最もエキサイティングな1台になる可能性
ヒョンデが開発を進める高性能なバッテリーEV(BEV)、アイオニック5 Nには、まだ不明な情報が多い。最高出力も最大トルクも、駆動用バッテリーの容量も明らかにはなっていない。
【画像】何度も乗りたいスリリングさ ヒョンデ・アイオニック5 N 競合するクラスのBEV 全124枚
それでも、公道とサーキットでプロトタイプを運転した限り、最もエキサイティングな1台になることは間違いなさそうだ。すでにヒョンデは有能なBEVを提供しているが、さらにもう1段階、魅力度が増している。
アイオニック5 Nでは、背が高めのボディの要所要所が強化され、新しいサスペンション・サブフレームが組まれ、タイヤのネガティブキャンバーが強められている。ステアリングレシオはクイックになり、四輪駆動システムの制御にも手が加えられている。
ピレリPゼロのタイヤサイズは、235/35 R21。フロントのブレーキディスクの直径は、同社最大となる400mm。サーキットで楽しむことを前提に、20分の本域走行と、15分の急速充電に対応させるため、駆動用バッテリーの冷却性能も改善されている。
内燃エンジンのホットハッチ、ヒョンデi30 Nでは、エンジンやサスペンションなどの特性をドライブモードで多様に調整できる。どれにしようか迷うほど。このアイオニック5 Nでも、それは受け継がれている。
全開時には500ps以上出ているような加速
トルクベクタリング機能や前後のトルク分配率など、前後に2基の駆動用モーターを搭載するBEVならではの可変性を備えるようだ。エンジン音を模した合成ノイズや、ステアリングホイール裏のパドルによる変速を模した加速感なども、望めば選べる。
ドリフト・モードも用意されるそうだが、今回は助手席に同乗したヒョンデの技術者によって利用を禁じられていた。恐らく、筆者がふざけしすぎる可能性があると、事前に知っていたのだろう。
彼らは、このアイオニック5 Nに奥の深い動的特性を与えたいと考えている。現在のBEVには、ドライビング体験でさらに沢山の喜びを生み出せる可能性が残されていると、わたしも思う。
キアEV6 GTは、コーナーの出口でドリフトに興じれるが、それ以上の奥行きはないといっていい。ヒョンデは、運転する楽しさを大きく前進させようとしている。
ニュルブルクリンクGPコースのストレートで加速させると、アイオニック5 Nは間違いなく速いとわかる。全開時には、500ps以上は出ているような印象だった。
ブレーキはバイワイヤで制御されるが、0.6Gという強力な制動力を発揮させても、終始一貫したフィーリングが保たれていた。回生ブレーキも介在していながら。
ラリーレプリカとスーパーサルーンが共存
回頭性も鋭い。欧州製ホットハッチのように、きっかけを与えてフロントタイヤをイン側へ食い込ませる、タックインの挙動も披露する。車重は2t近くあるはずだが、驚くほど敏捷に身をこなす。
アクセルペダルを一気に緩めると、ボディの中心を軸とするように旋回。再び踏み込むと、リアアクスル側へ多くのトルクを発生させ、ラインを調整できる。軽くリアタイヤを流しながら、出口へ向けて姿勢を正せる。
往年の三菱ランサー・エボリューションとも、挙動は似ている。だが、そこまでエネルギッシュというわけではない。反面、遥かに洗練されている。
ステアリングホイールの重み付けは、軽すぎず重すぎず。ボディロールは抑制され、高速コーナーでも不安を感じないほどグリップ力は高い。アクセルペダルの加減で自在にライン調整できるほどバランスは良好で、ニュートラルステアでのコーナリングも可能だ。
ホットハッチとラリーレプリカ、スーパーサルーンが共存しているかのように、変幻自在。速度域の高いサーキットでは、その能力にすっかり惹き込まれた。こんな印象を、BEVで抱いたことはこれまでなかった。
人工のエンジンサウンドや変速ギミックも
ドイツの一般道へ足を進めると、アイオニック5 Nの小さくないボディサイズを実感する。限界領域へはとても迫れないが、それでも充分に一体感のある運転を味わえる。
人工のエンジン音や、変速のギミックは不自然に感じるだろうと想像していたが、実際はそうでもなかった。擬似的に描かれるタコメーターは8000rpmまで回り、レスポンスがアクセルペダルの加減で変化する。完全なる仮想だが、巧妙に設定されている。
それらに飽きたら、機能をオフにもできる。ステアリングホイール裏のパドルで、回生ブレーキの効きを調整できるようになる。
まだわからないことは沢山あるが、間違いなく楽しいBEVになりそうな予感。それだけではなく、BEVの新しいベンチマークにもなり得そうだ。アイオニック5 Nは、2023年のグッドウッド・フェスティバルで、正式に発表されるという。
欧州でBEVへのシフトが本格化してから数年。スリリングで何度も乗ってみたいと思えるモデルが、遂に誕生するかもしれない。
ヒョンデ・アイオニック5 N プロトタイプのスペック
英国価格:未定
全長:4635mm(アイオニック5/参考)
全幅:1890mm(アイオニック5/参考)
全高:1605mm(アイオニック5/参考)
最高速度:240km/h(予想)
0-100km/h加速:3.5秒(予想)
航続距離:−km
電費:−km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:2000kg(予想)
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:−kWh
急速充電能力:−kW
最高出力:−ps
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:シングルスピード/四輪駆動
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