2020年7月に発売された2代目アウディQ3と、そのクーペバージョンである新設定のQ3スポーツバックの国内試乗会が箱根で行われた。欧州では、Q3が2018年7月に、Q3スポーツバックは翌年7月に発表されていて、すでにハイパフォーマンスバージョンのRS Q3も登場しているので、ようやく日本上陸を果たしたという印象だ。
結果的にSUVとスポーツバックが同時に国内デビューとなったニューQ3&Q3スポーツバックだが、車両後部の形状が異なるだけではない。デザイン的にしっかりと差別化が図られている。
ガッツリSUVのQ3とクーペルックのQ3スポーツバック
●アウディQ3 35 TDI クワトロ Sライン
●アウディQ3 35 TDI クワトロ Sライン
SUVのQ3は、大開口のオクタゴン(八角形)グリルに垂直方向のメッキ格子(エントリーグレードはブラックの格子)が入り、リヤバンパーも2段構えの造形として、力強さを強調。
●アウディQ3 スポーツバック 35 Sライン
●アウディQ3 スポーツバック 35 Sライン
一方Q3スポーツバックは、オクタゴングリル内にブラックのハニカム形状を採用。リヤバンパーは下部を大型のディフューザー形状としている。サイドウインドーはより伸びやかな形状となり、後端をキックアップさせることで、よりスポーティなイメージに仕立てられている。
どちらもボディは丸みを帯びた造形だが、個性的なデザインのLEDヘッドライト下部や前後フェンダー上部、リヤ中段付近に、鋭利な刃物でサクッと削り取ったような、シャープなプレスラインや面表現がアクセントとなって、とてもアウディらしい、ハイテク感を感じさせるルックスとなっている。
パワートレーンは2Lディーゼル+4WDもしくは1.5Lガソリン+FFの組み合わせのみ
今回試したのは、Q3が最高出力150ps/3500~4000rpm、最大トルク340Nm/1750~3000rpmの2L直4直噴ディーゼルターボを搭載した35 TDIクワトロSライン。
そしてQ3スポーツバックは、最高出力150ps/5000~6000rpm、最大トルク250Nm/1500~3500rpmの気筒休止機構付き1.5L直4直噴ガソリンターボを積む35 TFSI Sラインだ。
トランスミッションはどちらもデュアルクラッチ方式の7速Sトロニックが組み合わされている。ちなみにニューQ3/Q3スポーツバックは、現時点ではガソリン車はFFのみ、ディーゼル車は4WDのみの設定となっている。
先代よりサイズアップし、スポーツバックを追加
ボディサイズを見てみると、Q3は全長4495mm、全幅1840mm、全高1610mmと先代からひとまわり大きくなっている。Q3スポーツバックは、全長4520mm、全幅1840mm、全高1565mmで、Q3スポーツバックの方が25mm長く、45mm背が低い。ホイールベースはどちらも2680mmで、先代から75mm伸びている。なお車両重量は、パワートレーンが同じならQ3スポーツバックが10kg重いだけだ。
居住性や積載性は良好
サイズ拡大の恩恵は、後席のニースペースで確認できる。身長175cmの筆者がドライビングポジションを取った状態で後席に座っても、ヒザの前には拳が縦に1個半ほど入る広さを確保する。またリヤシートは130mmの前後スライド機構を備え、バックレストは7段階のリクライニングが可能だ。Q3スポーツバックはルーフが絞り込まれているので、ヘッドクリアランスにそれほど余裕はないが、身長180cmくらいまでなら問題なく着座できるだろう。
●Q3の後席
●Q3スポーツバックの後席
荷室容量はどちらも通常時で530Lを確保。後席シートバックは4:2:4の3分割可倒式(シートクッションは6:4分割でスライド機構が付く)で、使い勝手はかなりよさそうだ。
●Q3の荷室。後席シートバックは4:2:4分割機構を持つ。容量は530Lを確保
●Q3スポーツバックの荷室。リヤハッチの傾斜はきついが荷室容量はQ3と同じ530L
モダンで先進的なコックピット
●Q3のインパネ。基本造形はスポーツバックも同じだ
インパネまわりも大きく進化している。上下2段構造のインパネは、ドライバー中心のデザインで、オクタゴングリルをモチーフにしたメタルのフレームがドライバー側に向いた造形が特徴。そこにMMIナビゲーションの10.1インチ高解像度タッチディスプレイが備わり、ドライバー正面には10.25インチの液晶メーターパネルであるバーチャルコックピットが備わる。全体的にとてもモダンで先進的な雰囲気に仕立てられており、上質感も先代からグッと向上している。
●MMIナビゲーションの10.1インチ高解像度タッチディスプレイ
●メーター部は10.25インチ液晶を採用したバーチャルコックピット
力強さと安定感のあるディーゼル+4WD
●Q3 35 TDI クワトロ Sライン
