電子制御の介入を廃したソリッドな感覚と軽快さはまるでバイク!
305馬力のスポーツEVを谷口信輝選手が試す
1995年に発売されたトミーカイラZZ(SR20DE搭載)の設計思想を受け継ぎ、開発が進められたZZII。その発展形となる「ZZ-EV」が今回の主役だ。ちなみにZZIIは、トミーカイラの買収劇の影響で市販化には至らなかったが、その後、GLM社によって先進のEV車として再び開発が進められ、2013年に「ZZ EV」として市販化されたという経緯を持つ。ここでは、そんなEVスポーツをレーシングドライバーの谷口信輝選手が公道試乗!
「電気自動車の時代が来ても、スポーツ走行は楽しめることを証明しているね」谷口信輝
最初はさ、EVって聞いたから正直ちょっと馬鹿にしていたんだ。ところがトミーカイラZZ EVは、ものすごく良い方向にその先入観を打ち砕いてくれた。普通に考えるEVっていうと、面白みに欠けた実用一点張りのエコカーだったり、電子制御の塊で何も無理させてくれない、安全ばかりの優等生というイメージだけど、このトミーカイラZZは全然違う。
アクセルにリニアに反応してくれて驚くほど速いし、軽量なボディは意のままに操る楽しさの実現に貢献している。乗った感じは、カタログのスペック(車重850kg・出力305ps/トルク42kgm)から想像する軽快で俊敏なイメージを超えるものだったんだ。
モーター特有の特性、最大トルクがアクセルオンと同時に生み出せるのがその理由なんだろうね。スタートはクリープからスルリと発進できて、アクセルを踏み込むと飛び出すような加速が続く。トラクションコントロールが無いから、下手に踏み込むとホイールスピンが止まらないほど刺激的!
また、このクルマを楽しませてくれる演出にもなっているのが、快適装備無しという“レーシング”な割り切り。オープンカーでサイドウインドウレスのパッケージはもちろん、パワステも無ければエアコンどころかヒーターも付いていないんだから。
作り手の「アレコレ言わずに、純粋に走りを楽しめ」というメッセージが、EVだと逆に贅沢なものに感じるよ。そして、このパッケージをドライバーに納得させる性能がしっかり盛り込まれている。
ダブルウィッシュボーンのサスペンションも良く出来ていて、クルマを意のままに操らせてくれる。とはいっても、今回は市街地と高速クルージングが中心のインプレだったので、“こりゃ、サーキットや峠で走ったら気持ち良いだろうなぁ”と妄想したところまでで試乗は終了!
あえてネガな部分を言っておくと、120kmと航続距離が短いこと。これは、EV(電気自動車)の将来という意味では、バッテリーやモーターの性能の向上で解決されていくものだろうね。
このトミーカイラZZ EVに乗ったことで“例え将来、自動車のEV化が進んだとしてもスポーツカー&チューニング未来は開けていく!”、そんな未来の明るさを感じることまでできた。本当に素晴らしいスポーツEVだよ。
●問い合わせ GTS 京都府京都市伏見区竹田西段川原町90番地 TEL:075-646-0320
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