■Xの後に続く奇数と偶数の意味は?
BMWの「X4M40i」を語る前に、BMWがリリースするSUVモデルのラインナップを整理しておきましょう。BMWにとってXシリーズはつまり、一般的にいわれるところのSUV(スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)です。かつてのクロスカントリーを彷彿させる、背の高い塊感の強いボデイが与えられています。セダンよりもスペースに余裕があり、かといってワンボックスワゴンのように積載性能だけが生命線ではない、といったいいとこ取りのモデルなのです。
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BMWは緻密に車種構成をしています。そのSUVをさらに細分化し、SAV(スポーツ・アクティビティ・ヴィークル)とSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)とに呼び分けているのです。前者をサイズの小さい順から並べると、X1、X3、X5、X7(間も無くデビューする)となります。後者のSACは、偶数名のX2、X4、X6となります。
しかも興味深いのは、X1とX2はプラットフォームが共通しており、X3とX4も同様に骨格が共通しているのです。X5とX6も同様です。これら奇数と偶数モデルは、形が違うだけの双子モデルなのです。つまり、骨格が同じ2モデルが、使い勝手を求めたスクエアなボデイと、スポーツ度を意識したクーペスタイルとで共存させているのです。これがBMWのSUV戦略というわけですね。
さて話を「X4M40i」に戻しましょう。今回試乗をした「X4M40i」は、BMWの中でミドルサイズのSUV、いやBMWが名乗るSACというわけです。偶数ですからSACです。
「M40i」のエンブレムがつくと、その中でも特別な存在になります。「30iM」というグレードもありますが、それは直列4気筒2リッターボエンジンですので、それほど強力ではありません。1.9トン前後のけして軽くないホディを激しく走らせるには力不足だといわざるを得ません。
ですが「M40i」は、それとは別物になります。シリーズ最強の直列6気筒3リッターユニットには、ターボチャージャーが二基掛けされます。最高出力は360psに達しますし、最大トルクはなんと500Nmを絞り出すのですから、これはもう相当な高性能が期待できるのです。
■怒涛の加速力は強力なエンジンパワーから得られる
前段が長くなりましたが、実際にドライブしてみると、そのネーミングの意味がよく理解できます。直列6気筒エンジンは、BMWが世界に誇るパワーユニットです。回転フィーリングがとてもスムースなことで世界から称賛されているのですから、それも納得できます。
低回転域からトルクが充実しており、信号待ちから発進するその瞬間から力強さを意識することができますし、そのままアクセルペダルを踏み続けていれば、瞬時に最高速度に達するほどなのです。
ボディサイズは日本の道を気軽に走るにはギリギリのサイズです。全長はともあれ、全幅は1920mmもありますから、小道に紛れ込んでしまったら、ガードレールや電柱に気を使わされるサイズです。車高も高いのでその分視点も高い位置にあります。そんな大きな塊のクルマが怒涛の加速力を披露するのですから、迫力は桁外れです。
実は、サスペンションのフィーリングも相当にスポーティです。ゴツゴツとした不快な突き上げは感じられませんでしたが、フワフワと揺れるような感覚はまったくありません。高剛性の足回りが組み込まれています。
実は試乗を続けているうちに、自分自身が強く頼もしくなったような錯覚に陥りました。印象的には骨太で、力強く、独特の破壊力をもっとハイウエイを突進するその様子に影響されたのですね。
BMW「X4M40i」はそういうクルマです。鍛え抜かれたアスリートのような、紳士的であり頼もしいクルマなのです。
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