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現役引退間近 技術よりも「情」なパフォーマンスモデル一気乗り(後編)

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現役引退間近 技術よりも「情」なパフォーマンスモデル一気乗り(後編)

もくじ

前編
ー それはまるで儚い夢のように
ー すべてが「笑い」 技術を凌駕
ー V8ヴァンテージ 男気と色気

現役引退間近 技術よりも「情」なパフォーマンスモデル一気乗り(前編)

後編
ー コンチネンタルGTにも「ありがとう」
ー フィエスタST200を忘れてはならない
ー メガーヌ含め「形あるものはいずれ土に」

コンチネンタルGTにも「ありがとう」

ベントレー・コンチネンタルGTは、ヴァンテージと同じV型8気筒エンジンを搭載した英国のスポーツクーペではあるが、性格は全く異なる。

710psを発生させるスーパースポーツもモデルチェンジとなるのだが、控えめなGT V8 Sの方が名残惜しい。発表から14年が経ったが、ようやくコンチネンタルGTは変化を迎える。

来年、ポルシェ・パナメーラとプラットフォームを共有する形で、様々な新技術が盛り込まれるだろう。以前に開発段階のテスト車両での印象を振り返ると、大きな進化を遂げている。

優れた次期モデルを知ってはいても、現行モデルも魅力的に感じてしまう。レザーにステッチが施され、ハンド・クラフトで仕上げられた豪華なキャビンだが、反面、メータークラスターやダッシュボードなどに量産されたプラスチックが目につく。

しかし、何時間いても心地いい場所に変わりはない。ベントレーは、他の車なら揺さぶられて落ち着かないような郊外の路面でも、滑らかに走ることができる唯一のクルマだ。

W12エンジンモデルよりV8エンジンモデルの方が楽しい理由は、ノーズ・ヘビーによる不釣り合いさがなく、機敏でバランスが取れている点にある。

しかもGT V8 Sの最高出力は528psもあるので、公道でも十二分に速い。よほどせっかちなひとでもない限り、更に4気筒追加する必要はないだろう。

ただ今回の5台では一番古株ということもあり、気になる点も少なくない。曖昧なハンドリングと賢くない4輪駆動システム、着座位置の高さなどは不満だが、新型ではすべて改善されるはずだ。

フィエスタST200を忘れてはならない

一方で今回のテスト車両の中では一番安価なフォード・フィエスタST200は、恐らく最も不満の少ないクルマだろう。

乗り心地はどの速度域においても非常に固く、シートポジションは高すぎる。インフォテイメンントシステムの操作も、かなりの距離をともにしたが、いまいち良くわからない。

しかし、これらはすべて走りで相殺される。

そのドライビングは非常に特徴的なもの。ペダルやシフトノブ、ステアリングの正確性から、レカロシートの素晴らしいサポートまで、操作の手応えと挙動が完全に一致するのだ。

ステアリング操作に間髪を入れずフロントタイヤが反応し、違和感のないロール角でコーナーを抜けていく。価格が10倍ほどするようなスポーツカーと比べても、その仕上がりは群を抜いている。

若手のエンジニアたちはフィエスタST200に1週間ほど乗って、クルマのドライビングや挙動に関して学ぶ機会があっても良いと思うほど。

リリースされて未だ4年ほどのフィエスタST200だが、ドライビングの楽しさを味わってしまうと寂しさも一際だ。ここまで改善の余地がないほど完璧だと、新型モデルの開発はかなり難しいものになりそうだが、どのような進化を遂げるのかわたしにもわからない。

フィエスタST200と同様にルノー・スポール・メガーヌは、優れた動力性能に関して、比較的手頃な価格やシンプルなシャシー構成でも十分に提供可能だということを証明している。

メガーヌ275カップSも有終の美を飾るモデルとなる。

メガーヌ含め「形あるものはいずれ土に」

現行型メガーヌは2010年に発売が開始されたが、7年後の今、同じくFFでほぼ同価格となる素晴らしいドライビングが可能なホットハッチが現れた。

しかしその最新のホンダ・シビック・タイプRを持ってしても、メガーヌには及ばないのだ。

カップSの名称にはそれなりの理由があるのだが、ポルシェのGTを連想するのはわたしだけではないだろう。乗り心地は固くシートはリクライニングできないので長距離旅行には向かないが、ワインディングに入った途端どれだけ素晴らしクルマなのか気づく。

装着するブリジストン製のタイヤは超高性能タイヤではないが、メガーヌとの相性は良くセミ・スリック・タイヤのように感じる。

強力なグリップにくわえ、非常に運動性能に長けた自然なバランスに仕上がっており、クルマの中心を軸に軽快に向きを変えていく。

コーナーを抜ける際、外側のリアタイアがクルマを持ち上げている感覚があり、フロントに荷重を掛けながらラインを確実にトレースする。

また走行モードをRSに切り替えると、アクラポヴィッチ製のマフラーはまるでラリーカーのミスファイアの様な弾けた快音を周囲に響かせてくれた。

そして終わりの時が来た。形あるものはいずれ土に帰るものだ。

しかしクルマたちは今、大地の上に存在している。このクルマたちが永く生き続けられるよう、希望を込めて。

素晴らしい走りをありがとう。

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