現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【菰田潔 CDゼミナール】交通事故死者ゼロのために~その3

ここから本文です

【菰田潔 CDゼミナール】交通事故死者ゼロのために~その3

掲載 更新 4
【菰田潔 CDゼミナール】交通事故死者ゼロのために~その3

「人・道・車」が交通事故死者ゼロを目指すときのキーになる。前回までにクルマと人について話したので、今回は道について。

 道路環境により事故が起きたり、防げたりする。信号機のない交差点の場合、見通しがよければ事故にならないと考えがちだが、そうでもないようだ。

注目の最新フラッグシップ、メルセデスEQ・EQSを伝統のメルセデス・ベンツSクラスと比べみよう

 コリジョンコース現象がその一例。直角に交わる十字路で交差する道路を走ってくるクルマが互いにAピラーの影に隠れながら近づき、あるいはクルマから見て相手の位置が変わらないと止まっていると勘違いして、互いに衝突直前まで確認できずに事故になる。

 北海道のような開けた場所の直線道路同士の交差点で起こりやすい。どちらかが一時停止すれば事故にならないのだが、見渡す限り誰もいないとなると、そのまま走ってしまうのか。

 そんな交差点にはラウンドアバウト(環状交差点)が最適だ。円形の道路に2本の道なら4方向に出入口の道路が取り付けてある。ここでの優先権は環状交差点を走るクルマが持っている。つまり外から入ろうとするとき、中の環道を走るクルマが来るときは譲らなければならない。来ないときには一時停止する必要がなく、環道に入れる。

 コリジョンコース現象の事故を防ぐだけでなく、信号機も不要でタイミングを合わせれば止まる必要もないからエコでもある。

 市街地や住宅街の道路には歩道を設けてもらいたい。ヨーロッパの街中を見るとほとんどの道に歩道がついている。日本の交通事故は歩行者の死亡者数が多いから、是非とも歩道を増やさなくてはならないと思う。

 直線道路での歩車分離という施策はもちろん基本だが、交差点でも車対車、車対二輪車の事故も防ぐ効果があるからだ。建物の壁が道路ギリギリだとしたら安全確認のためにちょっとクルマの鼻先を出しただけでぶつかりそうになる。

 歩道があれば道路の糊代のように使って安全確認がしやすくなる。自転車が歩道を飛ばしてきたら新たな危険が生じるが、自転車は車道側を走ってもらえば解決できる。

 最近、拙宅近くの信号機のプログラムが変わった。片側3車線の幹線道路と片側1車線の商店街の道の交差点の信号機に、歩行者用に全方向青色ができたのだ。商店街の道から幹線道路にクルマが出て右左折するのも横断歩道に人が歩いていないからスムーズに行けるし、歩行者は青色のときにはどの方角にも行けるから便利になった。

 信号機による歩車分離は、歩行者用の青信号の時間があるため、渋滞を引き起こさないようにクルマ用の青信号の時間の調整などが難しいかもしれないが、やる価値はあると思っている。

道路の施設にクルマが衝突したときに、施設側がクルマを攻撃するような建て方をなくすことも必要だ。乗用車だけでなくバスやトラックがぶつかっても乗員を守る余裕がほしい。

 欧米の高速道路を走っていると、立体交差の橋脚が道路に近い位置に立っている場合は、ガードレールの高さが2倍くらいになって、大型車両がぶつかっても橋脚までは行きにくいように作ってある。バスはフレームは丈夫に作ってあるかもしれないが、ボディパネル自体はそれほど強くはないし、衝撃吸収構造にもなっていない。だから乗用車以上に道路側の衝突安全対策が必要になる。

 通常の道路脇にあるガードレールもその端にも支柱が立っているから、そこに衝突するとダメージは大きい。ドイツではガードレールの端は地中に埋まっているから、端の支柱にぶつかることはない。オーストラリアで見たガードレールの端は衝撃吸収構造になっていた。

 ITSの発達で車車間通信、路車間通信ができるようになると、対向車が近づいてくることを知らせてくれて、右直事故などが防げるようになるかもしれない。しかし日本の約8000万台のクルマに普及するのは随分先の話になるだろう。

