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いつ見ても新鮮!! ナウでヤングなジウジアーロが手掛けた日本車3選

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いつ見ても新鮮!! ナウでヤングなジウジアーロが手掛けた日本車3選

■「ピアッツァ」は、シニア感覚というよりヤングな感覚だった!?

 日本の自動車産業にとって創成期にあたる1960年代に、百花繚乱のごとく登場したイタリアンデザインの国産車たち。しかし、その血脈はカタチを変えて、いわゆるバブル期に至るまで続いていたようだ。

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 今回は1980年代から1990年代に、日本メーカーとイタリアのデザインハウスのコラボレーションから実際に販売されたモデルを3台セレクトして、紹介しよう。

 図らずも3モデルともにイタルデザイン-ジウジアーロ作品となってしまったことは、この時期の自動車デザインの世界において、いかにジウジアーロが影響力を持っていたかを示す、ひとつの証ともいえるだろう。

●いすゞ初代「ピアッツァ」

 現在では大型商用車専業メーカーとなっている(海外向けには小型トラック/SUVも生産・販売を継続)いすゞ自動車が、1981年6月に正式発売した初代「ピアッツァ」は、デザインワークのみならず、エンジニアリングについてもイタルデザイン社が深く関与したモデルだった。

 ジウジアーロとイタルデザイン社は、1970年代初頭から「Asso(アッソ=エース)」と銘打ち、4人が快適に移動できる実用性とモダンで流麗なスタイルを完全両立したクーペを目指した、一連のシリーズ作品に取り組んでいた。

 そのファイナルモデルとして、1979年3月のジュネーヴ・ショーに参考出品されたのが、トランプの絵札のひとつ「クラブのエース」を意味するイタリア語「Asso di Fiori(アッソ・ディ・フィオーリ)」と名づけられた、いすゞ「PFジェミニ」をベースとするクーペだった。

 極端にシャープなノーズとリトラクタブルのライトカバーが織りなす、超モダンなスーパーカー的アピアランス、およびエクステリアに負けず未来的なインテリアは、たちまち欧州のエンスージアストを魅了することになる。

 また同年秋の東京モーターショーでも、「いすゞX」のネーミングとともに再登場。巷では、市販を待望するリクエストが日に日に高まっていた。

 しかし、ジュネーヴ・ショーにて発表された時点では、生産化、すなわちのちの「ピアッツァ」に至る道筋が、すでに正式スタートしていたという。

 アッソ・ディ・フィオーリは発表当時にいわれていたような「イタルデザイン主導」ではなく、実はいすゞ側が起案したコンセプトに基づくものだった。そして、マセラティ「ボーラ」/「メラク」やロータス「エスプリ」で成功を収めていたジウジアーロのデザイン能力をもって、スーパーカーのエッセンスを実用性に富んだ「アッソ」シリーズの基本コンセプトにブレンドさせる。それがアッソ・ディ・フィオーリの骨子となったのだ。

 また、この時点でデビューから10数年を経ていた「117クーペ」の後継車となるとともに、スポーツワゴンとしての資質も求めていた当時のいすゞ首脳陣の希望をかなえるため、両社内で「SSW(Super Sports Wagon)」というコードネームで呼ばれることになったこの新プロジェクトだが、ピアッツァに至る生産化プロセスについてもイタルデザイン社が密接に関与していたことは、特記しておかねばならない事実である。

 ピアッツァとして正式デビューののち、巷のカーマニアやメディアなどから「日本で勝手におこなわれた改悪」と決めつけられ、酷評を受けることになってしまったフェンダーミラーも、実は日本の交通法規を考慮してジウジアーロ自らデザインしたものだったという。

 そして、いすゞの生産化担当デザイナーがイタリアに長期逗留して、トリノ・モンカリエリのイタルデザイン社まで足しげく通いつめ、あるいはジウジアーロ氏自身も、しばしば神奈川・藤沢のいすゞ本社開発室を訪れ、両者の間では活発な議論が交わされるとともに、ミリ単位にも及ぶシビアな調整作業がおこなわれたといわれている。

 その結果、同時代のPF系ジェミニからフロアパン/コンポーネンツを流用するという厳しい条件を満たしつつ、ほぼアッソ・ディ・フィオーリを再現した生産型ピアッツァの実現に至ったのである。

■ジウジアーロが手掛けた世界戦略をかけた日本車とは?

