2020年以降 カーナビの販売台数は激減しているのだが…
もうすぐ2024年も終わり。年末年始に帰省や旅行などで遠出する機会も増えてきますが、そんな時に役立つものと言えば、それはカーナビゲーション(以下:カーナビ)でしょう。
【画像】これはすごい! 最新の「市販カーナビ」を写真で見る(13枚)
今ではスマホをカーナビ代わりに使う人が増えていますが、そんな状況下でもカーナビは根強い人気を保ち続けています。その理由はどこにあるのでしょうか。
まず、電子情報技術産業協会(JEITA)の統計を見てみましょう。
それによると、2020年以降、カーナビの出荷台数は急減しています。2019年には600万台あった販売台数が2020年には519万台に、2021年には476万台、2022年には440万台、2023年390万台と年を追うごとに減らし、2024年も10月現在で前年比75%となり、このまま行けば300万台を割り込みそうな状況です。
この要因は間違いなく、スマホを使う人が増えていることと、新車にインフォテイメントシステムが搭載されるようになったことに要因があります。
インフォテイメントシステムが搭載されると、カーナビに交換することはもはや不可能。この影響はかなり大きかったと言えます。こう書けば、「なんだ、やっぱりカーナビの人気が落ちているんじゃないか」誰もがそう思います。
しかし、その中身を精査していくと単純にそうとは言えない傾向が見て取れるのです。
そのひとつが、最近登場しているカーナビの新たな動きがあります。
2024年9月、それを実感するカーナビの新製品発表会がありました。パナソニックが5年ぶりに主力カーナビ「ストラーダ」をモデルチェンジし、その製品の最大のウリとしたのがオンライン機能を強化でYouTubeやPrime Videoといった7つの動画配信サービス(YouTube、Prime Video、TVer、U-NEXT、TELASA、SPOOX、NBA-Rakuten)の再生に対応したことでした。
これはいわゆる世間では「ネット動画」と呼ばれているものですが、これまでカーナビ需要を支えていたTV放送に代わるコンテンツとして急速に視聴者を集めているのです。
現状、このネット動画はスマホで見る人がほとんどですが、その一方でこれを車内で見ようとすると画面の小ささがネックになります。スマホのような小さな画面では、走行中は画面が揺れてしまうため、同乗者を含め多くの人が見づらさを感じていたのです。
そんな中で大画面化を進めてきたカーナビにとって、これは大きなプラス材料となりました。画面が大きいと移動中に画面が揺れても視認性を失わずに視聴することが可能となるからです。
特に従来のTV放送と同じ感覚でネット動画が楽しめるスタイルは、使い勝手も良く、これが多くのユーザーから支持される要因となったのです。このネット動画にはすでにパイオニアもサイバーナビで対応済みとなっており、今後はこうした機能への対応がカーナビで進んでいくのは間違いないでしょう。
それと中古車市場での需要もカーナビにとって大きな支えとなっています。中古車ではまだまだカーナビを後付けできるスペースが存在するからで、ここにネット動画にも対応するカーナビを装着することで、中古車であっても“新しさ”を実感することができるのです。
2023年の統計では中古車は260万台ほどあり、新車の448万台に比べれば市場は小さいとはいえ、市場そのものはかなり大きいと言えます。
パナソニック「ストラーダ」の新製品発表会で、インフォテインメントシステムズ事業部 コネクテッドモビリティプロダクツビジネスユニットの渡邉洋氏は、クルマの保有期間の長期間を背景に既販車の買い換え需要は堅調に推移する」と予測しつつ、「台数規模は追わず、カーナビの価値を高めて規範車ユーザーの買い換え需要を促進していく」と発言しています。
つまり、パナソニックとしても中古車市場での需要を踏まえれば、今後も出荷台数こそ横ばいながら根強い需要は続いていくとみているのです。
一時期の半導体不足も解消 生産も順調に推移
一方で、これまで供給が不安定だった半導体不足も今となってはすっかり落ち着きを見せています。
一時は中国のEV生産が急速に立ち上がり、それがカーナビ生産にも多大な影響を与えました。しかし、今は中国での景気低迷もあってEV販売台数が落ち着きを見せ、半導体そのものの生産が高まったこともあってその影響はほぼなくなるまでに回復。カーナビ各社も、生産は順調に推移しており、需要には十分応えられると話しています。
そして、カーナビが強みを発揮するのが自車位置の測位精度です。実はこの部分こそ、カーナビが本領を発揮する部分となっているのです。
「スマホのアプリでも自車位置は測位できている」との声もあるでしょう。それはGPSからの電波を反射させない環境にある場合であって、ビル街や山間など、周囲に電波を反射させるものがあると、カーナビがこの反射した電波を拾ってしまい、これが原因となって正しい位置を表示できなくなる場合があるのです。
なのでカーナビの多くはGPS衛星からの電波は、大きく自車位置がずれてしまったとき、たとえばフェリーに乗って対岸に着いたとき以外はほとんど使っていません。
ではどうやって自車位置を測位しているのでしょうか。
カーナビの多くはGPSによって正しい位置を検知した後、車両側から供給される車速パルスやジャイロセンサー、さらには地図上のマップマッチング機能などを組み合わせた自律航法で位置を検知しています。
加えて、スマホにはない機能として、カーナビの地図データに含んだ道路上の高低差データがあり、これを使って並行する高架道路と地上道路の違いを検知してルート案内に反映します。
これは特に都市での走行には欠かせない能力で、これこそが、安心して目的地までのルート案内が任せられるカーナビならではの強みとなっているのです。
そして、この強みがあるこそ、カーナビはドライバーの大きなよりどころとなっているというわけです。
安心して目的地まで頼れる高精度なルート案内と、大画面による見やすさ、多彩なコンテンツを提供するネット動画への対応など、カーナビにはスマホでは得られない魅力が数多く備えられています。これらがあるからこそカーナビが根強いユーザーの需要を集めている秘密なのです。
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みんなのコメント
スマホは大事な情報入ってるから、万が一の事を考えるとスマホはあんまりナビに使いたくない。