丁度いい塩梅の現代的なファミリーカー
ちょっと上質で、丁度いい塩梅の現代的なファミリーカーをお探しなら、BMW X3は賢明な選択肢の1つになる。ボディサイズはX1やX2ほど小さくなく、X5やX7ほど大きくもない。
【画像】SUVでも多能は変わらず BMW X3 競合するメルセデスとアウディ、レクサスと比較 全128枚
車内空間が広々としたSUVでありながら、見た目は無骨すぎず、市街地でも取り回ししやすい。プレミアム・ブランドのモデルとして、装備も充実している。現行のG01型は、多能な存在だと思う。
英国仕様の場合、ベース・トリムグレードのSEでも、LEDヘッドライトに18インチ・アルミホイール、ヒーター付きレザーシート、デュアルゾーン・エアコン、オートライト、パワーテールゲートなどが備わる。ほかに何が必要だろうか。
エンジンの選択肢も幅広い。ガソリンターボでは、20iに搭載される186psの2.0L直列4気筒から、M40iに積まれる360psの3.0L直列6気筒まで、複数の出力設定が用意されている。
189psの20dや325psのM40dなど、ディーゼルターボも選べる。2020年には20dがマイルド・ハイブリッドへ進化。同時期に292psのプラグイン・ハイブリッド、30eや、バッテリーEV(BEV)のiX3も登場した。ちなみに航続距離は458kmがうたわれる。
スーパーカー級の動力性能がお望みなら、最高出力510psを誇るX3 Mもある。もっとも、BEVのiX3も同様ながら、X3とひと括りにするには収まりきらない内容の持ち主ではある。今回は触れないでおこう。
運転の楽しさと快適性、実用性を両立
BMWらしく、SUVといえども運転の楽しさはないがしろにされていない。長距離クルージング時の快適性との、好バランスが与えられている。その走りを実現しているのが、優れた操縦性を実現したシャシーと、後輪駆動がベースの四輪駆動システムだ。
乗り心地も良好で、特にアダプティブダンパーを備えたX3の場合は、同クラスで並べるモデルは見当たらないだろう。深くえぐられたワダチを柔らかく処理しつつ、カーブが連続する区間では確かな姿勢制御を披露してくれる。
インテリアには高級感が漂う。プラスティック製部品の多くにはソフトタッチ加工が施され、上質なレザーもふんだん。走行中のロードノイズや風切り音なども小さい。
高いセンタートンネルでリアシートの中央席は足の置き場に困るとはいえ、空間にもゆとりがあり、大人4名が不満を抱かずに長時間過ごせるはず。荷室容量も大きく、荷室フロアの下にも便利な収納空間が用意されている。
リアシートの背もたれは40:20:40の分割で倒れ、長尺の荷物も問題なく飲み込める。実用性も強みの1つに数えられる。ただし、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツとは異なり、X3に7シーター仕様の設定はない。
現行型でも中古車なら意外とお手頃
これだけの内容を備えていると、現行型ということもあり、G01型のX3はかなりお高いのではと想像するだろう。ところが、中古車なら意外とお手頃だという点も、訴求力を一層強める事実だ。
英国の場合、走行距離が長めになってしまうが、初期のディーゼルターボなら2万ポンド(約322万円)程度から探せる。2万6000ポンド(約418万円)前後まで予算を増やせば、平均的な走行距離のガソリンターボ版が射程に入ってくる。
ただし、高性能なM40iやM40dとなると、3万5000ポンド(約563万円)程は準備しなければ難しい。プラグイン・ハイブリッドの30eなら、更に価格帯は上昇する。
知っておくべきこと
燃費を求めるなら、大柄なSUVが故にディーゼルターボが有利になる。4気筒の20dの場合、WLTP値で16.1km/Lがうたわれる。6気筒の30dでも14.3km/Lと悪くない。ガソリンターボは、12.0km/L前後と考えて良いだろう。
プラグイン・ハイブリッドの30eはカタログ値で50.0km/Lとなっているが、定期的な充電が不可欠。現実的な条件で長距離を走る場合、この数字に届かせることは難しいかもしれない。駆動用バッテリーが満充電なら、電気だけで最長49kmを走行可能だ。
姉妹メディアによる信頼性の調査では、同クラスのSUVでガソリンターボのX3は32モデル中4位、ディーゼルターボも10位に入っている。優秀といえるが、購入時は過去の整備記録を確かめたい。
トリムグレードとスペック
SE:英国仕様のベースグレードだが、必要な装備はほぼすべて揃っている。ひとつ上のトリムグレード、xラインは主にデザイン的なアップグレードの要素が強い。
BMWだからMスポーツも魅力的ながら、サスペンションは硬め。快適な乗り心地を求めるなら、アダプティブダンパーが不可欠だろう。
購入時に気をつけたいポイント
ホイールとボディ
アルミホイールのガリ傷は、見た目の印象を損なう。特に大径なアイテムが組まれるMスポーツの場合は、丁寧に観察したい。
パーキングセンサーが標準装備ということで、駐車時に擦り傷を付けるようなケースは少ない。とはいえ大柄なSUVなだけに、ボディは隅々まで状態を確かめたいところ。
点検整備
一般的にBMWの点検整備費用はメルセデス・ベンツより安いが、プレミアム・ブランドの一般的な水準にはある。ある程度の維持費は見込んできたい。
英国仕様の場合、新車時にサービスパッケージを契約していれば、3年間か5万8000kmまでの定期メンテナンスが保証される。ディーラーやウェブサイトで確認してみると良いだろう。
英国編集部の推しチョイス
ベスト:20d
4気筒ディーゼルターボは滑らかにパワーを生み出し、太いトルクで扱いやすい。好燃費でお財布にも優しい。コストパフォーマンスに長けたチョイスといえる。
ワイルドカード:M40i
パワフルな3.0L直列6気筒ターボによって、0-100km/h加速4.8秒を実現している。ライトなMとして、メルセデスAMG GLC 43やアウディSQ5に並ぶ動力性能を備える。ただし、右足を丁寧に動かしても燃費は12.0km/L程度に留まる。
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