 誕生から間もなく30年を迎えるいまとなっても、コアなファンから根強い人気を維持しているトヨタ初代「アリスト」は、トヨタ9代目「クラウン」から設定された上級モデル「クラウン・マジェスタ」の姉妹車的なポジションで、1991年にデビューしたアッパーミドル・サルーンだった。

●トヨタ(初代)「アリスト」/レクサス「GS」

 高性能バージョンにあたる「3.0V」には、80系「スープラ」と同じくツインターボの2JZ-GTEエンジンを搭載。当時の国内向け自主規制枠一杯の280psを発生するという、かなりスポーティなキャラクターを前面に打ち出していた。

 その商品コンセプトにしたがって、ボディデザインもアグレッシブ指向。日本国内の中高年層を意識したクラウンが「演歌調」ともいわれる、ドメスティックなスタイリングを旨としていたのに対して、カスタマー層の若返りも期待されていたアリストでは、1970年代末から秘密裏にコンタクトをとっていたイタルデザイン-ジウジアーロに、デザインワークを委ねることにした。

 また1993年からは、この時期トヨタがプレミアムブランドとして打ち出していた「レクサス」の中核をなすアッパーミドル・セダン「GS」シリーズの第一弾として輸出されることにもなっていたことから、グローバルなスタイリングを実現するためのコラボレーションだったと推測される。

 初代アリスト/レクサスGSのスタイリングは、1980年代終盤からジウジアーロが温めていた、4ドアサルーンデザインを具現化したものだった。

 この基本スタイルは、ジャガー社へのプロポーザルとして企画。「XJ12シリーズIII」をベースに製作したジャガー「ケンジントン」として、1990年の英国バーミンガム・ショーにて初めて姿を現している。

 ただし、この段階でアリストとなるデザインワークも並行して進められていたことから、しばしばいわれる「ジャガー・ケンジントンのデザインを生産化」という見方は、どうやら正解ではないようだ。

●スバル「アルシオーネSVX」

 今も昔もテクノロジーコンシャスなクルマ創りを身上とするスバルだが、ことエクステリア/インテリアのデザインについては、あくまで機能の副次的なものとみなしているかにも見える。

 しかしそんなスバルも、オフィシャルのものとしてはこれまで一度だけ、イタリアのデザインスタジオとのコラボレーションを展開したことがある。1991年9月から1997年9月までのちょうど6年間にわたって生産されたスバル「アルシオーネSVX」がそれである。そしてこれもまた、イタルデザイン-ジウジアーロの傑作として知られるモデルのひとつなのだ。

 アルシオーネSVXは、「アルシオーネ」としては2代目にあたる。初代アルシオーネが、いわゆる「スペシャリティカー」だったのに対して、日本仕様でその名を受け継いだアルシオーネSVXは、本格的な「グラントゥリズモ」として開発された。

 さらに、この種のモデルの巨大マーケットである北米を中心とする海外市場では「SUBARU SVX」として販売されることになった。

 スバルSVXのデザインワークにあたり、ジウジアーロは、当時の市販車としてはかなり先鋭的なスタイリングとエンジニアリングを盛り込もうとしていたという。

 その最たる例となったのが、エアコンディショナーの標準装備を前提に固定式とした左右のドアウインドウ面にそれぞれフレームを設け、可動式の小さなウインドウを組み入れる「ミッドフレームウインドウ」だ。

 これは、1970年代からイタリアのカロッツェリアが、コンセプトカーなどでしばしば試行してきたアイデアだった。

 また、ジウジアーロの描いたデザインスケッチの段階では、初代アルシオーネと同じくリトラクタブル式のヘッドライトを想定。イタルデザインの手でモックアップ・モデルも製作されたが、市販モデルでは富士重工社内デザインによる、プロジェクター固定式ヘッドライトに転向されている。

 加えてイタルデザインでは日本の5ナンバーサイズに準ずる、あるいはそれに近い車幅でプロポーションを想定していたものの、グローバル市場を目指していた富士重工側の英断でワイド化が図られることになったといわれている。

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みんなのコメント

5件
  • ナウでヤングかもう死語に近い
  • ナウはナウイでピアッツァが出た頃でいいですが、ヤングはスバル360ヤングssの時代で、ピアッツァの時代はもう死語。アリストが出たころは、ポケベルが流行った時代でナウも死語。3台で時代に開きがあります。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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