さて、走りの方はというと、まずは2Lディーゼルターボを搭載し、駆動方式が4WDのQ3を試すと、ディーゼルならではの力強い加速とスタビリティの高さが際立つ、とてもSUVらしい振る舞いが印象的だ。車内のエンジンノイズは上手く抑えられていて、乗り心地もフラット感が高く、快適性は申し分ない。ハンドリングはややアンダーステア傾向だが、箱根のワインディングロードでもリズムよく走れた。
軽快感を好む向きにはガソリン+FFがお薦め
●Q3スポーツバック 35 TFSI Sライン
次に1.5Lガソリンターボを搭載するQ3スポーツバックを試す。ガソリンエンジンと前輪駆動の組み合わせで車両重量が1530kgと、ディーゼル+4WDのQ3より170kgも軽いだけあり、俊敏なハンドリングが際立つ。加速力はディーゼルほどではないが、1.5Lガソリンターボでも動力性能的には必要十分以上で、伸びやかな加速と軽快な身のこなしがとても好印象だった。4WDが特に必要でなければ、1.5Lガソリンターボで十分満足できるだろう。
新世代プラットフォームも登場したが、高いポテンシャルを発揮
先代Q3は2011年秋の登場だったため、VWグループのエンジン横置きモジュラータイプのFFプラットフォームであるMQBを“完全には”採用していなかった(MQBの本格採用は2012年登場のアウディA3から)。だがニューQ3/Q3スポーツバックは、VWゴルフ8や新型A3(どちらも日本未導入)に採用する最新世代のプラットフォーム、MQB Evoではないものの、最新世代に近い改良版のMQBをベースに開発されている。それだけに走りのポテンシャルは大きく向上している。
加えて、先進運転支援システムやコネクティビティなども格段に進化した。日本仕様は標準装備の内容も充実しているだけに、価格的にもとてもリーズナブルと言っていいだろう。
ガソリンかディーゼルか、はたまたSUVかスポーツバックか、とても悩ましいところだが、輸入コンパクトSUVを狙っているなら、ニューQ3/Q3スポーツバックは、間違いなく検討に値する。
[Q3 35 TDI クワトロ Sライン(4WD・7速DCT)主要諸元]【寸法・重量】
全長:4495mm
全幅:1840mm
全高:1610mm
ホイールベース:2680mm
トレッド:前1580mm/後1585mm
最低地上高:185mm
車両重量:1700kg
【エンジン・性能】
型式:DFG
種類:直4DOHCディーゼルターボ
ボア×ストローク:81.0mm×95.5mm
総排気量:1968cc
最高出力:110kW(150ps)/3500~4000rpm
最大トルク:340Nm(34.7kgm)/1750~3000rpm
使用燃料・タンク容量:軽油・63L
WLTCモード燃費:15.4km/L
最小回転半径:5.4m
乗車定員:5人
【諸装置】
サスペンション:前ストラット/後ウイッシュボーン
ブレーキ:前Vディスク/後ディスク
タイヤ:前後235/55R18
【メーカー希望小売価格】
543万円
[Q3スポーツバック 35 TFSI Sライン(FF・7速DCT)主要諸元]【寸法・重量】
全長:4520mm
全幅:1840mm
全高:1565mm
ホイールベース:2680mm
トレッド:前1580mm/後1585mm
最低地上高:185mm
車両重量:1530kg
【エンジン・性能】
型式:DPC
種類:直4DOHCターボ
ボア×ストローク:74.5mm×85.9mm
総排気量:1497cc
最高出力:110kW(150ps)/5000~6000rpm
最大トルク:250Nm(25.5kgm)/1500~3500rpm
使用燃料・タンク容量:プレミアム・60L
WLTCモード燃費:14.3km/L
最小回転半径:5.4m
乗車定員:5人
【諸装置】
サスペンション:前ストラット/後ウイッシュボーン
ブレーキ:前Vディスク/後ディスク
タイヤ:前後235/50R19
【メーカー希望小売価格】
516万円
〈文=竹花寿実 写真=岡 拓〉
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みんなのコメント
クワトロのTDIに試乗させてもらいました。およそ予算100万アップのようでしたが、Q3の旧型とは別物の普通にアウディらしい仕上がりでなかなか良い感じでした。
Q2とはクラスが違う感じな割には予算100万くらいしか変わらないし、日本で使うにはベストな一台ですね。
群雄割拠で競争著しいSUVカテゴリーでの2年遅れ、あまりに時代遅れ。
そもそも日本価格が相当割高なだけに、この価格出すなら国内外他モデルいろいろありますな〜。
どうせ2年遅れを加味すれば、2クラス上の高年式極上中古車だって良いわけで。。
個人的には、ワーゲンっぽい、しかもポロあたりを彷彿とさせる内装に萎えますね。