現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 高速代が安くなるのに…「ETC 2.0」なぜ普及せず? 「普通のETC」より“良いこと”たくさん! それでもメリットを感じない人が多い意外な理由とは?

ここから本文です

高速代が安くなるのに…「ETC 2.0」なぜ普及せず? 「普通のETC」より“良いこと”たくさん! それでもメリットを感じない人が多い意外な理由とは?

掲載 更新 86
高速代が安くなるのに…「ETC 2.0」なぜ普及せず? 「普通のETC」より“良いこと”たくさん! それでもメリットを感じない人が多い意外な理由とは?

■「ETC 2.0」って何がイイ?

 高速道路の料金所を通過できるシステムとして2001年から「ETC」が導入され、近年では通行するクルマの9割以上が同システムを利用しています。
 
 車載機にETCカードを挿入して、ETCゲートを通過するだけで通行料金が支払えるETCは便利なものですが、次世代バージョンとして「ETC 2.0」も運用が開始されています。

【画像】「えぇぇ…!」これが「2030年に使えなくなる」ETC車載器の見分け方です!

 国土交通省が発表する「ETC利用状況」によると、2023年12月時点でETC普及台数が812万台なのに対し、ETC 2.0の利用台数は281万台。ETC 2.0は広く普及しているとはいえない状況です。

 ETC 2.0の利用者はまだ少ないようですが、なぜ導入が進まないのでしょうか。

 従来のETCとETC 2.0の違いは、ETC 2.0で通行料金が支払える機能に加えて、車両と道路の双方向通信による多彩な運転支援が可能なところにあります。

 ETC 2.0はクルマの位置情報や経路情報を収集し、急ブレーキを踏んだ箇所や走行速度などの情報から危険な箇所を抽出。収集したデータは「車両運行管理支援サービス」として企業向けに情報提供され、効率的に交通安全への対策を立てることができます。

 物流業界では運送車両にETC 2.0を導入することでこの機能を活用。道路状況の把握や車両の到着予定時間の算出に利用するなど、業務の効率化に役立てています。

 また災害時には、被災地の走行実績をもとに通行できる道路を割り出すことできるので、避難経路の選定や救援活動といったことにも活用されています。

 さまざまな機能を持たせたETC 2.0ですが、普及しない理由のひとつとして、一般ドライバーが恩恵を感じる場面が少ないということがあるでしょう。

 前述のように、高速道路を頻繁に利用する物流業界や運送業界の人にとって、道路情報を把握できる機能は便利なものですが、一方で、休日のレジャーや外出などでしか高速道路を利用しない人は「普通のETCで十分」と考えるでしょう。

 ETC 2.0には一般ドライバー向けのメリットも存在しており、圏央道(新湘南バイパスを含む)や東海環状道の特定区間では、従来のETCよりも割引率が高くなり、その区間を通行する機会が多い人は通行料金が安く済みます。

 また、位置情報による運転支援機能では、合流地点や急カーブ、事故多発エリアなどを通知してくれるので、安全に運転することが可能になります。

 さらに、リアルタイムで交通情報を把握することもでき、ETC 2.0と連動するカーナビを設置していれば、渋滞情報をもとに迂回ルートを検討するといったことも簡単におこなえます。

 ほかにも、高速道路を一度降りることも可能。インターチェンジ付近の「道の駅」に立ちることができ、降りてから2時間以内に同じインターチェンジから入れば、降りずに走行したのと同じ通行料金が精算されます。

 このように、一般ドライバー向けのメリットもあるのですが、もちろんデメリットがあります。

 まず、ETC 2.0を利用するには専用の車載器が必要となります。

 すでにETC車載器がクルマに設置されている場合は交換することになりますし、新車購入時にETC 2.0対応の車載器を導入するにしても、高度な機能が盛り込まれている分、通常のETC車載器よりも価格が高く設定されているのです。

 目安として、通常のETCが1万円~1万5000円に対し、ETC 2.0は2万円~5万円。取付工賃が別途発生する場合もあり、割高感が否めません。

 導入にかかるプラスの費用は通行料金の割引分で相殺できるかもしれませんが、割引を受けられるのは、現時点で圏央道(新湘南バイパスを含む)と東海環状道の特定区間のみとなっており、エリア外の利用者にはメリットとなり得ないというわけです。