 それまでは道路環境の整備によって交通事故の被害者をなくす努力を、道路管理者はしなければならない。

 そして「人・道・車」の三位一体でなくては、交通死亡事故をゼロにすることはできない。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ルノーがハイブリッド車に使ったF1直系の技術……って聞くとなんかたぎる! 「ドッグクラッチ」ってそもそも何?
ルノーがハイブリッド車に使ったF1直系の技術……って聞くとなんかたぎる! 「ドッグクラッチ」ってそもそも何?
WEB CARTOP
F1ラスベガスFP3速報|赤旗で消化不良に。ラッセルがトップタイム、RB角田裕毅は16番手
F1ラスベガスFP3速報|赤旗で消化不良に。ラッセルがトップタイム、RB角田裕毅は16番手
motorsport.com 日本版
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
くるまのニュース
WRCラリージャパン、SS12キャンセル原因は“無許可の車両によるステージ侵入”とFIA発表
WRCラリージャパン、SS12キャンセル原因は“無許可の車両によるステージ侵入”とFIA発表
motorsport.com 日本版
山脈貫通!「新潟‐福島」結ぶ国道が建設着々 “延長21km・トンネル15本”におよぶ大規模道路いつ開通?
山脈貫通!「新潟‐福島」結ぶ国道が建設着々 “延長21km・トンネル15本”におよぶ大規模道路いつ開通?
乗りものニュース
昭和の名車とワーゲンがぎっしり…茨城県の江戸崎商店街でホコ天イベント
昭和の名車とワーゲンがぎっしり…茨城県の江戸崎商店街でホコ天イベント
レスポンス
ドゥカティ現行車では唯一!? 空冷Lツインを搭載する第2世代スクランブラー「アイコン」の魅力
ドゥカティ現行車では唯一!? 空冷Lツインを搭載する第2世代スクランブラー「アイコン」の魅力
バイクのニュース
ホーナーの言うことは「信用できない」とウォルフ。妻に対するFIAの調査の際に不信感を募らせたことを明かす
ホーナーの言うことは「信用できない」とウォルフ。妻に対するFIAの調査の際に不信感を募らせたことを明かす
AUTOSPORT web
バスドライバーを疲れさせる「プルプル運転」とは何か? 自動運転時代の落とし穴! 過剰な安全対策が招く危険とは
バスドライバーを疲れさせる「プルプル運転」とは何か? 自動運転時代の落とし穴! 過剰な安全対策が招く危険とは
Merkmal
46台の輸入EVが丸の内に集結!「JAIA カーボンニュートラル促進イベント」リポート
46台の輸入EVが丸の内に集結!「JAIA カーボンニュートラル促進イベント」リポート
LE VOLANT CARSMEET WEB
【プロカメラマン】が大量画像で記録!「腐っていたKLXが終に熟成!四国MSBR撮影後の修理と詰めの改良!」(最終回)  
【プロカメラマン】が大量画像で記録!「腐っていたKLXが終に熟成!四国MSBR撮影後の修理と詰めの改良!」(最終回)  
モーサイ
「運転席の横に“クルマが踊っている”スイッチがありますが、押したら滑りますか?」 謎のスイッチの意味は? 知らない「使い方」とは
「運転席の横に“クルマが踊っている”スイッチがありますが、押したら滑りますか?」 謎のスイッチの意味は? 知らない「使い方」とは
くるまのニュース
ホンダが全固体電池のパイロットラインを初公開。一連の生産工程を再現しながら徹底検証
ホンダが全固体電池のパイロットラインを初公開。一連の生産工程を再現しながら徹底検証
Webモーターマガジン
【東京オートサロン2024】アルピーヌ A110 R Turini A110 GT ジムカーナチャンピオンマシンなどを出展
【東京オートサロン2024】アルピーヌ A110 R Turini A110 GT ジムカーナチャンピオンマシンなどを出展
Auto Prove
ランボルギーニ、WEC参戦“休止”を発表。ハイパーカー、LMGT3共に撤退……IMSAとテメラリオGT3開発に専念か
ランボルギーニ、WEC参戦“休止”を発表。ハイパーカー、LMGT3共に撤退……IMSAとテメラリオGT3開発に専念か
motorsport.com 日本版
EVの充電がプラグを接続するだけに! Terra Chargeがプラグアンドチャージ対応EV充電器を2025年度から設置開始
EVの充電がプラグを接続するだけに! Terra Chargeがプラグアンドチャージ対応EV充電器を2025年度から設置開始
THE EV TIMES
世界最高峰のラリーストが日本に集結した! ラリージャパンのオープニングは2台同時走行のSSバトル!!
世界最高峰のラリーストが日本に集結した! ラリージャパンのオープニングは2台同時走行のSSバトル!!
WEB CARTOP
マツダが「超凄いロードスター」公開! 2Lで200馬力×幌仕様で登場!? こだわり“リアスポイラー”にも注目!? 限定で明かされた内容とは
マツダが「超凄いロードスター」公開! 2Lで200馬力×幌仕様で登場!? こだわり“リアスポイラー”にも注目!? 限定で明かされた内容とは
くるまのニュース

みんなのコメント

4件
  • お自慰ちゃんの妄想が生前に叶うことはないから大丈夫。
  • 必ず徐行、一時停止してるので
    事故になった事ないです
    そんな所で事故起こす人は、
    結局一般道で歩行者轢いて◯してしまう
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

677.3698.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

593.0980.0万円

中古車を検索
ヨーロッパの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

677.3698.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

593.0980.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村