1957年、初代スカイラインに国産車初採用されていたサスペンション形式が、ド・ディオンアクスルだ。欧州のスポーツカーなどで採用されていたが、国内では採用例の少ない形式だ。どのような機構とメリットがあるのか解説していこう。
ド・ディオンは、リジッド式だが少しでも軽快に動く工夫が取り入れられた
ド・ディオンアクスル(ド・ディオン式サスペンション)は、フランスの自動車メーカー、ド・ディオンブートンが開発したサスペンション形式だ。リジッドアクスル(車軸懸架式サスペンション)のひとつとなるが、路面への追従性の向上のための工夫が見られるサスペンションとなる。
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通常のリジッドアクスルの後輪駆動車で考えると、サスペンションはデフケースを伴ったホーシングとともに動くことになる。サスペンションが上下すれば重いリアデフもともに動くので、サスペンションの軽快な動きを邪魔するし、それに対応するためにスプリングレートも高めるため、乗り心地も硬くなってしまう。
そこで考え出されたのがド・ディオンアクスルだ。これは重いリアデフをボディ側に固定している。ただし、そのままではリジッドサスペンションは動かなくなってしまうので、デフ側とタイヤ側にジョイントを持つドライブシャフトを使用する。これでバネ下重量を軽量化し、サスペンションだけを動かせるようにした。しかし、左右輪は太い車軸で結ばれているために、リジッドアクスルであることにかわりない。
リジッドアクスルとド・ディオンアクスルの違い
これで乗り心地が良くなる反面、複雑な構造で部品点数が増えてコストもかかるのがデメリットだ。コストをかけても大丈夫なスポーツカーや高級車に採用される傾向で欧州のスポーツカーなどに用いられてきた。日本で最初にこのサスペンション形式を採用したのが1957年に登場した初代プリンス・スカイラインだ。またプリンスグロリアにも採用され、当時の最新技術と言えた。
その後、独立懸架式サスペンションが普及するとデフはボディ側に固定したまま、左右別々にストロークさせることができることから、必要性が薄くなった。現在ではスポーティな車種ではないが、ホンダのアクティに使用されている。これは横置きのエンジンとデフが一体のために、必然的に使用されたものと言える。そのほか、ホンダ Nシリーズの4WDモデルにも採用されている。(文・Webモーターマガジン編集部 飯嶋洋治)
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みんなのコメント
4WD仕様で、よくこの形式のリアサスを採用した車両がありますね。
この形式のリアサスで凝ってるなぁと思うのは
アルファロメオのアルフェッタや75、SZ(RZ)あたりの
リアサスですね。
いずれもFRの駆動レイアウトですが、トランスミッションは
重量配分を考えて後方に移設してトランスアクスルとし、その
基部からリアのホイールハブに向かって左右に伸びるアームと
左右輪を繋ぐアクスルがトランスミッションを三角形に囲むような
形状になっているドディオンアクスル、そしてそのアクスルの横方向の
動きを押さえるワットリンク、さらにバネ下重量を軽減するために
トランスミッション側にリアブレーキを移動させた
インボードディスクブレーキと…
字にすると大変ですがwこれで対地キャンバー変化はゼロ、かつ
独立懸架並みのロードホールディング性能を実現したのですから
大した技術ですね。