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最後のFRモデルとなった日産を代表する大衆車とは? 「310型 サニー」を振り返る

掲載 更新 6
最後のFRモデルとなった日産を代表する大衆車とは? 「310型 サニー」を振り返る

■原点回帰で支持層を大きく広げた4代目「310型サニー」を振り返る

 日産は1966年4月に、「ブルーバード」に代わるエントリーモデルである初代(ダットサン)「サニー」を発売しました。

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 同年の11月には最大のライバルとなるトヨタ「カローラ」が発売されると販売合戦が繰り広げられ、両車は日本のモータリゼーションを一気に推し進めた存在となります。

 オイルショックによる省燃費車への関心が高まっていた1977年には、スタイリッシュなフォルムに注力した3代目からモデルチェンジされた4代目「310型 サニー」が登場。3代目カローラとともに新しい日本のベーシックカーを代表するクルマになりました。

 そこで、いまも多くのマニアに愛され続ける310型 サニーはどんなクルマだったのか、振り返ります。

※ ※ ※

 まずは、簡単にサニーの誕生から310型登場までを紐解きます。

 1966年4月に日産は初代サニーを発売しました。これはトヨタのエントリーカー「パブリカ」(後の「スターレット」)と「コロナ」の隙間を狙うもので、1リッタークラスでのシェア獲得を狙ったものでした。

 しかし同年の11月にはトヨタから初代カローラが登場。1.1リッターエンジンを搭載したカローラは、実用性だけでなく高級感もあり、トータルで高い顧客満足度を追求したことから販売的にはカローラが優勢となりました。

 その後、1970年1月にモデルチェンジした2代目サニーでは1.2リッターエンジンを搭載し、「隣のクルマが小さく見えます」のキャッチコピーでカローラに対してアドバンテージを築きます。

 同年の5月にカローラは2代目にモデルチェンジしてサニーを追撃。9月にはカローラに1.4リッターエンジン搭載車の追加し、翌年4月には高出力のツインキャブエンジンと5速MTが組み合わされた高性能グレードを投入するなど、幅広いニーズをカバーすることでサニーに対し大きな差をつけました。

 さらに1972年3月には1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載した「カローラレビン/スプリンタートレノ」が追加されると、サニーは同年8月にクロスレシオの5速MTを搭載した「1200GX5」を投入するなど、競争はますます激化。

 サニーは1973年に3代目が登場すると、北米市場を意識したモダンかつスタイリッシュなフォルムへと変貌。それに対抗してカローラが1974年にモデルチェンジされ3代目となり、幅広いボディとエンジンのバリエーションを展開したことから、サニーは大きく水をあけられてしまいます。

 そして1977年に、2代目のコンセプトに回帰した4代目310型 サニーが発売されました。

■今でも愛され続ける理由は310型サニーのベーシックさにあり

 310型 サニーは先々代の110型 サニーのような、シャープで直線基調のコンパクトボディとしたことで、人気が回復。

 ボディバリエーションは2ドア/4ドアセダン、3ドアハッチバッククーペ、2ドア/4ドアバンが用意され、4ドアセダンのボディサイズは全長3995mm×全幅1590mm×全高1370mmとなり、同時期の3代目カローラと大差ないものになりました。

 1979年にはステーションワゴンの「サニーカリフォルニア」を追加。当時のステーションワゴンは商用バンと共通のボディでしたが、サニーカリフォルニアはリアゲートを大きく傾斜させた専用のデザインとされた意欲作です。

 さらにアメリカのステーションワゴンのようなボディ側面に木目デカ―ルを採用するなど、クルマをレジャーで使うことを望んでいたユーザーから注目されました。

 4代目サニーには、初代サニー用に開発された直列4気筒OHV「A型」エンジンの改良型を搭載。1.2リッターと1.4リッターが用意され、1978年には環境と燃費を考慮したEGI(電子制御燃料噴射)の1.4リッター「A14E型」が上位グレードに設定され80馬力を発揮しました。

 さらに1980年には1.2リッターエンジンは1.3リッターへ、1.4リッターは92馬力を誇る1.5リッターへ排気量を拡大します。

 シンプルで整備性を考慮した構造のA型エンジンは、すでに古典的なOHVのターンフローであるにも関わらず、トルクフルで扱いやすく高回転まで軽快に回る特性が高く評価され、国内と海外を合わせ多くの販売実績を残しました。

 サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがコイルスプリングの4リンクリジットアクスルとなり、先代までのリア・リーフリジッドからは進化を果たします。

 ラインナップのなかでも3ドアハッチバッククーペはスタイリッシュなフォルムから、若者を中心に人気を獲得。このモデルをベースにしたマシンにより、モータースポーツの世界でもサニーは2代目以来の輝く存在となったことからも若者に訴求できたといえます。

 成熟したA型エンジンは、レースでは1万rpmを許容するほどハードにチューニングされるなど、高い耐久性を誇り、いまも名機として語り継がれる存在です。

 そして、1981年に5代目のB11型が登場。時代の流れからFF化され、エンジンも近代的なSOHCにスイッチしました。

※ ※ ※

 310型 サニーは世界的なコンパクトカーのFF化の流れや、旧態依然としたエンジンを搭載するなど、時代に取り残されたような感もありますが、実際にはコンパクトなFR車とOHVエンジンという技術の集大成といえるモデルではないでしょうか。

 令和となった現在でもオールドカーによるレースでは、「A型エンジンが載った最後のFR車」として310型 サニーは現役で活躍しているほどです。

 愛好家からは「310(サンイチマル)」と呼ばれ、高性能なFR大衆車として今も愛されています。

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みんなのコメント

6件
  • A型エンジンはサニトラに乗っていた頃に散々イジリ倒してました
    サニーに乗った事が無かった頃は正直バカにしていたし「スターレットの3Kや4Kと大して変わらないんだろ?」と思っていました
    実際スペックは似たようなものなので

    しかしエンジン特性は全然違うしイジッたらDOHC並みの高回転型に変貌する
    素人が組んでも8000回転は楽に回りましたし壊れないし音も良い
    日産の誇る名機だと思います
  • カリフォルニアは使い勝手良さそうだしカッコいい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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