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最近排気量の大きいエンジンでも3気筒が増えている理由とは?

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最近排気量の大きいエンジンでも3気筒が増えている理由とは?

 BMWでは1.5リッターまで3気筒化

 かつては4気筒が乗用車のエンジンの常識でした。たとえば1999年に登場した初代ヴィッツは1リッターのみの設定でしたが、新開発した4気筒エンジンが搭載されていました。3気筒エンジンといえば、軽自動車の専売特許のような雰囲気だったのです。660ccという小さな排気量となると、4気筒では1気筒当たりの排気量が小さくなり過ぎて、デメリットばかりが大きくなってしまったんですね。

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 しかし最近は3気筒が勢力を拡大してきています。1リッターはもちろん、1.2リッターくらいまでは3気筒が常識です。BMWは1.5リッターも3気筒化しています。エンジン内部の抵抗(フリクション)を小さくするためには、気筒数を少なくするのがもっとも手っ取り早い方法です。さらに、パーツ点数が少なくなるので、エンジンの重量も軽くなります。燃費にとっては有利な方向ですね。

 トレンドになっているエンジンの小排気量化=ダウンサイジングですが、それにはターボによる過給が前提ですが、同時に気筒数の削減がなければ効果は大きくありません。3.5リッター6気筒を2リッター4気筒ターボへ、2リッター4気筒を1.2リッター3気筒ターボへ、1.5リッター4気筒を1リッター3気筒ターボへ。気筒数が少なくなっているから、効率がより高くなるわけです。

 問題視されることの多い回転振動はエンジンマウントで解決

 もちろん3気筒のデメリットはあります。これまで3気筒エンジンがレアモノだったのは、理由があったのです。その最大のものは振動です。4気筒のバランスの良さは、3気筒には期待できません。エンジン1回転で2回燃焼がある4気筒と、1.5回燃焼する3気筒では、振動に差があって当然です。それは排気量が大きくなるほど顕著になるので、3気筒は軽自動車用の660ccに留まっていたのです。

 また気筒数が少ないということは、トルクバンドが狭くなってしまいます。高回転も低回転も、トルクが出しにくいんですね。その影響もあって、アイドリング回転数も高く設定されます。これにはアイドリング振動を低減する目的もありますが、逆にエンジンノイズは大きくなります。そしてアイドリング時の燃料消費量も多くなります。ただ最近はアイドリングストップ機構が常識になっているので、あまり問題にならない部分です。

 エンジンの振動については、走行中も4気筒とは差があります。加速し始めた時にエンジンの回転が上昇しようとするタイミングで、大きな振動を感じやすくなります。しかし現在は多くの対策が施されていて、3気筒であることにまったく気が付かないことでしょう。

 その方法はエンジンマウントであり、直噴による高精度なエンジン制御です。エンジンマウントはディーゼル用ともいえるペンデュラム方式を使うことで、振動の伝わりを大幅に低減することができます。また直噴システムによって過大なトルクを一気に出さず、それでいてしっかりと加速させる、という制御が可能になっています。これによってエンジンの振動そのものを抑えることができます。

 3気筒特有の軽薄なエンジン音も改善された

 デメリットにはエンジン音もありますね。軽い感じの音になるので、どうしても音としての質感を低く感じてしまいます。このあたりについても、最近のクルマではエンジン音が抑えられています。エンジン音の多くは、じつはエキゾーストマニホールドから出ます。しかしダウンサイジングターボの場合、エンジンの近い場所にターボが配置されるので、エキゾーストマニホールドの長さがかなり短く、場合によってはゼロというエンジンもあります。そうなるとエンジン音が出にくいんですね。 

 3気筒エンジンのひとつのメリットは、エキゾーストマニホールドが不要なことです。エキゾーストマニホールドは各気筒間の排気干渉を避けるために存在しますが、燃焼の間隔が広い3気筒では排気干渉が起きないので、潔く最短距離で1本へまとめることが可能なのです。その究極の姿は「エキゾーストマニホールド内蔵エンジンヘッド」です。エンジンヘッドの中で排気ポートをそのまま1つにまとめて、1本のエキゾーストパイプとして出すことができるのです。

 じつはエキゾーストマニホールドは、現代のエンジンでは無用の長物です。排出ガス規制があり、エンジン始動後15秒以内に触媒コンバーターを十分な温度まで加熱しなければなりません。そのためにはできるだけエンジンからの距離を短くして、排気ガスの温度が高い場所に触媒コンバーターを配置したいのです。距離が長くなるほど、燃料が多く残った排気ガスを作って触媒コンバーターへ送り込むことになり、燃費が悪化してしまうんですね。

 もちろんターボラグ、ターボの効率を考えても、排気ガスの温度や圧力が高いほうが都合がいいので、ターボユニットもエンジンの近くがいいのです。つまりエキゾーストマニホールドは邪魔な存在なんですね。

 もはや、ごく一部にしか残っていませんが、少なくとも8000rpmくらいは回る高回転型NAエンジン以外、エキゾーストマニホールドは無用な存在なんです。

 1リッターから1.6リッターくらいまでの、これまでは4気筒が担ってきた排気量は、現代の技術を使った3気筒へと転換していくことでしょう。なにしろデメリットはほとんどが解消されたといっていいのです。世界的に見ても最も多く生産されているカテゴリーであり、つまり乗用車の主役は3気筒へと交代することになるでしょう。

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