燃費向上や環境負荷を減らすために空気抵抗を抑える狙いがある
SUVの人気に押され、4ドアセダンが売れないという話をよく耳にする。その4ドアセダンも、近年はクーペのような輪郭がはやり、昔ながらの3ボックスのセダンを感じにくくなっている。スポーティで格好いいということなのだろうが、セダンはセダンらしくあったほうがいいと思う人もあるだろう。
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また人気のSUVも、米国のジープ、ドイツのメルセデス・ベンツGクラス、あるいは英国のランドローバー・ディフェンダー、そしてスズキ・ジムニーなど、悪路走破性を重視する一部のクロスカントリー系と呼ばれる4輪駆動車は別として、クーペのような姿のSUVが増えている。
最大の理由は、空気抵抗を減らすことにあるのではないか。それは、燃費の向上につながり、環境負荷を減らすために求められることでもある。
空気抵抗は、時速100km前後から急に抵抗が大きくなって、燃費への影響が大きくなる。したがって、燃費だけを考えれば、高速道路でも時速80km前後で巡行すると、想像以上に燃費性能が伸びるはずだ。
国内の制限速度は時速100~120km(一部の高速道路)であり、欧州では時速130kmで、ドイツのアウトバーンでは速度無制限区間もある。20世紀に大きく発展したクルマの性能は、より速く、より遠くへ、を目指してきたので、速く走ることが偉かった。しかし地球温暖化による気候変動により自然災害が甚大化することから、燃費を大幅に改善したり、排出ガスゼロを目指したりする規制が、世界各地で施行されるようになった。
余談だが、現在の新型コロナウィルスの世界的な流行も、より速く、より遠くへ人が移動する時代となったため、世界に蔓延したとウィルスの専門家は分析する。100年前のように、まだ馬で移動したり、船で旅したりした時代であれば、ここまで世界に一気に蔓延しなかったはずだという。
程よい速さがあれば十分ならクルマの姿はもっと自由になる
より速く、より遠くへ、という人間の欲求をクルマで満たしながら、同時に環境負荷を下げようとすると、パワーユニットの低燃費化だけでなく、空気抵抗の少ない外観が求められるようになる。それが、クルマから箱感覚が薄れた原因ではないか。
一方、より速く、をあまり重視しないクロスカントリー系の4輪駆動車は、今日なお四角い車体だ。それは、悪路や未開の地を走行する際の車両感覚のつかみやすさや、周囲の確認しやすさにつながる。そうした場面では、樹木や岩に車体を接触させる可能性が高く、一歩道を誤れば崖から転落してしまうかもしれない、命に関わる問題になる。したがって、速く走るために空気抵抗を減らすより、周囲の状況を的確に把握しやすい形でなければならないのである。
4ドアセダンも、ハッチバックも、本来は自分の目で周囲の安全を確認できる箱型の形が運転者にも安心を与える姿であろう。しかし、より速く、より遠くへ、という目的が優先されれば、クーペのような姿にならざるを得ない。
しかし実際には、多くの人が利用しないような超高速の性能を持たせる必要が本当にあるのかという疑問もある。スウェーデンのボルボは、交通事故死者ゼロを実現するため、世界で販売する新車の最高速度を時速180kmまでとすると宣言した。それは、ドイツのアウトバーンも視野に入れたうえでの決断だ。
そのように、むやみな高速走行を目指さない、程よい速さがあれば十分だと考えれば、クルマの姿はもっと自由になるのではないだろうか。そのほうがクルマ選びの楽しさも広がるかもしれない。実際、旧車時代のクルマは、一目でわかる個性があり、選ぶ喜びもあったのではないか。
じつは、21世紀は、環境負荷への対応も含め、程よい幸福を求めた暮らしが奔流となる時代ではないだろうか。闇雲に、より速く、より遠くへ、という価値だけを追い求めていくと、画一的になり、暮らしの豊かさが減っていくような気がする。
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みんなのコメント
いずれにせよ、バカ記事っぽいが。
他のメーカーは四角くはないがゴツゴツした尖ったデザインばかりに見えるのだが