”。車両価格は 191万7,000 円で、ボディカラーはホワイト、シルバーメタリック、ブラックの3色が設定される。
※7月8日、本文に記載の車名に誤りがありましたので修正しました。申し訳ございません。
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