現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > EV(電気自動車)は走行中、本当に静かなのか?BMW i3で計測してみた

ここから本文です

EV(電気自動車)は走行中、本当に静かなのか?BMW i3で計測してみた

掲載 更新
EV(電気自動車)は走行中、本当に静かなのか?BMW i3で計測してみた

ボクは以前、EVに乗っていたことがある。

BMW i3という、ハイブリッドではなく、完全に電気モーターによって駆動されるエレクトリックカーである。

フェラーリの利益は1台あたり約900万円?一番儲かっているのはどの自動車メーカーなのか

よって、BMW i3はガソリンやディーゼルといったエンジンを持たない。そのため「運転していると静かで快適」なのだとボクはBMW i3の購入前に考えていた。実際にBMW i3を自分のものとして乗ってみると、「そんなに静かではない」ということに気がづいた。

実際に騒音レベルを計ってみよう

そこで、ボクはBMW i3と、ランボルギーニ・ウラカンの騒音レベルを、騒音計を使用して計ってみることにした。

いくらなんでも「EVであるBMW i3と、5.2リッターV10エンジンを搭載するランボルギーニ・ウラカンとでは「比較にならない」と思うだろう。

だが、その結果はこうだ。

この画像の左側はBMW i3、右側がランボルギーニ・ウラカンの「時速60キロ走行時における、車内の騒音」である。

継続画面をキャプチャした状態ではBMW i3が62.5デシベル、ランボルギーニ・ウラカンが69.2デシベルだ。だが、注目したいのは、それぞれの計測画面の右下にある「最大値」で、これを見るとBMW i3が64.2デシベル、ランボルギーニ・ウラカンが69.2デシベルとなっている。

そもそも、ぼくがBMW i3とランボルギーニ・ウラカンの車内におけるノイズを比較しようと考えたのは、「体感上だと、両車の騒音レベルがあまり変わらないように思えた」からであり、この結果はそれを裏付けたものだと言っていいだろう。

なぜBMW i3は静かではないのか?

ここで、なぜBMW i3はエンジンを持たないのに「意外とうるさい」のかを考えてみたい。

BMW i3は、停車時は非常に静かだ。これは間違いない。だが、走り出すとけっこううるさい。

これについてボクが考える理由はたった一つで、「防音や遮音よりも、軽量化を優先している」からだと考えている。

EVにとって軽量化は目下のところ最大の命題でもある。なぜ軽くしないといけないのか?

軽くしないと「航続距離」を稼げないからだ。航続距離を稼ごうと思えば「容量の大きな」バッテリーを積めばいいだけだが、現在、バッテリーの価格は思ったように下がっていない。

これが「EVが高価な理由」でもあるが、車両価格のうち2/3を占めるとまで言われるバッテリーの容量を増やし、さらに車両本体価格を上げると、誰も買わなくなってしまう。

そのため、自動車メーカーはバッテリー容量を増加させたのと(結果的に)同じ効果を得られる、「軽量化」に注目することになったというわけだ。

BMW i3に関して言えば、BMWは車体にカーボンファイバーを使用するなどして軽量化に腐心していることが理解できる。そして、その軽量化はやはり遮音材の少なさ、カーペットの薄さ、内装パネルの貧弱さといったところにも現れる。

おまけにi3のボディパネルは樹脂でできていて、ウインドウも軽量化のために薄肉化されている(ガラスは自動車に使用される素材で、もっとも重い部類だ)。

その結果どうなるのか?外部からの騒音を拾い、室内がうるさく感じられるのだ。

その騒音には、自車の発するロードノイズ、足回りの振動によるノイズ、そして他のクルマが発するノイズもある。そういったノイズを、一般のガソリン車よりも車内に入れてしまうのがBMW i3である、と言える。

ただ、これはBMW i3に限った問題ではなく、コンパクトクラスのEV全般に共通することだと考えていて、これこそ、EVが「思ったほど静かで快適ではない」理由なのだろう。

現段階ではガソリン車のほうが静かだ

だが、ガソリン車の場合は、EVほど重量にナーバスではない。
もちろん軽量化は効率化の観点から各メーカーとも重要視しているが、EVのように「騒音が入ることを前提に」まで軽量化は行ってはいない。
ガソリン車の場合、そこまでしなくても燃費を稼ぐ方法はほかにもあるし、ガソリンを入れさえすれば走行距離はどこまでも伸ばせる。

「防音や遮音性を犠牲にして」軽量化を行うのはサーキット走行前提のスパルタンなモデルだけだと認識しているが、これによって数十キロ、ボクの記憶している範囲では30-70キロほど軽量化できるというのだから、これはかなり大きい。

そしてEVの設計者からすると、これは「コストと重量が同時に削れる」方法でもあり、真っ先に防音や遮音を犠牲にしているであろうことは想像に難くない。

参考までに…ではあるが、前世代のベントレー・コンチネンタルGTのレーシングバージョン、「コンチネンタルGT3」は、市販モデルのコンチネンタルGTに比較して944キロも軽量化されているとされているが、この数字はほかの「GT3」クラスに参加するモデルよりも圧倒的に大きいものだ。

もちろん外板をカーボンファイバーに置き換えたり、といった手法を採用していることもあるが、「高級」を標榜するベントレーには、もともと相当な重量が「防音や遮音」対策に費やされている、と考えてもいいだろう(ベントレー・コンチネンタルGTのガラスは普通のクルマの二倍以上の厚さがある)。

[ライター・撮影/JUN MASUDA]

