■シティーユースにも適したコンパクトクロスオーバーモデル
レクサスのなかでもっともコンパクトなクロスオーバーモデルがデビューしました。最大の重量級モデルは「LX」。それに続いて「RX」、そして「NX」。車格で言えばその下に位置するのが今回デビューした「UX」というわけです。
トヨタ クラウン史上最大の失敗作? 4代目クラウンは本当に駄作だったのか
僕が最初このクルマを目にしたのは、たしか海外の自動車ショーだったと思います。開発総責任者はトヨタ初の女性役員であるチーフエンジニア・加古慈さんです。
女性ならではの視点で開発されているのは確かですが、決して女性仕様ではなく、細部に心憎いばかりの配慮が行き届いているという意味で女性的だと思いました。
それは、ドアを開けて、シートに座った瞬間に感じるものです。座面は低く、足を投げ出すようなドライビングポジションが得られます。フロアとシートの段差が少ないのが特徴。
一般的なクロスオーバーカーは、トラックのシートに座っているかのように、ペダルを上から踏みつけるようなポジションになってしまいます。それを嫌って、自然な姿勢でドライブできるように設計されているのです。
小柄な方でも視界が開けるように、フロントウインドーの見切り線や、ボンネットの盛り上がりも計算されています。コンソールボックスのパットも、シートを前にずらしても適切な位置になるように細工されているのです。そう、まさに女性ならではの発想ですよね。
■スポーティセダンを操縦している感覚が得られる
走りも心地いいものでした。搭載するエンジンは、直列4気筒2リッターガソリンと直列4気筒2リッターハイブリッドです。ふたつのパワーユニットが選択可能で、ハイブリッドでは4輪駆動も選べます。
都会をクルーズした感覚でいえば、ハイブリッド仕様のレスポンスや低回転トルクが力強く感じました。発進停止を繰り返す市街地走行では、ハイブリッドに大きなメリットがあります。
一方のガソリンエンジンは、低回転域でのトルク特性に不足を感じます。なぜか通常のオートマチックトランミスミッションではなくCVTを合体されており、その点ではエンジン回転と車速がミスマッチするような場面がありました。ただそれも1速ギアを組み込むなどして細工をしているようです。
ハンドリングは軽快です。ボディ剛性を飛躍的に高めていることで、元気にカーブを曲がったとしてもグラグラと頼りなくヨレることがありません。前述したように、着座点が自然ですから、スポーティセダンを操縦しているような感覚も得られます。
ちょっと強引に加速するときに、それがカーブを曲がっている最中であると、フロントタイヤが逃げてしまうために旋回性が悪化します。興ざめすることはありますが、精神は都会を闊歩するアーバーンクルーザーですから、それには目を瞑ることにします。
それにしても、ボディはコンパクトなはずなのに、狭く窮屈な感覚がありません。そのあたりはチーフエンジニアの加古慈さんが得意とするインテリアマジックなのかもしれません。そう、加古さんは、素材関係を専門とする方なのです。その能力が遺憾なく発揮されているのでしょう。
カラーバリエーションは華やかですし、生活のオフもオンも両方を楽しめるクルマであることは事実です。UXのある生活は楽しそうです。ワクワクします。
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