 道路情報の提供については、現在はスマートフォンが普及しており、ETC 2.0がなくてもさまざまな情報を手軽に調べることが可能です。

 ETC 2.0が持つ高度な機能は魅力的ではあるものの、メリットが限定的となっているため、なかなか普及が進まないという現状があります。

 割引区間を増やしたり、専用の車載器の価格を下げるなど、より多くの人がメリットを受けられる施策が必要かもしれません。

文:くるまのニュース くるまのニュース編集部

関連タグ

【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

77周年を記念し、新旧ロータスがサーキットでお祝い
77周年を記念し、新旧ロータスがサーキットでお祝い
レスポンス
レッドバロン、外為法違反で警告 ロシアにバイク輸出 経産相の承認受けず
レッドバロン、外為法違反で警告 ロシアにバイク輸出 経産相の承認受けず
日刊自動車新聞
新型「“6速MT”コンパクトカー」公開に反響殺到! “軽”並みのサイズに「小さいエンジン&MTはイイ」の声も! “観音開き”ドアもあるフィアット「500ハイブリッド」伊国で登場が話題に
新型「“6速MT”コンパクトカー」公開に反響殺到! “軽”並みのサイズに「小さいエンジン&MTはイイ」の声も! “観音開き”ドアもあるフィアット「500ハイブリッド」伊国で登場が話題に
くるまのニュース
スーパーフォーミュラ・ライツ鈴鹿合同テストの初日はTOM’Sから参加の卜部和久がトップタイム
スーパーフォーミュラ・ライツ鈴鹿合同テストの初日はTOM’Sから参加の卜部和久がトップタイム
AUTOSPORT web
ミスヒットしても飛距離をキープできる秘密は? “スイングの常識”を塗り替えるPXGの新メタルウッド「ライトニング」シリーズは何がスゴい?
ミスヒットしても飛距離をキープできる秘密は? “スイングの常識”を塗り替えるPXGの新メタルウッド「ライトニング」シリーズは何がスゴい?
VAGUE
午後の眠気の正体とは? 昼食後の睡魔を追い払うコツを専門家に訊く
午後の眠気の正体とは? 昼食後の睡魔を追い払うコツを専門家に訊く
GQ JAPAN
ラジアル=表面パターンではなく、一番下の層を指すって知ってた!? バイクのタイヤの種類「ラジアルタイヤ」とは?
ラジアル=表面パターンではなく、一番下の層を指すって知ってた!? バイクのタイヤの種類「ラジアルタイヤ」とは?
バイクのニュース
一目惚れ注意! 今見ても異端で目を惹く“特別なドゥカティ”がオークションで落札 銀と赤のボディが魅力的な2002年式「MH900e」の現在の価値とは
一目惚れ注意! 今見ても異端で目を惹く“特別なドゥカティ”がオークションで落札 銀と赤のボディが魅力的な2002年式「MH900e」の現在の価値とは
VAGUE
トヨタ斬新「ちいさなクラウン!?」 全長4.2mボディに「豪華内装」採用! 「大排気量V6」エンジン搭載&専用装備もり沢山! 高級感マシマシな爆速ハッチバック「ブレイドマスター」って?
トヨタ斬新「ちいさなクラウン!?」 全長4.2mボディに「豪華内装」採用! 「大排気量V6」エンジン搭載&専用装備もり沢山! 高級感マシマシな爆速ハッチバック「ブレイドマスター」って?
くるまのニュース
三菱『トライトン』を手軽にUSスタイルに変身! IPFが専用「LEDグリルマーカー」発売
三菱『トライトン』を手軽にUSスタイルに変身! IPFが専用「LEDグリルマーカー」発売
レスポンス
5000個限定! TOYOTA AE86「頭文字D」キーチェーンがついに一般販売開始
5000個限定! TOYOTA AE86「頭文字D」キーチェーンがついに一般販売開始
ベストカーWeb
まるでカートのような原付3輪!? ホンダ「ロードフォックス」の悦楽的スイング機構とは!!
まるでカートのような原付3輪!? ホンダ「ロードフォックス」の悦楽的スイング機構とは!!
バイクのニュース
“静粛性×走り×環境”を追求 ブリヂストンからSUV向けプレミアムタイヤ「ALENZA LX200」が2026年2月登場
“静粛性×走り×環境”を追求 ブリヂストンからSUV向けプレミアムタイヤ「ALENZA LX200」が2026年2月登場
くるまのニュース
“新年らしくておめでたい!” シチズンのブランド横断コレクション「KIZASHI」は漆黒のダイヤルにゴールド煌めく限定モデル
“新年らしくておめでたい!” シチズンのブランド横断コレクション「KIZASHI」は漆黒のダイヤルにゴールド煌めく限定モデル
VAGUE
京商とMOONEYES、1970年代風フルサイズバンのR/Cカー共同開発…「マッドバン」2026年2月発売へ
京商とMOONEYES、1970年代風フルサイズバンのR/Cカー共同開発…「マッドバン」2026年2月発売へ
レスポンス
ヒョンデ、オートバックス28店舗に試乗車配備…ダイレクト販売とリアル店舗を融合
ヒョンデ、オートバックス28店舗に試乗車配備…ダイレクト販売とリアル店舗を融合
レスポンス
“非日常の世界”へと後押しする“全部載せ”アドベンチャーバイク! パニアケースも標準装備!! トライアンフ「タイガースポーツ800ツアー」の魅力とは
“非日常の世界”へと後押しする“全部載せ”アドベンチャーバイク! パニアケースも標準装備!! トライアンフ「タイガースポーツ800ツアー」の魅力とは
VAGUE
日産が新型「エクストレイル」公開!? 独自の“静音”248馬力「パワトレ」×全長4.7m級「3列・7人乗り」の「ちょうどイイサイズ」! 新たな「Vモーショングリル」もカッコいい米国向け「PHEV」モデル「日本導入」にも期待大
日産が新型「エクストレイル」公開!? 独自の“静音”248馬力「パワトレ」×全長4.7m級「3列・7人乗り」の「ちょうどイイサイズ」! 新たな「Vモーショングリル」もカッコいい米国向け「PHEV」モデル「日本導入」にも期待大
くるまのニュース

みんなのコメント

86件
  • zug********
    メリットが感じられない、と云うか
    無いんですよ。
    わざわざ高額なものを取り付けてもメリットが無いんじゃ
    そりゃ普及しませんよ。
    つまり、国が放置した結果ですよ。
  • kaw********
    お友だち企業への忖度に付き合う気はありません、
    そもそも、買い替えではなく、無償のアップデートで対応できるように当初からすべきと言うことだと思う。

    コストよりメリットが大きい利用者は格段に少なく、メリットよりコストが上回る方がほとんどだと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村