■陳腐化していない優れたデザインのクルマとは
デザインに正解はないといわれますが、優れたデザインというのは、長く使われても色褪せない魅力を保っていることではないでしょうか。
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クルマの場合は、デザインされた時代の流行などを取り入れているケースがありますが、時間が経つと陳腐化してしまうことになりかねません。
一方で、どんなに時間が経っても美しさが衰えないようなクルマも存在します。そこで、現在でも通用するような優れたデザインの絶版車を5車種ピックアップして紹介します。
●日産「フェアレディZ」
日産は1980年代に『1990年までに走りにおいて世界一を狙う』というスローガンを掲げ、これを「901活動」と名付け、プロジェクトをスタートさせました。
そして901活動の実現に向け、北米市場を担当したのが4代目「フェアレディZ」です。
4代目フェアレディZは1989年に発売され、それまでのロングノーズ・ショートデッキという古典的スポーツカーのフォルムを捨て、ワイド&ローな新世代のスポーツカーといえる姿へ変貌しました。
ボディは2シーターと4シーターの2タイプで、どちらも巧みにデザインされており、一見すると区別できないほど自然なフォルムです。
また、内装も洗練され、ドライバーを包み込むようにラウンドしたインパネまわりは、上質なスポーツカーにふさわしいデザインとなっています。
エンジンは自然吸気とツインターボの2種類の3リッターV型6気筒エンジンを設定。ツインターボの「VG30DETT型」は最高出力280馬力を誇り、これが国内自動車メーカーの出力自主規制上限値となりました。
4代目フェアレディZは2000年まで生産され、ここで一旦フェアレディZの系譜が途絶えていまいますが、2002年に復活を遂げました。
●スバル「アルシオーネSVX」
スバル「アルシオーネ」は1985年に発売された2ドアクーペで、極限まで空力を重視したクサビ型のフォルムや、未来的な内装のデザインは、それまでのスバル車とは異質な存在でした。
そして1991年に、2代目として「アルシオーネSVX」を発売。デザインは先代の直線基調から一転して曲線を多用した流麗なクーペとなりました。
オリジナルのデザインはイタリアの工業デザイナー、巨匠ジウジアーロの手によるもので、それをベースにスバルのデザイナーによって完成されています。
特徴的な「ミッドフレームサイドウインドウ」は他に類を見ないデザインで、アルシオーネSVXの美しさを表現する重要なアイテムです。
しかし、デザインが優先されたため、サイドウインドウの開口部は必要最低限の面積しかありませんでした。
発売直後にバブル崩壊、というタイミングの悪さと、スバルブランドの高級クーペというポジションを確立できていなかったため、販売は低迷。
1997年に生産が終了されましたが、20年以上経ったいまもファンが存在し、アルシオーネSVXを専門に扱う中古車店があるほどです。
●日産「ラシーン」
日産は1994年に、コンセプトカーから誕生したコンパクトSUV「ラシーン」を発売しました。全高を抑えたボクシーなボディは、ほぼコンセプトカーのままで、好評を博します。
上下に開くバックドアに、背面スペアタイヤ用キャリアを装備(グレード別で設定)するなど、本格的なクロスカントリー4WD車をイメージさせますが、実際はSUVの雰囲気を手軽に楽しむというコンセプトでした。
デビュー時は1.5リッター直列4気筒エンジンのみでしたが、後に1.8リッター、2リッターエンジンを搭載するなど、バリエーションを拡充します。
ラシーンは特徴的なデザインのクロスオーバーSUVという、時代を先取りした斬新なモデルでしたが、当時は大ヒットには至らず、2000年に生産を終了。
近年、SUV人気が高くなったことで再評価され、内外装のドレスアップや中古車を販売するラシーン専門店もあります。
■美しすぎるクーペモデル2車種とは!?
●プジョー「406クーペ」
プジョー「406」というと映画「TAXi」に登場したセダンが知られていますが、美しさに定評があるクーペも存在しました。
1997年に発売された「406クーペ」は、セダンをベースとしていますが外観は完全に別モノで、特徴的なフロントマスクはセダンと共通のイメージを残しつつも、よりシャープでスピード感ある印象となっています。
デザインはフェラーリなど多くのスポーツカーやスーパーカーを手がけていたカロッツェリア・ピニンファリーナが担当し、製造も同社でおこなわれました。
また、全体のフォルムではフロントからルーフ、リアまで流れるようなラインが406クーペの美を醸し出しています。
なお、日本でも1998年から2005年まで正規輸入されていましたので、いまも中古車市場で流通しています。
●ポルシェ「928」
ポルシェを代表するモデルといえば「911」ですが、長い歴史のなかで消滅の危機がありました。そして、911の後継車として最有力だったのが1978年にデビューした「928」です。
928は水冷V型8気筒エンジンをフロントに搭載し、リアにトランスミッションを配置するトランスアクスルを採用したFRです。
ボディは当時の911よりも遥かに大きく、曲面を多用した美しいデザインの3ドアハッチバックで、ピュアスポーツカーというよりもグランツーリスモ(GT)にカテゴライズされていました。
特徴的だったのがフロントフェイスで、ポップアップ式のヘッドライトによって非点灯時はフラットなノーズとなり、点灯時は911をイメージさせるノーズになります。
流麗なフォルムは生産終了まで大きく変わりませんでしたが、バンパーやテールランプ、ドアミラーなどパーツ単位でのデザインのアップデートがおこなわれており、最後まで美しい印象を保っていました。
車格的には911の上に位置するポルシェのフラッグシップでしたが、当初の目的だった911の後継車としてはユーザーに受け入れられず、1995年に17年もの長い歴史に幕を閉じます。
※ ※ ※
クルマのデザインは販売台数を左右する重要な要素のひとつですから、各メーカーのデザイナーは重責を担っているといえるでしょう。
新型車のデザインはいくつかの案から選ばれ、実際のクルマと同じ1/1スケールの模型をつくっては手直しを繰り返し、最終決定されます。
そうしたプロセスを踏んで誕生した新型車でも、すべてがユーザーに受け入れられるわけではありません。なかには失敗作という烙印が押されてしまうこともあるので、後世に残るようなデザインは夢のような存在かもしれません。
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みんなのコメント
と思われる。
中でもSVXは自分も好きなデザインだが、エクステリアという限定付き、インテリアは
なんかチグハグで…H6エンジンは良かったが他の部分はメカ完成度が低くトラブル続発
スバルには高級クーペのジャンル、敷居が高かったな