いろいろと話題騒然の新型ホンダシビック。大きくなりすぎ、などホンダ党からは厳しい意見も聞かれるが実際のところはどうなんでしょうか? 現段階の最新受注状況を踏まえつつ、ホンダシビックの事前撮影会から市販バージョンのレポートをお届けしよう。担当としては売れる気がしなくもないがいかに!?
文:ベストカー編集部・ベストカーWEB編集部/写真:藤井元輔
本日発売!! 新型N-BOXは変わってないようで大激変!! 3つの“眼”に進化の秘密あり
ベストカー2017年9月10日号より再録
■世界をリードする "シビック"から"CIVIC"ヘ成長した新型
世界のCセグメントをリードする。その目的のため、歴代初となるセダン、ハッチバック、そしてタイプRも含めたシリーズ同時開発が行われた10代目シビック。新たに開発された低重心シャシーおよびボディは、ハイテン材の効果的な配置や結合構造の最適化などで、ねじり剛性を25%向上しつつ、22kgの軽量化も達成した。
ボディ形状は、伸びやかなリアピラーが優雅な印象を与えるセダンと、短縮されたリアオーバーハングがスポーティイメージを醸すハッチバックの2種。フェンダーやバンパー形状も手伝い、ワイド&ローのイメージが強調されて、いかにもダイナミックだ。
両サイドが盛り上がり視認性を助けるボンネットの下に搭載されるエンジンは、日本で発売されるシビックとしては初となる、1.5L直噴VTECターボ。基本的にステップワゴンやジェイドが搭載するものと同じエンジンだが、シビック専用にチューニングが施され、セダンで173ps、ハッチバックで182psと、いずれも高出力化。それでいながら「平成17年排出ガス基準75%低減レベル」、「平成27年度燃費基準+10%」を達成し、全モデルでエコカー減税の対象となっている。
そのエンジンに組み合わされるミッションは、セダンがパドルシフト付きCVT。ハッチバックにはCVTのほか、6速MTも用意される。182ps/24.5kgmのエンジンを6速MTで操る楽しさは、新型シビックの大きな魅力のひとつとなるだろう。
また、充実した安全装備も新型シビックの魅力のひとつ。ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせ、衝突軽減ブレーキ、路外逸脱抑制機能、渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(CVT車のみ)といった機能を内包する「Honda SENSING」を全車で標準装備し、ドライバーをサポートする。
以上のように魅力的な仕上がりを見せる新型10代目シビック。セダンで265万320円、ハッチバックで280万440円という価格は、インプレッサなどのライバルと比べれば、やや高く思えるかもしれないが、まずはディーラーで実車を見て、車内に座ってみてほしい。そうすれば新型シビックの持つ魅力が、きっと伝わってくるはずだ。今度の新型はそれだけの実力を備えたクルマなのだ。
■実際の受注状況はいかに? ホンダディーラーに聞いてみた
今回はホンダディーラーで聞いてみた情報をまとめてみた。7月27日発表となったシビックではあるがすでに予約の段階で6300台ほどの予約が入っているという。実際シビックの売れゆきはどうなのだろうか? ここからはベストカーWEB編集部がディーラーで仕入れてきた最新の情報をまとめてみた。
【ケース1】関東圏のディーラー営業S氏は語る
「セダンは引き合いがほとんどありませんが、シビックタイプRは納期がかなり延びているようです。タイプRに関しては来年3月納車の枠もあるのですが、全国的にその枠はすでに大半が埋まっています。いまから予約しても納車は来年の夏以降となりそうです。タイプRに関しては前型が抽選販売で買えなかった層がいるので、初速はありますね。弊社で一番売れています。ただ高額車で趣味性の高いクルマなので、台数自体は一定のところで止まるでしょう」。
【ケース2】首都圏のディーラー営業I氏は語る
「シビックの標準車については圧倒的に5ドアハッチバックが優位です。実用性という面でもセダンよりは高いです。MTの選択肢のある実用性の高いクルマがほしいお客様が多く存在していますからね。我々はお客様にシビックを勧める際にはまずはハッチバックから、というのが戦術になっています。ただ5ドアはイギリス生産なので納期の面であまり調整が効かないんですよね」。
【まとめ】
編集部がつかんだ複数の情報をまとめるとこんな感じになりそうだ。
・タイプR→最短で来年3月、これからの予約だと来年夏以降は確実
・セダン→あまり予約台数が多くないが生産予定台数も少ない。これからの予約では1~2月
・ハッチバック→イギリス生産のため早くて年末。これからの予約では1月~2月に
思った以上にシビックシリーズは売れているようだが、過去のシビックとは販売台数もケタが違うのは予想どおり。ホンダとしてはそれはフィットが担う役割との認識だろうが、ビッグネームの復活に際し販売現場からは課題点がいくつかあるとの指摘も多かった。
「シビックハッチバックにMTを導入したのはありがたいのですが、やはりお客さまが求めているのは昔のシビックのような小さなキビキビしたクルマなんです。新型シビックと従来のお客さまのシビック像はかけ離れていますから、フィットに現行RSよりカッチリしたスポーツグレードを作ってほしいです」とは前述のS氏。
「指名買いのクルマなので特に売り込むということはないんですが、人気度ではハッチバックが50%、残りをセダンとタイプRで割っている感じです。セールス面の苦労を強いて挙げるといえば、Honda SENSINGの機能で誤発進抑制と歩行者検知機能が省かれているのは残念です」とはI氏。
販売現場とホンダのシビックへ対する認識の差が出始めているようだ。せっかくのいいクルマ、メーカーと販売店とでしっかりとした意思疎通がないと日本市場では埋もれてしまうかもしれない。
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