こんな記事も読まれています

ホンダ 新型「アドベンチャーモデル」発表に反響多数! 「デイキャン余裕です」「ロボット顔が好き」の声!鮮烈レッドボディに高性能「eSP+エンジン」搭載の「ADV160」どんなモデル?
ホンダ 新型「アドベンチャーモデル」発表に反響多数! 「デイキャン余裕です」「ロボット顔が好き」の声!鮮烈レッドボディに高性能「eSP+エンジン」搭載の「ADV160」どんなモデル?
くるまのニュース
独ボッシュでも最大5500人削減、欧州車メーカーの業績悪化が影響[新聞ウォッチ]
独ボッシュでも最大5500人削減、欧州車メーカーの業績悪化が影響[新聞ウォッチ]
レスポンス
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定【CES2025予習&復習セミナー】前回CESのトレンドを踏まえて次回の見どころをチェックする
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定【CES2025予習&復習セミナー】前回CESのトレンドを踏まえて次回の見どころをチェックする
レスポンス
クルマのメーター内に「光るカメ」出現! 「青いイカ」や「コーヒーカップ」も!? 点灯したらマズい? 新種の「警告灯」どんな意味?
クルマのメーター内に「光るカメ」出現! 「青いイカ」や「コーヒーカップ」も!? 点灯したらマズい? 新種の「警告灯」どんな意味?
くるまのニュース
新基準原付で125ccも原付扱いに!? 125ccのバイクには一体何がある?
新基準原付で125ccも原付扱いに!? 125ccのバイクには一体何がある?
バイクのニュース
トヨタがマニュファクチャラーズタイトル獲得! 地元で歓喜の戴冠!!
トヨタがマニュファクチャラーズタイトル獲得! 地元で歓喜の戴冠!!
ベストカーWeb
【ラリージャパン 2024】波乱続きの劇的大団円…ヒョンデのヌービルが悲願のドライバーズタイトル初戴冠
【ラリージャパン 2024】波乱続きの劇的大団円…ヒョンデのヌービルが悲願のドライバーズタイトル初戴冠
レスポンス
ゼネラルモーターズ、11番目のF1チームに。キャデラックブランドで2026年からの参戦で基本合意
ゼネラルモーターズ、11番目のF1チームに。キャデラックブランドで2026年からの参戦で基本合意
motorsport.com 日本版
日産『エルグランド』、15年目の大変身へ! 燃費倍増も、BEV化はおあずけ?
日産『エルグランド』、15年目の大変身へ! 燃費倍増も、BEV化はおあずけ?
レスポンス
ラリージャパンはヒョンデを駆る首位のタナクがクラッシュでトヨタのエバンスが優勝! 日本の勝田は惜しくも表彰台を逃す4位で終幕
ラリージャパンはヒョンデを駆る首位のタナクがクラッシュでトヨタのエバンスが優勝! 日本の勝田は惜しくも表彰台を逃す4位で終幕
WEB CARTOP
スズキが新型「カタナ」発売! めちゃ“レトロ感”あふれる「旧車風デザイン」に反響殺到! “鮮烈ブルー”採用した「レジェンドバイク」最新モデルが凄い人気!
スズキが新型「カタナ」発売! めちゃ“レトロ感”あふれる「旧車風デザイン」に反響殺到! “鮮烈ブルー”採用した「レジェンドバイク」最新モデルが凄い人気!
くるまのニュース
F1シート喪失ボッタスのメルセデスリザーブ復帰は「時間の問題」トト・ウルフ代表認める
F1シート喪失ボッタスのメルセデスリザーブ復帰は「時間の問題」トト・ウルフ代表認める
motorsport.com 日本版
約100万円! トヨタ最新「軽トラック」は使い勝手サイコー! 斬新モデル「エクストラ」は“豪華装備”がすごい! めちゃ「過酷な環境」で愛用される“超タフ軽トラ”の魅力とは!
約100万円! トヨタ最新「軽トラック」は使い勝手サイコー! 斬新モデル「エクストラ」は“豪華装備”がすごい! めちゃ「過酷な環境」で愛用される“超タフ軽トラ”の魅力とは!
くるまのニュース
これがなくっちゃ被っちゃいけない!?「SG規格」とは?【バイク用語辞典】
これがなくっちゃ被っちゃいけない!?「SG規格」とは?【バイク用語辞典】
バイクのニュース
パンク知らずで空気圧チェックも不要! ブリヂストンの夢のタイヤ「AirFree」に乗ったらアリだった
パンク知らずで空気圧チェックも不要! ブリヂストンの夢のタイヤ「AirFree」に乗ったらアリだった
WEB CARTOP
ステーションワゴン専用モデルに刷新した新型フォルクスワーゲン・パサートが日本で販売開始
ステーションワゴン専用モデルに刷新した新型フォルクスワーゲン・パサートが日本で販売開始
カー・アンド・ドライバー
いすゞ、EV路線バス「エルガEV」の量産を開始
いすゞ、EV路線バス「エルガEV」の量産を開始
日刊自動車新聞
【オープントップ ランクル】ピックアップトラックにも転換可能!トヨタ、SEMAでオープントップ ランドクルーザー コンセプトを初披露!
【オープントップ ランクル】ピックアップトラックにも転換可能!トヨタ、SEMAでオープントップ ランドクルーザー コンセプトを初披露!
AutoBild Japan

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

505.0610.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

68.8330.0万円

中古車を検索
i3の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

505.0610.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

68.8330.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村